この記事をまとめると
■ボルボは安全性能に長けたメーカーとして有名
安全神話だけじゃない? 世界的に見れば小メーカーのボルボが日本で伸びる理由とは
■安全性の肝となっているのは事故調査
■ボルボが実施する事故調査とクルマへのフィードバックの仕方を詳しく解説する
社員が乗る車両にまでモニター機器を搭載!
ボルボの安全へのこだわりは、今や多くのクルマ好きが知っていること。ではなぜこのような地位を確立することができたのか。
少し前の話になるが、僕はスウェーデン第2の都市ヨーテボリにあるボルボカーズの本拠地で、このブランドの安全性を長年見続けてきたヤン・イヴァソン氏から説明を受けたことがある。そのときの内容を振り返りながら、安全性の秘密を考えていくことにしよう。
同氏によれば、ボルボの安全性の肝となっているのは事故調査だという。調査結果をコンピュータで解析し、結果をもとにプロトタイプを作り、これをベースにして量産車を開発する。これを繰り返すことで進化をしていくとのことだった。
事故調査といっても、警察のデータを受け取って解析しているわけではない。自前の事故調査隊を持っていて、保険会社や医師などとも連携しているという。おまけに社員が乗る車両の一部には、モニター機器を搭載している。会社全体で安全性を考えているのだ。活動はスウェーデンが中心だが、重大事故であれば日本にもこの調査隊を送り込むそうだ。
実際に起きた事故と同じ状況を再現して分析
さらに驚きなのは、実際に起きた事故と同じ状況を実験で再現し、構造や作動をチェックすることもあるということ。事故の当事者にも実験現場を見てもらうというのだから徹底している。
こうして得られたデータを数百項目に分けて分析し、ビッグデータを構築している。新たに取り入れた安全技術が効果を発揮しているかを知ることもできる。この蓄積が、けっして大きくはない自動車メーカーを安全性の第一人者に押し上げたのだろう。
多くの自動車メーカー同様、ボルボも安全性を予防安全、能動安全、受動安全の3段階に分けて考えている。ただ日本と違うのは、スウェーデンでは死亡重傷事故の原因としてもっとも多いのは道路外への逸脱ということ。長く厳しい冬がある国ならではだ。
こうした事故では垂直方向の衝撃も大きいことから、なんと無人運転車両でオフロードのクラッシュテストを行い、そのときのデータを参考にして衝撃をやわらげるシートなどを開発しているという。正面衝突ではヘラジカなど大型動物とのアクシデントを想定した対策も行っている。
スウェーデンは社会保障が充実していることで知られている。もちろんそれもボルボの安全性に関係しているとは思うけれど、北欧の過酷な自然環境を安心して過ごすために、通常では考えられないような実験や調査を積み重ねてきたことが、今日の安全神話につながっているのだと思っている。
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みんなのコメント
ボルボは電動化に一直線だけど、バッテリーって寒さに弱いですよね?
あのスウェーデンの息も凍るような過酷な環境でどう解決してどんな性能のEVを出してくるか楽しみにしています