燃料電池自動車、通称FCVと呼ばれますが、皆さん乗ったことありますか? ベストカーには社用車としてトヨタMIRAIがありますが、走りも乗り心地も非常によくて快適な存在です。しかーし、問題点といえばその航続距離に対するヒヤヒヤ感。400km程度は走るのですが、なんせ水素を充填できる場所がない。水素ステーションがまだまだ足りず、また営業時間も土日はお休みだったりと、ガソリンスタンドと比較すれば不便な存在です。それを打破するべく、自動車メーカーとインフラ事業者がタッグを組んで本格的な解決に乗り出したようです。
文:ベストカー編集部/写真:池之平昌信、Shutterstock.com、ベストカー編集部
■計画は達成できるのか!? あまりにも強気な水素ステーション計画
世界的な気候変動が問題になるなか、パリ協定が結ばれCO2削減は喫緊の課題となっている。世界の平均気温上昇を産業革命前の2度未満にすることが合意され、世界では脱炭素化の流れが加速している。
そのなかで日本は化石エネルギー依存度が2016年の数字で88.8%と先進国のなかではひときわ高い数字となっている。このままでは世界から取り残されてしまうという危機感が政府にあるのは確かで、昨年末政府が発表した「水素基本戦略」もその表れととらえることができる。
「水素基本戦略」については改めて説明するが、それを民間側が受けるかたちで、トヨタ自動車やJXTGエネルギーなど11社が結集して日本水素ステーションネットワーク合同会社(略称・ジェイハイム)を設立した。
11社はトヨタ、日産、ホンダの自動車会社に加え、JXTGエネルギー、岩谷産業などインフラ事業者、そして豊田通商や日本政策投資銀行が入るオールジャパン体制。「水素基本戦略」実現の推進役として期待されるが、ことはそれほど簡単ではない。
ジェイハイムの発足会見。社長は元トヨタ自動車の菅原英喜氏だ
水素ステーションは現在建設中のものを含めると101カ所あり、北海道と福島が完成すれば札幌から博多まで日本縦断も可能になる。ただ、政府が昨年12月に策定した「水素基本戦略」によれば、水素を太陽光や風力と並ぶ新エネルギーと位置づけ、水素技術で世界のカーボンフリー化を牽引するとしている。具体的には
1. 2020年にFCVを4万台、2025年に20万台、2030年に80万台まで普及させる
2. 2020年に水素ステーションを160カ所、2025年に320カ所、2030年に900カ所まで整備する
3. 2020年までに水素ステーションの建設コストを半減
4. 水素ステーションの無人化を含めた規制緩和の実現
5. 現在100円/Nm3となっている水素の値段を2030年には30円/Nm3とし、将来的には20円/Nm3とする
ことなどが盛り込まれている。
いずれも高いハードルであることはいうまでもない。今回の会見でジェイハイムは今後4年間に80カ所の水素ステーションを整備することと、なるだけ早い段階での47都道府県すべてのネットワーク構築を目標に挙げた。
水素ステーションはかなり価格が高い。コストの削減などが進むのかがカギだ
また水素ステーションを効率的に運営するため、新規の水素ステーションはジェイハイムが所有し、インフラ事業者に業務を委託する。そして既存のものを含めてステーション事業者からの情報を集約するようになる。
これによって規制緩和や機器の標準化を行い、コストダウンを図っていくとした。水素ステーションは世代を重ねることでコスト削減が図られるというけれど2020年までに半分のコストになるとは、にわかに信じがたい。
さらに現在水素ステーションを1基作るのに4億~5億円必要で、その半分に国の補助金が充てられているが、残り半分の10~20%を金融投資家から集めたいとしている。そもそも未来を見越して投資してくれる企業や投資家が現れるのかは未知数だ。
■水素ステーションがあってもFCVがないは困る
いくら水素ステーションを整備しても魅力的なFCVが誕生しなければ、「絵に描いた餅」。現在販売されているFCVの乗用車はトヨタのMIRAIとリース販売のホンダ・クラリティだけ。
2018年1月末のFCVの保有台数はわずかに2400台と、これでは2年後の2020年に4万台という数字はとてもムリではないだろか。
トヨタは2020年にMIRAIの次期モデルにあたるFCVを投入、日産はダイムラーやフォードと燃料電池車を共同開発、ホンダも2020年頃にはGMと共同開発した新型FCVを投入するとしているが、商品力という点でどうなのか疑問が残る。
FCスタックなどの技術革新が進み、政府からの補助金によって300万円くらいで手に入るようになれば話は別だが。
まだまだFCVが一般的とは言い難い現状だ。今後も新たなFCVの登場が予測されるが浸透するまでには時間がかかるだろう
可能性があるのはバス、トラックで700~800kmの航続距離があれば、高速道路を使っての路線運行が可能だ。現在ガソリンスタンドに水素ステーションを建設できるようにする法改正も検討されており、そうなれば物流を担うことが可能だ。
またFCバスは東京や名古屋で路線バスとして走行しており、ステーションの整備で長距離の路線も担うことは可能だ。
参考までに経済産業省が2016年3月に公表したEV&PHV普及目標によれば2020年の国内保有台数は最大100万台。いっぽう2017年3月末時点で公共の急速充電器は7108基、普通と合わせた充電器の総数は2万8260基にも上る。
リーフが発売になった2010年に比べると20倍になった計算だが、EVとPHVの2017年3月末の保有台数は16万台あまりに過ぎない。EVやPHVのラインアップがまだまだ少なく、ハイブリッド車のような競争が生まれていないことが大きな原因だと思う。
CO2削減のためにEVやPHVの普及は重要なことだがステーションの整備がそのまま普及につながるかといえばそうではない。
水素ステーションの整備はけっこうだが、トラックやバスを含め魅力的なFCVがたくさん生まれ、ユーザーが悩むようでなければ、政府がいうような普及は難しいと思う。
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