特にスポーツカー 世代交代で値上がり
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
【画像】手の届く価格なら…… 世界でも人気 日本のスポーツカー5選【ディテール】 全89枚
最近はクルマの価格が高くなったといわれるが、特にそれを感じさせるのがスポーツカーだ。
例えばマツダロードスターは、直列4気筒1.5Lエンジンを搭載するベーシックなSが260万1500円(6速MT)、最上級のRSは333万4100円(6速MT)に達する。
ロードスターの価格推移を振り返ると、1989年に発売された初代モデルは、1.6Lエンジンを搭載して発売時点におけるベーシックグレードの価格が170万円(5速MT)であった。
パワーステアリング/パワーウインドウ/14インチアルミホイールなどを加えたスペシャルパッケージが185万円(5速MT)だ。
1998年に発売された2代目は、1.6Lエンジンのベーシックグレードが運転席&助手席エアバッグなどを標準装着して177万円(5速MT)。
パワーステアリング、アルミホイール、トルセンLSDなどを備えたスペシャルパッケージは196万円(5速MT)だ。
1.8LエンジンのRSは、ビルシュタイン製ショックアブソーバー、フロントサスペンションタワーバーなどを装着して229万5000円(6速MT)であった。
初代に比べると、1.8Lを搭載するRSなどが加わり価格帯を上側に広げている。
2005年に発売された3代目は、エンジン排気量を2Lに拡大した。価格はベーシックグレードが4輪ABSや運転席&助手席エアバッグなどを標準装着して220万円(5速MT)。
RSはビルシュタイン製ショックアブソーバー、トルセンLSD、フロントサスペンションタワーバーなどを備えて250万円(6速MT)だ。
そして4代目の現行型は、現時点の価格が冒頭で述べた通りで、Sは260万1500円(6速MT)。RSは333万4100円(6速MT)になる。
フェアレディZの価格はどうだろうか。
フェアレディZは「かなり」価格上昇
1989年に発売された日産フェアレディZ(4代目)は、2シーターボディにV型6気筒3L自然吸気エンジンを搭載する300ZXが345万円(5速MT)。
上級の3Lツインターボを積む300ZXツインターボは395万円(5速MT)であった。
2002年登場の5代目は、2シーター仕様のみで、エンジンもV型6気筒3.5L自然吸気に統一された。
価格はバージョンSが330万円(6速MT)、最上級のバージョンSTでも360万円(6速MT)だから、4代目に比べると割安とも受け取られた。
6代目の現行型は、バージョンSの現行価格が484万8800円(6速MT)、バージョンSTは519万8600円(6速MT)だから、価格がかなり上昇している。
過去10~15年で1.2~1.4倍の価格上昇
ロードスターとフェアレディZの価格推移を見ると、先代型から現行型になって大幅に高まった。
ロードスターは、先代型が2005年に発売された時の主要価格帯は220~250万円だが、現在は260~333万円だ。
フェアレディZも、先代型が2002年に発売された時は330~360万円だったが、今は480~520万円に達する。
先代型に比べると約150万円値上げされた。
さらに日産GT-Rは、2007年に発売された時の価格は777万円であったが、今は最も安価なピュアエディションでも1082万8400円だ。
改良を繰り返しながら、300万円以上値上げされた。
以上の価格推移を見ると、2000年代以降の値上げ率が大きい。比率に換算すると、スポーツカーの価格は過去10~15年の間に1.2~1.4倍に高まった。
その背景には複数の理由がある。
スポーツカーの値上げ 最大の理由は
各種の機能や装備が充実
スポーツカーが値上げされた一番の理由は、安全面を中心に各種の機能や装備が充実したことだ。
ロードスターRSの場合、先代型が発売された時は、サイドエアバッグや横滑り防止装置がオプション設定だったが、新型はこれらを標準装着した。
さらに歩行者も検知できる衝突被害軽減ブレーキ、ドライバーの死角に入る後方の並走車両などを検知して知らせるブラインドスポットモニタリング、左右各12ブロックのLEDを自動的に点消灯して、ハイビームを保ちながら相手車両の眩惑を抑えるアダプティブLEDヘッドライトなども標準装着した。
快適装備では、さまざまな情報を表示できて、SDカード(4万9500円)をセットすればカーナビ画面としても使える7インチWVGAセンターディスプレイ、アルカンターラ&ナッパレザーのシート表皮などが備わる。
フェアレディZも、カーナビを標準装着するなど装備を充実させた。このほか各車種ともに排出ガスのクリーン化など環境技術を採用しており、これらのコストも価格を押し上げた。
消費増税の影響も
消費増税の影響も大きい。1989年に実施された時の税率は3%だが、1997年に5%、2014年に8%、2019年には10%まで高まった。
税額の表示方法も変化している。
当初の価格表示は、消費税を含まない本体のみだったが、2004年4月以降は消費税を含む総額表示方式に変更された。
例えばフェアレディZの場合、2002年に先代型が登場した時の表示には、消費税が含まれていない。現在は10%を含むから、価格の受け取り方も異なる。
先代フェアレディZバージョンSの価格は税抜表示で330万円だったが、これに現在の消費税/10%を加えたと仮定すれば363万円になる。
今日のバージョンSは484万8800円だからさらに高価だが、消費税の影響も小さくない。
もう1つ、根本的な問題がある。
売れ行き低迷 コスト低減むずかしく
スポーツカーの価格が高まった背景には、以前に比べて売れ行きが全般的に下がり、量産効果に基づくコスト低減を図りにくくなった事情もある。
例えばロードスターの世界生産台数は、1990年には9万5640台であった。それが2000年代に入ると、SUVの高人気も影響して、年間生産台数が2~4万台に下がった。
生産累計90万台を2011年に達成しながら、100万台に到達したのは2016年だ。最盛期には1年間に10万台近くを生産したが、2011年以降は約5年を要した。
それでもロードスターは現行型になって人気を少し盛り返し、1年間に海外を含めて約3万台を売るが、独自のプラットフォームやパーツを多く使うこともあって、この台数ではコスト低減を図るのは難しい。
その結果、スポーツカーはロードスターに限らずフルモデルチェンジの周期が全般的に長い。そうなると古さが一層目立ち、売れ行きも下がる悪循環に陥りやすい。
そこで重要なのがマイナーチェンジだ。頻繁に改良を行えば商品力が維持され、前期型のユーザーが中期型に乗り替え、さらに後期型を買うこともある。
スポーツカーはファンに支えられるクルマだから、メーカーが厳しい市場環境の中で頑張って改良を続ければ、そこに共感して購入する。
価格の上昇、燃費や騒音規制の強化などスポーツカーの障壁は増えているが、ロードスターのように少数でも安定的に売れ続ける車種がある。
スポーツカーは、メーカー/ディーラー/ユーザーが一緒に造っている商品だから、売れ行きが下がっても根強い需要があり、簡単には消滅しない。
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