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【試乗】e-tron GT quattroがアウディの解答! EVでも思いっきり楽しいクルマを作ってきた

掲載 更新 22
【試乗】e-tron GT quattroがアウディの解答! EVでも思いっきり楽しいクルマを作ってきた

 この記事をまとめると

■アウディのハイパフォーマンスEV e-tron GT quattroに試乗

職業ドリフト・アーティスト! モータースポーツではイマイチだった「カリスマドライバー」ケン・ブロックって何者?

■モーター駆動のAWDでもアウディらしい安定した走り

■4ドアモデルだが後席は狭め

 速さは紛れもないハイパフォーマンスカー

 アウディの未来を告げ、アウディの理想を体現したAudi e-tron GT quattroに試乗する機会を得た。e-tron、つまりBEVの4ドアスポーツクーペであり、J1パフォーマンスプラットフォームと呼ばれる基本部分はポルシェ・タイカンと共通だ。quattroはもはや前後に配置された2基のモーターで駆動する新世代電動4WDシステムであり、前後トルク配分は100:0から0:100まで連続的、完全可変的に変化するのだが、その可変スピードは電動化によって機械式quattroの5倍のスピードだというから駆動配分は電光石火の自在度があると言っていい。

 Audi e-tron GT quattroの実力を端的に表せば、駆動用バッテリー総電力量93.4kWh、最高出力390kW、最大トルク640N・m、0-100km/h加速4.1秒。一充電走行可能可能距離は電動グランツーリスモに求められる534km(WLTCモードのカタログ値)を達成している。ちなみに0-100km/h加速4.1秒は、かつてのアウディS8(2012)、アウディR8スパイダー(2009)、ポルシェ・パナメーラGTS(2018)あたりに匹敵するハイパフォーマンスである。

 4ドアクーペといっても先進感、プレミアム感溢れるスーパーカー的佇まいを見せる、可変式エアインテーク&リヤスポイラーを備えるエクステリアは、とにかく低くワイド。ボディサイズは全長4990×全幅1965×全高1415mm。ホイールベース2900mm。RS7 Sportbackよりさらに低く構えた、CD値0.24を誇るアーティスティックと表現できる流麗なプロポーションがただならぬ存在感を示している(ボディ下部はディンプル付きアンダーカバーによって真っ平である)。

 試乗車の足もとを引き締めるのは、標準のフロント:225/55R19、リヤ:275/45R19からオプションとしてグレードアップされたフロント:245/45R20、リヤ:285/40R20サイズのピレリP7。この20インチ、または21インチホイールを選択すると、ブレーキはタングステンカーバイトコーティングが施され、ブレーキダストが90%低減。環境により優しくなるとともに、ドイツ車の悩みの種でもあるホイールのブレーキダスト汚れ防止にも効果があるはずである。

 充電に関しては、家庭用200V普通充電、そして外出先の90kW急速充電が可能で、後者では約30分で最大250km以上の走行が可能になるという。

 サステナビリティの面では、サステイナブルな未来をトータルに追求したAudiの取り組みを象徴するレザーフリーパッケージを用意。つまり、リアルレザー(本革)をいっさい使用せず、しかし人工皮革(アルカンタラ)とリサイクル素材から抽出したポリエステル繊維などをシートや車内各部に採用することでアウディ一流のプレミア感を演出しているのである(試乗車もそのパッケージをオプション装備)。

 デジタルコクピットに潜り込めば、そこはAudi最新世代のテクノロジーを取り入れた先進のインフォテインメントに囲まれたプレミアムな世界。確かに車高、レザーフリーパッケージに含まれるスポーツシートプラスの着座位置はごく低いものの、身長172cmの筆者であれば、無理のない姿勢での乗り降りが可能であった。

 電気自動車なのに勇ましい音がする!

 ところで、筆者は以前、e-tron Sportbackの強烈なパフォーマンス、しかしBEVならではの驚くべき静かな移動空間に大きく感動した経験がある。また走行中、モーターの音だけでなく、ロードノイズさえも耳に届かず、聞こえるのはエアコンのさわさわした音だけという、クルマに乗っていることを忘れさせてくれるほどの静かさを現実のものにしたジャガーI-PACEにも試乗しているが、このAudi e-tron GT quattroには、そうしたクルマとは異なる世界観がある。

 というのは、パワースイッチをONにしてからというもの、結構な迫力ある低音のサウンドを、ハイパフォーマンスカーとしては控えめながら響かせているのだ(車内より車外のほうがより分かりやすい)。その理由は、あえてのe-tronスポーツサウンドシステムにある。電動化された走りをエキサイティングに演出するため、電気モーターの回転数や走行速度、アクセルペダルの踏み込み量などからデジタルサウンドを生成し、車内と車外! にそれぞれ2個搭載したスピーカーで再生。Audi e-tron GT quattroならではのサウンドコントロール、ドライビングプレジャーをもたらしてくれるというわけだ。

 無論、アウディドライブセレクトのモードに合わせ、静かな移動空間を楽しむ設定から、スポーティでダイナミックな設定まで、好みの走行サウンドに調整することも可能となっている。内燃機関の高性能車に慣れたドライバー、乗員にとって、これは歓迎すべき点であり、正直言えば、静かすぎる電動車の、ある意味つまらなさを見事に解消し、BEVであっても内燃機関のハイパフォーマンスカーのようなエキサイティングな走りを、そのサウンドとともに楽しませてくれるのである (もちろん爆音ではないけど)。

 今回は首都高速道路と一般道を1時間弱ほど走っただけの試乗だったが、パワーフィールは最高出力390kW、最大トルク640Nmの強烈なスペックと例のe-tronスポーツサウンドによって、公道ではアクセルペダルを深く踏み込むことをためらわせるほどの、モーター駆動ならではのシームレスかつ超絶なハイパフォーマンスを実感。乗り心地はさすがに20インチタイヤだけにタイトだが、そこはアウディ、粗さのないフラット極まるスポーティな乗り味にしつけているから、この種のハイパフォーマンスカーとして文句のない上質な乗り心地に仕上がっていると言っていいだろう。

 操縦性ももちろんスポーティ。機械式quattroの5倍のスピードで前後配分を可変させる新世代電動4WDシステム= 電動quattroによって、終始、4輪が路面に吸い付くかのようなフットワーク、圧巻のスタビリティの高さを示してくれる。一転、アウディドライブセレクトのモード設定によっては、BEVならではの優雅で静かなクルージングも楽しめるのだから、見事な”二刀流”ではないか。

 ただし、全長4990mm、ホイールベース2900mmの4ドアクーペとは言え、流麗なルーフラインを持つため、後席は頭上、膝まわり空間ともに広々としているとは言い難い。大人が乗っても不満のないレベルの居住スペースは確保されているものの、A6やA8のようなサルーンの快適感が望めない点は、承知しておくべきだろう(クーペだから当たり前だが)。また、リヤウインドウの視界も、スーパーカーのように天地が狭い……。

 わずかな時間付き合ったAudi e-tron GT quattroだが、アウディの理想を体現した強烈な電動パフォーマンスとともに感心したのは、やはり内燃機関のクルマからいきなり乗り換えても違和感のないドライビングプレジャー(e-tronスポーツサウンドによるところが大きい)と、意外なほど小まわりが効く点だ。調べてみると最小回転半径は5.5mと優秀なのである。小まわりが効けば、Uターンはもちろん、駐車、幅寄せもしやすく、ワイドな車幅、ごく低い視界であっても、意外なほど運転がしやすいという印象が持てたのも本当だ。

 なお、一充電走行可能可能距離はWLTCモードのカタログ値の534kmに対して、実質400km程度だと思われる。つまり、東京~箱根(往復約240km)なら余裕、東京~軽井沢間(約400km)であれば、軽井沢滞在中の1回の充電で、特別なことがない限り、問題なく走り切れる航続距離ということになるから頼もしい。

 そんなAudi e-tron GT quattroの車両本体価格は1399万円。レザーフリーパッケージ(30万円)、20インチタイヤ&ホイール(16万円)、ブレーキタングステンカーバイトコーティング&カラードブレーキキャリパー(35万円)、テクノロジーパッケージ(67万円)などをオプション装着した試乗車の価格、アウディの未来を今すぐに手に入れるための対価は1557万円に達する。なお、アウディは今後、4種類のEVプラットフォームを展開。2025年までにモデルラインアップの1/3をEVに、2026年には新型車をすべてEV化すると宣言している。

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みんなのコメント

22件
  • そりゃこのクラスなら楽しくなきゃ困るよと言ってみる
  • なんでEVなのにセンタートンネルがあんな高いんだろ、何が通ってるんだ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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