先般、「竹平素信氏の引退ラリー」のレポートをお届けした。その舞台はタイでありました。「竹平さんに国際ラリーで走ってもらいたい」と願って実現したこの企画、ところでタイのラリーの魅力やポテンシャルはどんなところにあるのだろうか。このプロジェクトの仕掛け人であり、自身も何度も走った経験のある国沢氏に聞いてみた。
TEXT/国沢光宏、PHOTO/ベストカー
タイはラリー天国!! バイオレット、サニー、ランサーがバリバリ現役で走る地に竹平さんと乗り込んだ!!
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走るも見るも楽しいタイラリーの魅力とは?
私がベストカーガイドの新人編集部員だった頃、当時試乗レポーターだった竹平さんにはたいへんお世話になりました。私にとっての人生で初のグラベル全開も竹平さんのナビシートでございます。ぶったまげましたね! 私がラリー好きになった3分の1くらいは竹平さんの影響と言っていい。そんな竹平さんと数年前からタイで引退ラリーやりましょう、と話をしてきた。
全日本ラリーをTE71で走る竹ちゃんマン。ジェミニが登場するまではカローラは無敵を誇った
なぜタイなのか? 理由4つ。まずラリーの内容。やはりターマックより本格的なグラベルラリーが好ましい。タイの場合、全てグラベルです。2つ目は当時のクルマに乗って頂きたかったこと。タイの国内選手権、旧車クラスあり、皆さんホンキで勝負している。3つ目が参戦コスト。飛行機代を払っても日本より安い。4つ目として話題性を狙った次第。国内より海外でしょう。
オベ・アンダーソンンの弟子でWRCも何戦か走ったレイフ・アスターハグが来日した時の写真。左が竹平さん、右は山内伸弥さん
タイのラリーだけれど、私がフル参戦した2012年当時はグループNがTOPカテゴリーだった。タイ人からすれば参戦コスト掛かると言うことで、数年前からメインカテゴリーはホンダ・ブリオなどAセグのFFにフルチューンの1600ccエンジン積むクラスで競うようになっている。いい音がします。主催は『RAAT』(王室モータースポーツクラブ。日本で言えばJAF)。
竹平さんがエントリーしているクラスは近年大人気となっている旧車クラス。1970年代にラリーで活躍した日本車が多い。初代ランサーや、サファリで大暴れしたバイオレット、210サニー、27トレノ、70カローラも3台出ている。いずれも外観こそノーマルながら中身は少し若返っている(笑)。竹平さんが乗ったカローラは、エンジンとミッションがアルテッツァ。RSの2Lの4気筒です。
竹平さんには本格的なグラベルを思い出の詰まったクルマで走ってもらいたいとタイのラリーが選ばれた
70カローラにフルチューンの4A-GEを搭載したモデルもある。バイオレットだって230馬力くらいありそうなSR20を積む。そして騒音規制なし! 当然ながら素晴らしい音です!
SS始まるとあちこちで高回転まで引っ張るフルチューンNAエンジンの音が響きまくる。昭和のラリーを徹底的に楽しめるワケです。竹平さんの引退ラリーとして考えたら申し分のない舞台だと思う。
今回ラリー車はいつも一緒にラリー活動をしているサンコーワークスの喜多見さん(MIRAIやリーフのラリー車を作った)が手配してくれた。喜多見さん、タイにネオチューンのショップを展開するそうな。儲かったお金で好きなラリーをやろうということです。喜多見さんのショップに行くと、お隣さんのガレージにランサーから86まで少し古い日本車がたくさん並んでいる。
国沢さんにとって竹平さんは師匠のような存在。今回の引退ラリーを企画したのも国沢さんで、タイ滞在中は献身的に竹平さんをサポートした
手軽にレンタルして思い切り走れる
タイはラリーに出るクルマについちゃ車検不要。部品も純正にこだわらない。70カローラにアルテッツァのエンジン乗せても走れるクラスがちゃんと設定されている。日本なら地区戦レベルの安全装備でOKだから、お金だってそれほどかからないで済む。SSを行うコースを見ると、基本的には周囲はブッシュ。落ちるような山もなく、コースアウトしても危険性は少ないと思う。
2010~2014、2017年にキングスカップに出場経験のある国沢氏は2010年に はシリーズチャンピオンに輝いた(写真は2014年のもの)
費用感だけれど、私がタイでラリーしていた時から少し高くなっているものの、エントリー費とホテル代、タイ人メカニック2人を含む最低限のサービスで10万円程度あれば済む。車両は日本から持っていくもよし、現地で借りるもよし。タイ人に知り合いがいれば、サービス含んで20万円もしないで借りられると思う(喜多見さん曰く日本人を通すとボラれるからご注意とのこと)。
ラリーの内容は完全なる現代的なSSで競われる。レッキ2回した後、フルアタック。速いクルマが勝ちというWRCと全く同じルール。SSは本格的!
大衆車ホンダ・ブリオのフルチューン仕様は、ドでかいウイングにオーバーフェンダーで武装し、見違えるよう。エンジンは勇ましいサウンドを轟かせ、ドクミッションも入って、もの凄い加速を見せる
広大な軍用地の中にある映画撮影屋外スタジオが中心となる今回のコースも19kmが2本と8kmが2本、16kmが1本という走り応えのある距離。フラットなグラベルから深いワダチのある路面までバリエーションに富む。なかなか手強いです。
ラリーショップにはビカビカのランサーが2台もあった。1台は部品取り用のストックで、内容にもよるが旧車のラリー車は1台400万~500万円といったところだという
とはいえ竹平さんのような昭和のラリーを知っているベテランだと「少し道が悪いところもあるね~」程度。すでにレポートしていると思うけれど、タイでは竹平さんの凄さをいろんな場面で感じました。さすが全日本チャンピオンを競ったドライバーだけあり、テクニックの引き出しをたくさん持っている。
今回クラス3位走行中のリライアだったけれど「クルマさえ完全に仕上げたら優勝狙えましたね」です。
各クラス表彰されると賞金も出るというからすごい。ちなみに1位は2万バーツ(日本円で約7万4000円)も出るという
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