メルセデスから来季F1デビューするアンドレア・キミ・アントネッリは、母国イタリアGPのFP1で公式セッションデビューを果たしたが、クラッシュという結果に終わった。チーム代表のトト・ウルフは、アントネッリが直面したプレッシャーについて、理解が浅かったと認めた。
アントネッリが来季メルセデスからF1デビューすることが正式発表されたのは8月31日のことだったが、その前日の8月30日にアントネッリはジョージ・ラッセルのマシンに乗り、イタリアGPのFP1を担当した。
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ピットアウト直後から印象的な速さを見せたにも関わらず、アントネッリはセッション開始から10分ほどのところで最終コーナーのアルボレート(旧パラボリカ)でコースオフし、クラッシュしてしまった。
ウルフ代表はこの日の出来事を振り返って、あのような状況でアントネッリにモンツァでの初走行をさせたのは間違いではなかったものの、完全に正しかったとは言えないと思うと語った。
「ミスとは言わないが、彼が受ける可能性のあるプレッシャーを見極めるという点では、完全に正しかったとは言えないと思う」とウルフ代表はmotorsport.comに語った。
「なぜかというと、セッションにどう臨むかについて話し合ったからだ。彼はテストでは素晴らしかった。何千キロも走った中で、一度も足を踏み外したことはなかった」
「でもイタリア人ドライバーで、18歳になってモンツァにやってきて、それが最初のチャンスとなると、また違った話になる」
「もし我々が彼のデータをリスク要因として考慮したなら、イタリアとはまったく異なるタイムゾーンで行なわれるFP1を彼に与えた方が賢明だったかもしれない。でも、彼はそこから多くを学ぶだろう」
アントネッリのクラッシュはラッセルのマシンにダメージを与えたという点では理想的なものではなかったが、ウルフ代表が懸念していたことのひとつは、スポットライトを浴びる週末にこのミスが若いイタリア人に与える感情的な影響だったと認めた。
「彼にとって良くないことだと思った。彼としては残念なことだったからね」
「彼はとても速かったし、イタリアでの最初のセッションで、ドライバーとして発表間近だった。誰もがそう思っていたんだ」
「彼のアプローチは好きだ。彼はピットアウト1周目から速かった。もちろん、彼がリーダーボードの上位にいることを楽しみたかったが、クラッシュしてしまったためにそれがなくなってしまった。そしてそのスピードは、週末のもっと後に達成すべきものだった」
「明らかに、彼はあのトラックコンディション、クルマの状態では速すぎた。FP1はFP1だという経験と、野心やモチベーション、スキルのバランスを取る必要がある」
「それによって、彼が感情的に傷ついたことは分かっている」
メルセデスはアントネッリの才能とポテンシャルの高さに対して経験が不足していることを認識している。しかしウルフ代表は、メルセデスの中で成長させることが、彼の能力を最大限に引き出すための正しいアプローチだと考えている。
「若手ドライバーとして加入するF1チームは、そのドライバーのパフォーマンスと成長にとって基本的なものになると思う」
「だからこそ、我々は彼をそのままメルセデスに引き入れることにしたんだ。また別の、違った仕事のやり方に影響されることはないだろう」
「それが悪いとも良いとも言わない。でも、我々はメルセデス流のやり方で彼とやっていきたいと考えている。だから我々は彼の成長、そして結果に対する責任を理解している」
メルセデスは現段階でアントネッリを昇格させるという賭けに出たと考えているかと尋ねられたウルフ代表は、次のように答えた。
「いや、賭けではない。彼の能力を信じていなければ、それはギャンブルになるかもしれない」
「我々は彼が成長するための時間を与える必要がある。(来年の開幕戦)オーストラリアに到着して、彼がみんなを圧倒するようなことは期待していない。それは期待することではない」
「それは誰も期待していないはずだ。彼はとても良いドライバーになれるだろう。でも、彼には時間を与える必要があるんだ」
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