■イマ復活するべき「シルビア」
日産「シルビア」は生産終了から22年が経過してもなお、スポーツカーの代名詞として非常に高い人気を誇ります。そして、その復活を待ち望む声もやみません。
しかし、日産はかつて「シルビアの復活」を示唆するようなモデルを披露していました。現在もこのモデルについてはさまざまな意見が寄せられています。
【画像】超カッコイイ! これが日産の「次期型シルビア」!? (48枚)
シルビアは1965年にデビューした2ドアスペシャリティクーペです。7世代にわたって展開され、2002年に生産終了しています。
1988年登場の5代目(S13型)はスタイリッシュなデザインをまとい、当時のバブル景気も手伝って、若い男女に「デートカー」として支持されました。
高性能な4気筒ターボエンジン搭載やMTの設定、かつハンドリングに優れる後輪駆動(FR)を採用していたこともあり、当時のドリフトブームなどもあり、中古車としても手軽にスポーツ走行を楽しみたい若者からの人気も獲得します。
1993年には6代目となるS14型へとフルモデルチェンジ。ボディサイズを大型化したことで、やや人気に陰りが出ることになりました。
1999年、最終型のS15型へとバトンタッチすると、再びコンパクトな5ナンバーボディへと戻ったことに加え、デートカーとしてのキャラクターからスポーティ路線へと変更。大型スポイラーを備える「タイプR」グレードの設定などから再び人気を獲得しました。
しかし、平成12年排ガス規制などの影響により、2002年に惜しまれつつも生産を終了。S15型はたった3年のみの短命モデルでした。
以後、20年以上にわたってシルビアの名称は復活していませんが、シルビアの復活に期待する声は常にあがっており、都度、様々な憶測や出所不明の噂が立っては消えを繰り返しています。
そんななか、2013年に開催された第43回「東京モーターショー」で、日産は「IDx(アイディー・エックス)」と称されるコンセプトカー2台を世界初公開しました。
開発のプロセスに、創造力豊かな「ジェネレーションZ(いわゆるZ世代・1990年代以降に生まれた若年層)」が積極的に参画する「コ・クリエーション(共同創造)」を取り入れ、新たな価値観を商品開発に反映したといいます。
2台ともノッチバックタイプの2ドアクーペで、駆動方式はFRを採用。デザインはかつての「ブルーバード」(3代目)を思わせるクラシカルなものとなっています。
なかでも「IDx NISMO」はコ・クリエーションプロセスのなかで、かつて日産が開発してきた数多くの箱型レーシングカーのスタイリングを昇華させたモデルです。
ボディサイズは全長約4100mm×全高約1300mm×全幅約1800mmです。
エクステリアはスポーティな逆スラントノーズやカーボンパネル、サイド出しのマフラー、大型スポイラー、19インチの大径ホイールなど、かつてのレーシングカーの雰囲気とモダンさを融合。
インテリアは、水平基調のインパネや3本スポークのスポーツステアリング、アナログ時計をアレンジしたセンターモニターなどが採用されたほか、真っ赤なアルカンターラ素材のシートや、金属の地肌を活かしたパネルを装着。ゲームやアニメの世界のような新感覚のスポーティさも表現しました。
パワートレインは、高性能な1.6リッター直噴ターボエンジンに、シンクロレブコントロールによるスポーティな走りが楽しめる6速マニュアルモード付CVTを組み合わせています。
もう1台のIDxである「IDx フリーフロー」は、シンプルかつクリーンにまとめられ、デニム素材のシートやウッドステアリング、生成り色のボディカラーを採用。ファッショナブルな仕立てとなっています。
発表当時はFR駆動の若者向け小型スポーツという特徴から、「シルビアの復活」「現代版ハコスカ」などと、スポーツカーファンを中心に大注目の存在となっていました。
現在もなお、「IDx売ってくれないかな…」「日産さん、シルビア復活させて!」「やっぱり今だからシルビア復活に期待したい」と、シルビアのような手軽なモデルを待つ声はやみません。
しかし、公開から10年以上が経過した現在に至るまで、直接的な市販モデルは登場していません。
2024年に入ると、日産の代表的なスーパースポーツ「GT-R」も2025年モデルをもって生産を終了し、残るは「フェアレディZ(RZ34)」のみとなるなど、スポーツモデルはもはや風前の灯火ともいえる状態です。
対してトヨタでは「GR86」や「GRスープラ」、「GRヤリス」、「GRカローラ」などの多彩なスポーツモデルをラインナップ。
ホンダでも「シビックタイプR」や市販化が目指される「プレリュード」などがあり、マツダ「ロードスター」や同じく市販化に向けて少しずつ前進している「ICONIC SP」など、新時代のスポーツモデルのあり方を模索する動きは徐々に現実味を帯びています。
電動化や先進安全機能の強化といったビジョンを掲げる日産ですが、こうした「クルマ好きのため」のようなモデルが追加されれば、国産スポーツモデルや日産本体が盛り上がるきっかけになるのではないでしょうか。
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