■オラオラ顔にイメチェン… 1年後の現状とは
2019年8月1日、オラオラ顔にイメチェンして話題となった日産の人気ミニバン「セレナ」ですが、登場から1年経った現在の販売動向はどうなっているのでしょうか。
日産「セレナ」車中泊モデルが登場! 贅沢な「4人乗り」仕様!
セレナは、ミニバンのなかでもトップクラスの人気を誇るモデルです。2018年の年間新車販売台数でミニバン1位を記録。2019年はトヨタ「シエンタ」にその座を明け渡したものの、人気ミニバンとして堅調な販売を見せています。
しかし、新車販売台数ランキングにおいては、これまで上位5台に名を連ねるモデルでしたが、直近では徐々に順位を落としつつありました。
現行モデルの5代目セレナは、2016年8月に登場。2018年3月には日産の電動パワートレイン「e-POWER」を搭載したモデルが追加されています。
2019年8月のビッグマイナーチェンジでは、エアロ加飾が施されたグレード「ハイウェイスター」のフロントデザインを一新して、「ダブルVモーショングリル」を採用したことで、従来のデザインよりも流行りの「オラオラ顔」へとイメージチェンジ。
安全装備において、「全方位運転支援システム」を全グレードで標準装備したほか、対向車がいる状態でもハイビームできる「アダプティブLEDヘッドライトシステム」を日産車で初めて装備しました。
また、「プロパイロット」では、下り坂でも設定速度を保つことやブレーキの操作が可能となったほか、オプション設定であった「踏み間違い衝突防止アシスト」が全車標準装備。ほかにも、「サンライズオレンジ」などいった新たなボディカラーが追加されています。
フロントデザインに採用された通称オラオラ顔と称される迫力ある造形とギラギラしたメッキ加飾は、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」や「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」に採用される、威圧感あるフロントマスクを指し、これらの車種が人気を集める大きな要素とされていました。
しかし、ビッグマイナーチェンジ後も販売台数や順位に大きな上振れとなる変化は見られません。その後、2020年に入ってもセレナの販売台数は伸び悩んでいます。
2月こそミニバンでトップでしたが、そのほかの月ではトップ10を逃すことも多く、2020年上半期(1月から6月)では前年比66.3%となる3万5599台となり、ミニバンジャンルではシエンタや高級ミニバンのトヨタ「アルファード」に次いで、3位という結果になりました。
比較対象とされるトヨタの「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」よりは上位に位置しているものの、かつてはミニバントップだったセレナが、なぜこれほどまでに苦戦しているのでしょうか。
首都圏の日産販売店スタッフは以下のように話します。
「2019年のマイナーチェンジで、いわゆる『オラオラ顔』のフロントマスクのグレードが追加されましたが、これがいまいちウケませんでした。
もちろん、まったく売れていないわけではなく、気に入ってくださるお客さまもいますが、かつてのセレナの客層とは若干異なってきているように感じます。
もともと、セレナを検討するユーザーは、他メーカーのオラオラ顔ミニバンではなく、落ち着いた雰囲気が好みという人が多かったため、逆効果だったのではと感じます。オラオラ顔を押し出しすぎて、本来のセレナの魅力が伝わっていないのでは、と少し不安です」
■セレナの強みはやっぱり「e-POWER」
セレナもライバル車のデザインを意識したフロントデザインを採用しますが、それが結果的に自身の個性を失うことに繋がってしまい、トップへ復活するどころか、販売不振を加速させてしまっているようでした。
しかし、前出とは別の販売店スタッフは、そんなセレナにもまだ復活の見込みは十分にあると話します。
「先日、若いお客さまで『レンタカーではじめて乗って、e-POWERの運転のしやすさに驚き、購入に至った』という例がありました。
それ以降、積極的に試乗を進めたところ、お客さまの反応はとても良いです。『e-POWERを聞いたことがない』、『知っているがただのハイブリッドだと思っていた』というユーザーには、実際に乗ってもらうようにしています。
最近発売されたSUVの『キックス』にも搭載のe-POWERは、燃費性能だけでなく、加速やアクセルを踏んだ感触が他車とは違います。最近は販売が伸び悩むセレナですが、改めてe-POWERを武器に販売していければと思います」
また別の販売店スタッフは、オラオラ顔のデザインについて次のように話します。
「ハイウェイスターが新しいデザインになった際には、肯定・否定どちらのお客さまもいらっしゃいました。しかし、最近ではそのデザインにも慣れたのか、否定的な反応を聞く機会が減ったように感じます。そのため、セレナ本来の魅力を改めて伝えていければ良いのかと思っています」
※ ※ ※
本来、販売を復活させるためのマイナーチェンジが裏目に出てしまったものの、強みであるe-POWERの注目度はまだまだ高いようです。
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