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「雪道」とひとくくりはNG! 同じ日本国内でも場所に合ったタイヤ選択をすべき

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「雪道」とひとくくりはNG! 同じ日本国内でも場所に合ったタイヤ選択をすべき

 たまに雪が降る程度なら「M+S」タイヤもあり

 インターネット上にはいろいろな情報がありますね。玉石混合という言葉がありますが、まさにそう。単に情報として正しくないというものもありますが、中には情報不足や勘違いが前提になっている場合があります。

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 以前、どこかのサイトで、スバル・レヴォーグのビルシュタインダンパーの印象について「それは違う」「いや、こうだ」という熱い水掛け論を見かけました。お互いの感触が違ってしまっているわけですが、それはそうだろうと、ボクは見ていました。なにしろ1.6リッターと2リッターのオーナーの対決なので、そもそも基本的なサスペンションのキャラクターも、そして当然セッティングも違うんですね。

 そのオーナー2人はビルシュタインだから同じ、と思い込んでいたわけです。根本的な情報不足はそうした悲劇(?)を引き起します。

 雪道に対する情報では、そもそも地域性が出てしまいます。北海道やヨーロッパ、アメリカの雪と、本州の雪はまったく違うんですね。それは水分の量が少なくてサラサラなのか、水分が多くてベチャベチャなのか、という違いです。

 北海道育ちのボクの感覚でいえば、東京に降る雪は、北海道の4月の雪です。わかりやすく言うと、札幌の雪まつりは2月ですが、巨大な雪像を作ります。あれ、東京の雪質だと簡単に作れそうですが、北海道の雪だと固まらないので、一度雪を水に漬けたり、水分量を増やしてから固めていく必要があります。真冬に雪だるまを作るのは、簡単ではないんです。温度が低いと雪玉ですら固まらなくて、雪合戦ができないんですから。

 昔、某タイヤメーカーの冬のテストで、氷点下20℃くらいの場所をスリックタイヤで走ったことがあります。雪道とアイスバーンでしたが、もちろんギュと掴むようなグリップはありませんが、ツルツルで滑るということはありませんでした。クルマの重みが圧力となって雪や氷を溶かし、タイヤとの間に入り込む水が滑る原因なので、水にならないほど低温であれば滑らない、というわけなんです。アイスバーンも極低温になれば空気中の水分が表面に付着して氷になるので、ツルツルではないんですね。

 つまり道路環境としては北海道よりも、雪が多くの水分を含んでいて、気温が0℃を中心に上下する本州のほうが厳しいわけです。雪やアイスバーンが融けやすく、水分が出てくるので滑りやすいのです。しかも夜は冷え込んでしまって、アイスバーンや圧雪状態になってしまったりするんですね。マナーの悪い人が住宅地などの交通量の少ない道路に雪を出してしまったりすると、本当に最悪の結果になります。困ったものです。

 インターネット上ではスタッドレスタイヤなどについて、雪国のドライバーが発信していますね。しかし根本的に、彼らの話が参考にならないとボクが感じるのは、雪国では雪道は日常で、東京の住人にとってはイレギュラー、エマージェンシーであって、そのスタンスの違いが大きすぎるからです。そこに気がつかないといけません。

 たとえば雪国のドライバーは、夏と同じような速度で雪道を走ります。それで「グリップが……」みたいな話をされても、まったく参考になりませんね。東京は雪が降ればみんなゆっくりと走ります。積る前からゆっくりです。それが、積もればさらにゆっくりになります。5シーズン目のスタッドレスタイヤだって、とりあえずは十分に役に立つことでしょう。

 雪という強敵に対抗するには、やはりタイヤしかありません。スタッドレスというのは絶対の勇者ではありますが、コストも保管も手間ですよね。カーショップやガソリンスタンドでは保管サービスもありますが、いつ役に立つか判らないスタッドレスを冬の間ずっと履き続けるのは苦痛でしょう。ロードノイズは大きいし、燃費も悪くなります。

 そういう人への最適な答えがオールシーズンタイヤです。M+S(マッド・アンド・スノー)と書いてある、全天候タイヤと呼ばれるものです。東京に雪が降った当日なら、十分に役に立ちます。翌日は凍っていたりするので、ちょっと不安ですが。

 以前、M+Sタイヤを標準装着しているSUVの試乗会が、大雪で事実上中止になったことがありました。その時、現地まで行き着いたのですが、敷地内の新雪状態の場所でそのSUVを走らせてみました。全然不満なくグリップするんですね、これが。

 10cmくらいの積雪だったと思いますが、ドリフトコントロールできるだけでなく、しっかりとグリップで十分に走るのです。もちろん、高度なAWDシステムの制御もあったとは思いますが、少なくとも雪が降っただけの状態であれば、つまり踏み固められていなければ、M+Sで十分に役立つことがわかったのです。

 オールシーズンタイヤであれば、一年中履いていてもストレスは少ないでしょう。日本で常識化しているエコタイヤよりは排水性も高いので、近年増えている集中豪雨のようなシーンでも有効です。ちなみにスタッドレスは構造上、ハイドロプレーンがとても発生しやすいので、雨の日は十分に注意する必要があります。 アメリカではオールシーズンタイヤがスタンダードです。あのBMWでも、高性能なモデルを除いて、オールシーズンが標準です。大きな北米大陸を走ると気候も変化するので、それを上手く吸収するためにオールシーズンタイヤが選択されているわけです。

 本州の積雪地で、夏と同じ速度で走るほどの性能が確保されているわけではないと思いますが、タイヤ交換の時に、ちょっとだけ考えてみてください。

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