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なぜ人気? 国内2大巨頭SUV トヨタ「C-HR」とホンダ「ヴェゼル」は似て非なる存在

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なぜ人気? 国内2大巨頭SUV トヨタ「C-HR」とホンダ「ヴェゼル」は似て非なる存在

■国内SUVのトップ2「C-HR」と「ヴェゼル」

昨今、乗用車においてSUVは世界的に販売台数が増えているジャンルです。SUVの流行が最初に広まった地域のアメリカでは、乗用車の新車販売のうち半分以上がSUVとなり、その反動でセダンが売れなくなりました。

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 フォードは、『アメリカ向けのセダンはもう開発しない』と宣言したほど、SUVの流行は欧州や中国に広まったほか、日本でも盛り上がっています。

 2018年に日本で売れたSUVは、50万台を突破。まだまだアメリカほど新車販売における比率は高くありませんが、『販売台数がここ5年で2倍に拡大した』と聞けばその勢いを改めて実感します。

 街中でSUVを見かけることが増え、一般的になったと感じている人も多いです。そのなかで、日本で販売台数の多いSUVはどのような車種なのでしょうか。

 先日、ターボエンジン搭載車「ツーリング」を追加したホンダ「ヴェゼル」は、2018年年間で5万9629台を販売し2位でした。1位は、7万6756台を販売したトヨタ「C-HR」です。

 この2台の人気SUVに共通するのは、『コンパクトSUV』ということ。そこで、昨年のSUV販売トップとその次であり、ライバル関係にある2台のSUVを改めて比較します。

 まずボディサイズと価格帯は、「C-HR」が全長4360mm×全幅1795mm×全高1550から1565mm、価格は229万円から292万9200円(特別仕様車を除く)。

 一方、「ヴェゼル」は全長4330から4340mm×全幅1770から1790mm×全高1605mm、価格は207万円から292万6000円となり、両車を比べるとかなり接近した関係です。

 パワートレインのバリエーションは、どちらもガソリンターボエンジン車とハイブリッドがありますが、「ヴェゼル」はさらにターボの備わらないガソリン自然吸気エンジン車も用意。

 そのぶん「ヴェゼル」のほうがベーシックグレードの価格が安いのは、そこに理由があります。また、「ヴェゼル」には「C-HR」にはない『ハイブリッドの4WDモデル』が設定されているのも、雪国のユーザーやウインタースポーツに出かける人にとっては大きなポイントとなります。

 また、両車ではターボエンジン車の意味合いが違うのも興味深いところ。「C-HR」は自然吸気ガソリン車がなく、ターボエンジンは1.2リッターと排気量が小さめで、排気量を下げて燃費を向上することを狙ったいわゆる『自然吸気エンジンの代わりのダウンサイジングターボ』で出力も116psと控えめです。

 自然吸気エンジン車も用意する「ヴェゼル」は、ターボエンジンの排気量が1.5リッターと「C-HR」よりも大きく、172psと高出力で『加速性能を高めた高出力モデル』という位置づけとなります。

 乗り比べてみると、「C-HR」が『不足のない加速』という印象なのに対し、「ヴェゼル」は『グググッと加速』する力強さが印象的でした。“速さ”を求めるなら、「ヴェゼル」のターボ車が魅力的です。

■総合的なパッケージにも両車の個性が存在

 しかし、両者の大きな違いはそれだけではありません。居住性や荷室などのパッケージングにもキャラクターの違いがでてきます。

 「C-HR」でもドアが後席にもついているものの、キャラクターは『個性を強めたクーペ』に近く、後席も大人が座るのに窮屈とまではいきませんが、それほど広くありません。

 荷室も同じジャンルに属するマツダ「CX-3」ほどは狭くありませんが、リヤシート使用時の容量は318L(VDA式計測)で、「ヴェゼル」に比べると393L(ハイブリッドFF車)と狭いのです。

「C-HR」から「ヴェゼル」に乗り換えてみると、後席や荷室はその広さに驚きます。後席は足元(ひざまわり)に圧倒的なゆとりがあり、広々感を実感できる空間。また荷室は、SUVとは思えないほど床が低くて空間が広いから、コンパクトSUVでナンバーワンの実用性の高さを誇っています。

 同じようなボディサイズなのに、どうして「ヴェゼル」は小さな車体に広い後席と荷室を用意できたのでしょうか。実は、「ヴェゼル」が巧みなパッケージングを成立できたのには、大きな理由があります。それが『センタータンクレイアウト』と呼ぶホンダ独自のアイデア。

 通常は、後席の下あたりに置かれる燃料タンクを運転席/助手席の下に組み込んでいるのですが、燃料タンクの制約がなくなることで、後席の配置や設計の自由度が高まり、高効率のパッケージングを実現できているのです。

 一方で、「C-HR」の魅力はデザインの個性の高さといえるかもしれません。かつて筆者(工藤貴宏)は、「C-HR」の開発エンジニアから『なにより個性的なスタイルを重視した。そのため実用面では犠牲となっている部分もあるが、それを最小限に抑えつつ思い描く外観のデザインを成立させることを優先させた』と教えてもらいました。

 また、「ヴェゼル」に比べると「C-HR」はワンクラス上のプラットフォームを使っているので操縦安定性にゆとりがあるのも、クルマ好きにとっては見逃せないポイント。

 いま、まさに百花繚乱といえるコンパクトSUVクラス。そのなかでも、「C-HR」のように個性的なデザイン重視のモデルや「ヴェゼル」のように実用性が際立つモデルがあります。

 間違いないのは、幅広い選択肢があり、そのなかから自分の好みや使用環境に応じて選べるのは、クルマを選ぶ立場からは歓迎すべき状況だということです。 【了】

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