2021年4月に2代目が登場したアーバンSUVのホンダ・ヴェゼルは、藤井風が、CMソングとしては初となるオリジナル楽曲「きらり」を新たに書き下ろし、井浦新や玉城ティナ、布川敏和、アントニーなど総勢13人!が出演する「Honda All-New VEZEL e:HEV 新TVCM」の公開でも話題になり、もちろん、ホンダのヒット作となった。2024年現在でも、乗用車ブランド通称名ランキングで4月は4位、5月は6位を堅持しているほどだ。
MC前のヴェゼル 撮影 雪岡直樹
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マイナーチェンジとはいえ、多岐に渡るアップデートを実施
そんなヴェゼルが2024年4月に「EXPAND YOUR LIFE」(エクスパンド ユア ライフ)をグランドコンセプトにマイナーチェンジを行った。その内容は多岐に渡り、エクステリアはフロントグリルとフロントバンパーのデザインやリアコンビネーションランプを変更。インテリアではスマートフォン2台を横並びに置け、2台分のUSBを備えた前席2段センターコンソールを設定。
ベースグレードのe:HEV Xにはアウトドアテイストを追加した「HuNT(ハント)パッケージ」を新設定。さらに、従来、グレードとして用意されていたe:HEV PLaYを、e:HEV ZのPLaYパッケージとして新たに設定し、AWDとパノラマルーフの選択が可能となっている。なお、グレードも整理され、ガソリンモデルのG(4WDのみに)、e:HEV X、e:HEV Zに加え、「e:HEV X HuNTパッケージ」「e:HEV Z PLaYパッケージ」(2トーンカラー採用)の2パッケージが揃っている。
e:HEV X HuNTパッケージ
それだけではない。走りに関わる部分も大幅にアップデート。パワーユニットはEVモード、HVモード、エンジンモードを走行状態によって使い分けるe:HEVのIPUのエネルギーマネージメントを見直した最新バージョンを搭載。発進領域を含むバッテリーの使用範囲、EV領域を拡大するとともに、エンジンON/OFFの切り替え頻度を約30%低減したという。
e:HEVモデルではダッシュボード、ルーフ、フロアの各遮音材と防音材の厚み、配置を最適化することで、エンジン始動音やロードノイズを低減させ静粛性をより高め、さらに上質で快適な移動空間を目指しているのだ。静粛性向上について具体的に説明すると、フードインシュレーター吸音材容量約28%UP、ダッシュアウターインシュレーター目付量約40%UP、ダッシュインシュレーターのハイブリッドインシュレーターへの変更、ルーフライニングインシュレーター厚約2倍、インパネ統合インシュレーター厚約15%UP、そして新型N BOXでも採用されたフロアカーペットのフィルム層追加など、徹底した静粛性対策が行われている。結果、エンジン始動音やロートノイズの低減が実現されているという。
また、マイナーチェンジ前のヴェゼルでは、乗り心地面で重量が約80kg重い4WDのほうがしっとりマイルドだった一方、FFモデルはやや硬めで、路面によってリヤからの突き上げが気になる乗り心地だったのだが、今回のマイナーチェンジでe:HEVモデルのFF車の足回りをアップデート。ダンパー減衰力などの見直しが行われている。
さらに先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」も全タイプに最新バージョンを搭載。従来の衝突軽減ブレーキ<CMBS>、路外逸脱抑制機能、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール<ACC>、車線維持支援システム<LKAS>の機能向上に加え、トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)、急アクセル抑制機能、アダプティブドライビングビーム6つの機能を追加している。
マイナーチェンジ前のヴェゼルでは、PLaYグレードのパノラマルーフが納期を送らせていた原因だったのだが、そのパノラマルーフが備わるPLaYをパッケージオプションとしたことで、納期の問題を解消。これまで4WDが選べなかったPLaYでも4WDが選べるようになったのも、マイナーチェンジモデルのセールスポイントと言っていい。一方、ガソリンモデルが4WDのみとなったのは、ガソリンエンジン、FFのみで勝負する、サイズ的に近い新型SUVのWR-Vが加わったからと考えていいだろう。
e:HEV Z PLaYパッケージのFFモデル試乗レポート
さて、今回試乗したのは、e:HEV Z PLaYパッケージのFFモデルである。4WDを試乗することもできたのだが、足回りのアップデートによって、マイナーチェンジ前のヴェゼルのe:HEV、FFモデルの、4WDに比べ硬めでゴツゴツした乗り心地がどのぐらい進化したのかを確かめる意味もあり(4WDの足回りは不変)、選んだ次第である。
撮影 雪岡直樹
走り出してまず実感できたのは、とにかく静かになったということだ。それは一般道、高速道路を問わずで、ロードノイズ、エンジンの透過音が低減したことが分かる。それは、領域が拡大し、粘り強く行われるEV走行からエンジンが始動し、HV走行に移行した時も、それに気づきにくい制御が行われているからだ。エンジン始動回数、停止頻度が大幅に低減したとともに、アクセルレスポンスの向上も体感できた。つまり、より走りやすくなったということだ。加速力そのものは燃費重視のECONモードでは比較的穏やかだが、ノーマルモードにセットすれば、1.5Lエンジン(106ps、13.0kg-m)+2モーター(131ps、25.8kg-m)のハイブリッドコンパクトSUVとして十分以上の動力性能を発揮してくれると言っていい。
マイナーチェンジ後のe:HEVのFFヴェゼルとして注目の乗り心地の進化はどうか。以前あったリヤからの突き上げ感は影を潜め、全体的にクラスアップしたような、フラットで快適な乗り味になっていることを確認。例えば、首都高の段差を乗り越えるシーンでも、軽やかに「タン」といなしてくれるからゴキゲンだ。結果、一段と爽快感ある、藤井風の爽やかでスピード感あるCMソング「きらり」が似合うドライブフィールになったとも言い替えられる。当然、エアコン吹き出し口を備えた後席の乗り心地、快適性も向上していた。
操縦性に関しても、スムーズなステアリングフィール、カーブや山道での路面にぴたりと張り付くような安定感が好ましい。実際には最低地上高185~195mmのSUVらしい高めの乗車位置なのだが、室内高1225mmのセダン、ワゴン感覚の前席空間(天井が低いという意味)もあって、重心の高さを感覚的に感じにくいことも、その要因のひとつだろうか。今回、首都高約60%(主に最新制御のACCを使用)、一般道約30%の走行で、カタログ値のWLTCモード燃費25.3km/Lに対して23km/L近くまで伸びた実燃費性能も、さすがである。
ただし、e:HEV Xグレードの16インチタイヤに対してe:HEV Zは18インチタイヤを履くのだが、最小回転半径が16インチの5.3mから5.5mになるため、小回り性はあまり褒められない。ボディサイズの割に、小回りが効かない印象だった。そして2代目ヴェゼルの登場時から感じていたことなのだが、16インチタイヤはもちろん、18インチタイヤ装着車でもボディとタイヤのバランスの見映えがやや不自然であるように思える点は(個人の感想です)、今も変わらない・・・。
また、初代ヴェゼルに対して容量、使い勝手で後退したと思えるラゲッジルーム(後席使用時でのゴルフバッグの積載は難しい)も、使い方によっては気になる部分と言っていい。この点については、後席の広さとともに大容量ラゲッジルームを持つ、ハイブリッドモデルのないWR-Vがリードしている。
ホンダ・ヴェゼル
文/青山尚暉
写真/青山尚暉 雪岡直樹
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みんなのコメント
嫌味なく、オシャレな車ですね。
SUV所有した事無くてホンダのSUV欲しいけど置く場所や維持を考えると前途多難です。
贅沢な悩みですけど。
BYDのクルマのコメント欄こわかった。。。