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メルセデスに今も残る2021年アブダビの傷跡。当時のレースディレクターは「病的なエゴマニアック」とこき下ろす

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メルセデスに今も残る2021年アブダビの傷跡。当時のレースディレクターは「病的なエゴマニアック」とこき下ろす

 2022年にF1のレギュレーションが変更されて以来、苦戦が続いているメルセデス。それだけに、物議を醸した2021年の最終戦アブダビGPは今もトト・ウルフ代表の心の傷跡になっているようだ。

 レッドブルのマックス・フェルスタッペンとメルセデスのルイス・ハミルトンが同点で最終戦を迎えるという2021年の激しいタイトル争いは、シーズンの最終周に決着した。

■メルセデス、W15のダウンフォース量は想定通り……しかしそれは無意味? ウルフ代表「ラップタイムが少しも速くなっていないんだからね」

 レース終盤にセーフティカー(SC)が出動。タイミングよくタイヤを履き替えられたフェルスタッペンが有利な状況でファイナルラップのリスタートを迎え、ハミルトンをオーバーテイクして自身初のチャンピオンに輝いた。

 だが、このSCの処理をめぐって当時レースディレクターだったマイケル・マシがふたつのルール違反を犯したとして、大きな騒動に発展した。

 通常なら周回遅れのマシンをSCの前に出し、隊列の後方に追いつくのを待ってからリスタートするはずだが、このアブダビではファイナルラップにリスタートを間に合わせるため、ハミルトンとフェルスタッペンの間にいた周回遅れのマシンだけをSCの前に出し、すぐにリスタートをしたのだ。

 FIAはマシのレース処理について調査を実施し、周回遅れのマシンをすべて隊列の最後尾に復帰させなかったという”人為的ミス”があったとしても、マシは”誠意”を持って行動したと結論づけた。

 しかしマシは調査が完了する前にレースディレクターのポストから降ろされ、その後FIAと完全に袂を分かつ形となった。その後FIAはこうした事態の再発を防ぐため、手順をいくつか変更している。

 2022年からのレッドブルの圧勝劇や、メルセデスの苦戦もありこの件は年々忘れられつつあるものの、近年のスポーツ史において最も物議を醸したイベントのひとつである。

 ウルフ代表は昨年行なわれた『The Formula book』のインタビューで、再びマシを非難し、彼の行動によりタイトル争いをハミルトンから遠ざけることになったのは”不公平”だと述べた。

「あの日、ルイスとチームに起きたことはとても不公平なことで、ルールに違反したたったひとりの人間があのような事態を招いた」

「彼は全く無関係なんだ。彼は地球の反対側に住んでいて、誰も彼に興味がない」

「彼は本当に、病的なエゴマニアック(異常に自己中心的な人)だった」

 FIAは調査の中で、マシがレースをグリーンフラッグの状態で終わらせ、盛り上がりに欠けるSCフィニッシュを避けたいというチームを含むF1関係者の要望を考慮に入れていたことを指摘した。

 ウルフ代表は、この年のフィナーレにショービズ的な要素があったことを認めつつも、F1の歴史に影響を及ぼす、史上最多8度となるはずだったハミルトンのドライバーズタイトルが”奪われた”と感じている。

「このスポーツをこれほど魅力的なものにしているのは、ドラマと栄光だ」

「8度のワールドチャンピオンにふさわしい人物がタイトルを奪われるというドラマを誰もが見た」

「私はむしろ、その逆で終わってほしかった。しかし、それは明らかに歴史に残るものだ」

 昨年末、ハミルトンは2021年のアブダビGPをきっかけにF1からの引退を一時は考えたものの、最終的にはF1キャリアを延長することを決めたと認めた。

 ハミルトンは、パルクフェルメで新王者となったフェルスタッペンと会ったレース直後の出来事を、自身の人生の”決定的瞬間”と表現した。

「奪われたか? 明らかにね。ご存知のとおりだ」

 そうハミルトンは『GQ』誌に語った。

「でも、あの瞬間に本当に美しかったのは、父(アンソニー)が僕と一緒にいたことだ。浮き沈みの激しいジェットコースターのような人生を一緒に歩んできたんだ」

「そして一番痛かった日、彼はそこにいてくれた。彼は常に立ち上がり、頭を高く保つように僕を育ててくれたんだ」

「マックスを祝福しに行ったが、それがどれほどの影響力を持つかは知らなかった。これは僕の人生の決定的瞬間だ。本当にそうだったと思う。僕はそれを感じた」

「どう受け止められるか分からなかった。イメージしていなかったんだ。でも間違いなく意識していた。あと50メートル歩けば、地面に叩きつけられて死ぬか、立ち上がるかだってね」

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