ディフェンダー90に追加された新しいV8エンジン搭載モデルは、オフローダーとは思えぬ走りを楽しめた! サトータケシがリポートする。
凸凹コンビ
ディフェンダーのバリエーションが、ぐいぐいと拡充している。
2020年に日本に導入された時は、「110」のボディと、排気量2.0リッターの直列4気筒ガソリンターボエンジンを組み合わせた仕様だけだった。その後、ボディはショートホイールベースの3ドア「90」と、全長を110から340mmストレッチして3列8人乗りのシートを備える「130」を追加している。
エンジンに目を向けると、3.0リッターの直列6気筒ディーゼルターボと、5.0リッターのV型8気筒スーパーチャージャー付きのガソリンが加わっている。で、本日の試乗車は短い9ボディとデカいV8エンジンを組み合わせた凸凹コンビ、“オール阪神・巨人”的な仕様だ。
外観を眺めて思うのは、“チョロQみたいでかわいい”ということと、“通っぽい”というもの。ディフェンダー90の全長は4510mmと、トヨタの「カローラ クロス」より20mm長いだけなのだ。幅と高さはカローラ クロスをふたまわりほど上まわるから、マスとしての質量には大きな違いがあるけれど、それでもディフェンダー110をはじめとする大型SUVを見慣れた目には新鮮に映る。
“通っぽい”と、感じたのは、ジープにしろディフェンダーにしろ、第二次大戦からのオフロード4駆の黎明期では、短いボディの2ドアが主流だったから。短いほうがジャングルの奥地で小まわりが利くし、無闇にホイールベースを長くするとボディの底が凸凹路面に乗りあげてタイヤが浮いてしまう、いわゆる“亀の子”状態になるおそれがある。だから本気の4駆は短かった。
ディフェンダー90は、“かわいい”と“玄人っぽい”の両方向からのウケがいい、なかなかトクなやつだ。
いまではかなりの希少品となった大排気量のV8エンジンを始動する。このV8は、最新のレンジローバーに搭載されるBMW製とは異なり、遡れば1990年代のジャガーに行き着く由緒正しいもの。
静かさとスムーズさではBMW製に軍配が上がるものの、昔ながらのV8らしさ、つまりちょっとワイルドで鷹揚な回転フィールは、こちらのほうが色濃い。
素晴らしいエンジンフィールアクセルペダルを踏むと、これが速くてびっくりする。信号待ちからのゼロ発進では、2310kgも車重があるとは思えないほど、軽々と加速する。
このボディに積まれるエンジンとしては、直4ガソリンでも直6ディーゼルでも実用にはまったく不満がなかったけれど、V8のグルーヴ感は格別だ。ただアクセルペダルを踏むのではなく、ありがたみを感じながら、エンジンフィールを味わうように踏んだり放したりしたくなる。
クルマ好き同士で「最後のエンジン車はなにに乗る?」という話題になると、スポーツカーが議論の主役になりがちだ。けれどもディフェンダーのV8をまわしていると、こっち方面もアリなのではないか、と思えてきた。
エンジンの印象のよさには、黒子のように地味に、けれども有能な執事のように適切に変速する、8段ATが貢献していることは付け加えておきたい。
試乗前に懸念していたのは、重たいV8をフロントに積んで、しかもホイールベースが短いとなると、動きがぴょこたんとするのではないか? ということだった。正直に言って、そりゃあディフェンダー110と比べると、高速巡航では多少のピッチングを感じる。加減速時に、前方と後方につんのめるような動きだ。
ただし、市街地でのゆったりした乗り心地と、ワインディングロードでの車重を感じさせない身軽なフットワークを経験すると、ピッチングが欠点ではなく味わいだと感じるようになるのが不思議だ。
エンジンも同様で、このクルマは全長4510mmのボディに、味わいが詰まっている。ディフェンダーのボディとエンジンの組み合わせで、一番バランスがいいのは110のボディと直列6気筒ディーゼルのコンビだと思う。けれども一番好きなのは、この90ボディとV8エンジンの組み合わせだった。
文・サトータケシ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)
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