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【海外試乗】508プジョースポールエンジニアードは、プジョーブランド史上もっとも「ハードボイルド」なスポーツセダンだった

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【海外試乗】508プジョースポールエンジニアードは、プジョーブランド史上もっとも「ハードボイルド」なスポーツセダンだった

508GTハイブリッドをベースに、360psまで出力を高めたハイパフォーマンスモデル「508 PSE」。プジョーの市販車史上、最高の出力を誇るスポーツセダンの走りを確かめてきた。(Motor Magazine 2022年7月号より)

プジョースポールの手になるハイスペック電動モデル
すごく魅力的なのに日本には導入されないモデルというのがある。その大半を占めるのが、刺さる人には強く深く突き刺さるのに多くの人には圏外だと判断されがちなクルマたちだ。508 プジョースポールエンジニアードは、その典型なのではないかと思う。

プジョー 508のデザインはエレガント、走りは軽快でしなやかだった【10年ひと昔の新車】

ベースになったのは日本にも上陸してる508 GTハイブリッド。それをモータースポーツ部門というべきプジョースポールが、スポーツモデルへと仕立てたものだ。過去にプジョーへ何度も栄冠をもたらしたプジョースポールは、お蔵入りにはなってしまったものの、かつてディーゼル+ハイブリッドの908ハイブリッド4というマシンを開発して2011年にテストまで漕ぎ着けたことがある。

この夏に実戦デビューが決まった2.6L V6ツインターボ+ハイブリッドの「9X9」は、すでに2019年に計画が発表されていた。その研究開発の過程で、電動システムをブースターとして使うスポーツモデルのアイデアが飛び出してきたのだとしても、何ら不思議はないだろう。

予想以上にエキサイティング。けれどプジョーらしさがある
まさか試乗できる機会が巡ってくるとは思ってもいなかったが、このクルマをじっくり眺めてみると、そのルックスからして魅力的だ。フロントバンパー下部の両脇のカナード、サイドスカート後端に立ち上がるフィン、リアバンパー下のディフューザーと、その左右の翼端板。専用の空力パーツを纏うのだが、少しもこれみよがしではなく、大人っぽい静かな迫力を漂わせている。

エアインテークやブレーキキャリパー、各部の鉤爪印の蛍光イエローがなければ、特別なモデルであることに気付かないかも知れない。けれどシートに腰を下ろすと、このクルマがどこを見ているのかが一発でわかる。専用のシートは彫りが深く、しかも明らかに低くマウントされているからだ。

搭載する内燃機関はGTハイブリッドの180psを200psまで引き上げたもので、フロントには通常と同じ110、リアには新設の113psのモーターを組み合わせている。システム全体では360ps/520Nmとなる。

これが予想以上にエキサイティングだった。エンジンはいかにもチューニングの高い4気筒エンジンらしい快いサウンドを聴かせながら気持ち良く素早く吹け上がって、それをモーターが力強く後押しする。スタートダッシュは強力だし、中間加速でも同様の押し出し感を伴ってグイグイ伸びていく。どこから踏んでも、たった360psには思えないくらい速いのだ。0→100km/hは5.2秒らしいが、もっと速いだろう、と感じたのはモーターの瞬発力とキックの強さによるものだろう。

強靭な中にしなやかさを残した絶妙な「猫足」
そういうクルマだから、シャシは基本的にはものすごく引き締まっている。走行モードをコンフォートに切り替えれば可変ダンパーが和らげてくれるかも知れないが、スポーツに入れたら家族から苦情が出ること必至。プジョーの市販車史上、もっともハードだ。

当初は「こりゃ猫足とは呼べない」と思わされたものだが、次第にプジョーらしさがちゃんとあることがわかってくる。ガチンと跳ね返す頑固なハードさではなく、強靱さの中にしなやかさが感じられる受け止め方をしてるのだ。ほかのプジョーと同様に路面をしっかと掴んでる感覚も、常に濃厚にある。

コーナリングスピードは通常の508よりも段違いに速い。後で写真を見たら体感以上にロールをしていたが、だからこそ傾くにつれて車体をリアからコーナリングラインに据えていくようなプジョー特有の曲がり方を見せるのだ。そして後輪のモーターによる押し出しが、さらにその感覚を強めている。そんなフィーリングだ。

こうした味のはっきりした楽しいスポーツセダンは日本には少ないわけで、だからこそ刺さる人には深く刺さるはず。でも、少ないには少ない理由もあるわけで。何だかとても複雑な気分である。(文:嶋田智之)

プジョー 508 プジョースポールエンジニアード 主要諸元
●全長×全幅×全高:4750×1859×1420mm
●ホイールベース:2793mm
●エンジン:直4DOHCターボ+2モーター
●総排気量:1598cc
●最高出力:147kW(200ps)/6000rpm
●最大トルク:300Nm/3000rpm
●モーター最高出力:前81kW(110ps)、後83kW(113ps)
●モーター最大トルク:前320Nm、後166Nm
●システム総合出力:265kW(360ps)
●システム総合トルク:520Nm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料:プレミアム・43L
●WLTPモード燃費:49.2km/L
●タイヤサイズ:245/35R20

[ アルバム : プジョー 508 プジョースポールエンジニアード はオリジナルサイトでご覧ください ]

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