2023年1月に発売を開始したBYD ATTO3。実は2024年3月にアップデートが実施されていました。そこで今回は「進化した点」と、気になる「乗り味」についてご紹介していきます。
ATTO3は日本参入第一段として上陸したグローバルモデル
ATTO3の日本登場は2023年のことですが、グローバルで見ると2022年初頭から販売が開始され、オーストラリアやタイなどの太平洋地域のほか欧州にも展開されている、まさにBYDにとって世界戦略車と言える存在です。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
グローバルで販売するゆえ、どんな地域でも受け容れられるような「ちょうど良さ」を持ったクルマとも言えます。すなわち、その「ちょうど良さ」とはボディサイズがまず筆頭に挙げられます。全長4455×全幅1875×全高1615mmという都心部でも扱いやすい比較的コンパクトな体躯は、全幅こそ大きいものの日本でも十分に競争力があります。
エクステリアは近年流行りの「水平基調」「横一文字ライト」などを採用した先進感の高い容姿です。一方で、割とコンサバティブなデザインがゆえ、競合ひしめくコンパクトSUVの中においてはやや埋没気味なデザインとも言えます。
が、インテリアに目を向けると一転、強烈な個性を感じさせるデザインで仕上げられています。実はこのデザインは、かつてメルセデス・ベンツのインテリアデザインを手掛けていたミケーレ・パガネッティ氏の指揮によるもの。なるほどATTO3は、どことなく欧州的な(メルセデス的な!)曲線基調のデザインと言えるわけです。
ただしそうは言っても決して似ているわけではなく、同郷のよしみに過ぎず、造形や各部の配色などはATTO3でしか得られない世界観を備えています。
主な変更点は「見た目」「ディスプレイ」「アプリ」の3つ
さて、こうした「ちょうど良い」ATTO3ですが、2024年3月に行われたアップデートの内容は主に3つです。
ひとつは「見た目」の小変更です。すなわちエクステリアデザインに変更が加えられています。基本造形は変わりませんが、ボディカラーに「コスモブラック」が新設されたほか、サイドのウインドウモールやDピラー部分の加飾が、従来モデルのメッキパーツからピアノブラックになりました。個人的には新型のほうが落ち着いていて、むしろ高級感が上がったという印象を持ちました。
さらにリアのロゴデザインが変更されています。これまでテールランプ上部に「BUILD YOUR DREAMS」とブランドの正式名称が記されていましたが、新型では「BYD」とシンプルなものに改められています。ただし、テールゲート右下に装着される車名ロゴにも「BYD」というエンブレムが残されたまま、というのは少し気になるところです。
ふたつめの変更点は「ディスプレイ」です。前掲の強烈なインテリアデザインの中でも、眼を見張るのはインパネ中央に鎮座する大型のセンターディスプレイです。新型ではそれがより大型化され、15.6インチとなりました。BYDのモデルに共通する「縦⇔横」回転ディスプレイは継続採用されますが、その大きさたるや、初めて触れる人には衝撃を受けることと思います。
そして3つめの変更点は「アプリ」の進化です。先ほどご紹介したセンターディスプレイには、スマートフォンさながらのアプリケーション機能を有しているのですが、新型では「Amazon Music」「検索ブラウザ」「カラオケ」が追加され、充電の待ち時間などで使える便利機能がより充実しました。
中でも「カラオケ」は別売りのマイクと組み合わせることで、リアルなカラオケ体験を可能としています。もちろん歌うだけならマイクがなくても問題ありません。筆者は実際にそれを試しましたが、これが想像以上に楽しいものでした。「ただ音楽を流して歌に合わせて歌えば良くないか?」と最初は思っていたのですが、やはり歌無し音源で、大画面に映る歌詞に沿って歌う感覚はまさにカラオケルーム。音源はデフォルトでさまざまなニーズに対応する名曲が揃っていますので、かなり楽しむことができます。またアプリケーションゆえ、選択できる曲数も更新されていくのは嬉しいですね。
なめらかなドライブフィール、ガッチリした乗り心地はまさに高級車(?)
実際にアップデートされたATTO3に試乗しました。と言っても、走行に関わるハードウェアの変更はないので、2023年に登場したものと同じ乗り味ですが、改めてATTO3の魅力を感じる仕上がりでした。
まず大前提としてお伝えしたいのは、ATTO3をはじめ日本で販売されるBYDは完全電気自動車(BEV)です。中でもATTO3は、58.56kWhのバッテリー容量を備えたFWD(前輪駆動)モデルで、最高出力204ps、最大トルク310Nmのアウトプットを誇ります。気になる航続距離はWLTCモードで470kmを実現しており、競合他車と遜色ない性能を有しています。
今回は横浜で車両を借り出し、東京湾アクアラインを通り、木更津方面へ向かうルートで試乗しました。その後一般道路を1時間程度走行して、同じルートで横浜へ戻りました。
まず乗り始めてボディのガッチリ感を感じました。道路の継ぎ目などで感じられるショックも「ドスン」と表現したくなるような重みのあるもので、端的に言えばヨーロッパ車に近い乗り味です。一方で、ATTO3は同サイズのライバル勢のBEVと比べて車両重量は1750kgとかなり軽く、ハンドル操作に対する追従性や、右左折の際のボディの動き方はかなり軽快な印象を持ちました。したがって、非常に剛性感の高い「イイモノ感」を感じる乗り味だったといえます。
その後、高速道路へ入り料金所から速度を高めていくシーンでは、必要にして十分な加速(+α)を見せてくれました。BEVの加速で期待される「ドカン」系の加速ではなく、あくまで加速時のマナーが良くて、じわじわとトルクの太さを感じるようなセッティングが好印象でした。これはほかのBYDのモデルにも感じられる加速特性なので、このドライブフィールはBYDというブランドの「味付け」なのでしょう。ここでも、ATTO3の「ちょうど良さ」を感じることができました。
高速道路での印象は、一般道路と変わらず「剛性感」を感じる乗り味です。装着されるタイヤはコンチネンタル製のエココンタクト6Qで、高速道路のRの強いカーブでは高いグリップ力を与えてくれる安心高いもので、ATTO3の欧州的な乗り味を生み出すひとつの要因になっていると感じました。
一方で少し気になったのは、高い車速域(80km/h~100km/h)で段差を乗り越えたときのショックが大きかったことです。基本的にガッチリとして引き締められたスポーティな味付けがされている、という性格上致し方ないとも言えますが、コンパクトSUVという幅広いユーザーに訴求すべきセグメントのモデルにとっては、少しスポーティさが強すぎるようにも思います。またブレーキタッチがやや旧世代的な回生ブレーキのフィーリングは少々慣れが必要だと感じました。
ただし、前述のポイントを除けばATTO3のドライブフィールは総じて好印象で、とにかく「安定感のあるドイツ的な乗り味だなあ」としみじみしながらドライブを楽しみました。そして特筆すべきは静粛性の高さで、風切り音やロードノイズは徹底的に押さえ込まれている印象でした。
最後に急速充電を試す。充電性能の課題は残るが電費の良さでカバーできる
200km近くのドライブを終え、最後に急速充電の性能を試しました。ATTO3の急速充電における最大受入能力は85kWと意外にも控えめな数値で、近年増えつつある150kWの急速充電器をぜひとも使いたいところでしたが、ATTO3が受け容れてくれる量はその6割程度と少し物足りないのも事実です。ただしバッテリー容量がそもそも比較的小型ゆえ、充電すべき電力量もその分少なく済むということを考慮すれば実用上問題はないとも言えます。
充電前のSOC(充電残量)は48%、航続可能距離は204kmと表示されており、そこで30分間の急速充電を行いました。ATTO3の最大受入能力である85kWの出力いっぱいで急速充電をした結果、SOCは92%まで充電され、航続可能距離は423kmとなりました。
この結果を見て、筆者はBEVも十分に実用できる領域に入ってきたと感じました。30分で200km以上分の充電ができるのであれば、遠出に出かける際の安心感も高いものになります。また、カタログ上の航続距離である470kmから実際の航続可能距離の乖離がかなり少ないことにも驚きました。すなわち電費性能の良さを証明する結果となりました。とあれば、「少し航続距離短いかな?」と思われたカタログ値の470kmという数値はATTO3の実用上における「ちょうど良い」落としどころなのかもしれません。
圧倒的な訴求力はないかもしれないが、試してみる価値は大いにある
さてアップデートされたBYD ATTO3についてご紹介しました。日本でも親しみやすいボディサイズ、先進的な装備、ユニークなインテリア、ヨーロピアンな乗り味、電費性能の良さ・・・など、ATTO3の魅力は大変高いと感じる結論に至りました。
一方で、内装のデザインを超えるサプライズはほかにないのも事実で、乗り味もユーティリティもライバル勢を圧倒する性能ではなく、あくまで平均的と言えます。けれど、そこに決定的なネガティブポイントがないのも、これまた事実。すなわち全方位において「ちょうど良い」仕上がりというわけです。
ただし日本市場では、どうしても中国車というニューカマーに対して敬遠しがちなユーザーが多いことも事実で、バカ売れ必至的なセールスは望めないでしょう。けれど、一度先入観を取り払ってATTO3に触れてみると「BEVを買うなら、こういう選択肢もアリかもな」という気持ちになると思います。実際に試乗して装備や実用性を試したのち、450万円というプライスタグを見ると、なんともお買い得なモデルだと驚くはずです。
今はちょっと選べない・・・という方も少なくないと思いますが、この先長い目で見てBYDがユーザーからの「信頼性」を獲得した暁には、日本市場でも脅威になるかもしれないと個人的に感じました。
そうは言っても百聞は一見に如かず。さまざまなイベントや、BYDディーラーなどで実施される試乗体験にて、興味がある方はぜひとも触れていただきたいと思います。
(写真・根本貴正/PHOTOS Takamasa Nemoto)
BYD ATTO3 主要諸元
●全長:4455mm
●全幅:1875mm
●全高:1615mm
●ホイールベース:2720mm
●車両重量:1750kg
●モーター種類:交流同期電動機
●モーター:フロント×1基
●最高出力:150kW(204ps)/5000-8000rpm
●最大トルク:310Nm(31.6kgm)/0-4433rpm
●トランスミッション:1段固定式
●駆動方式:FWD
●バッテリー総電力量:58.56kWh
●一充電走行距離(WLTCモード):470km
●タイヤサイズ:235/50R18
●車両価格:4,500,000円
[ アルバム : BYD ATTO3 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
どうみても頭の悪いチャイナだろ。
ボディのカラフルなデカールはヨーロピアンとでも言いたいのか?
橋の欄干に100点とか落書きしてるのか?
わざわざ見つけたのか?
治安が悪そうな場所で車にピッタリだな
そう言えば欧州信者の日本人がなびいてくれると思ったんだねー
でも中華は中華
キンペーの匂いがするからチャイナーだな