なかなかファクトリーの中での作業を見ることができないスーパーGT。第4戦の富士までには2カ月のインターバルが空いたが、その際にGT500のトップチームとしてお馴染みの日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)のモータースポーツ部門であるNISMO(ニスモ)に取材許可をもらい、7月、横浜市鶴見区にあるNISMOのファクトリーを訪問した。
短期連載第2回、中編にあたる今回はGTマシンをメンテナンスする整備場、そして近年、ますます重要度が高まり、秘密が多く存在しているシミュレーター室に入ることができたので、その模様をお届けする。
【夏のスーパーGT特集/前編】初公開! NMC/NISMOファクトリー潜入。『ワークス』の凄みは会議にあった
■レースカー整備場
整備中の2台のGT500マシンが置かれているこの場所は、NISMOのファクトリーの中心部とも言える1階のレース整備場。エンジンが下ろされた3号車Niterra MOTUL Z、23号車MOTUL AUTECH ZがスーパーGT第4戦に向けてのメンテナンスを受けていた。
2013年の社屋移転以来、GTマシンは変わらずこの場所でメンテナンスが行われ、この隣の部屋に置かれたトランスポーターに詰め込まれ、サーキットに移送される。
■レースのスピード感に合わせてあえて古いタイプを使用する製造部門
レースカー整備場の隣にある製造部門では、ベンダーや万能プレス機などはあえて40年前の古いタイプを使用して、開発・設計からの即応要請に応える体制を築いている。
旧式の工作機械であれば数値入力なく、図面がなくてもマニュアル作業で部品工作がすぐにできるため、単品を即応で製作するには最新鋭機械よりも向いているのだという。
■近年、ますます重要度が高まっているシミュレーター室
現場と開発のすり合わせ、手作業による製作と……挙げていくと古い技術を守っているだけに聞こえてしまうが、最新技術導入にもぬかりはない。DIL(ドライバー・イン・ザ・ループ)、ドライビング・シミュレーターもその代表のひとつだ。
GT500実車モノコックを使用し、数軸のアクチュエーターでこれが可動して、ある程度擬似的にGや挙動変化を再現。半球のスクリーンに映し出されたコースで走行が再現できる。
シーズンを重ね、実走との相関を年々向上させているとのことだが、実車のセットアップや開発にどこまでDILを使用できているかは機密事項にあたる。
実走との相関が高いレベルにあるのであれば、技術的にはF1同様に、レースウイークでの走行セッション直後に、その走行データをファクトリーに飛ばし、DILで『リザーブドライバー』がそのデータを基に走らせてセットアップを探ることは可能だろう。
現時点でその領域まで踏み込んでいないようだが、将来どうしていくかについて言及はなかったものの、現在のGTで最重要項目とも言えるタイヤ選択、タイヤマネージメントなどのタイヤのパフォーマンス評価にシミュレーターを活用していると思われる。
※後編に続く
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