2018年9月6日、メルセデス・ベンツ日本は「Eクラス」のセダン/ステーションワゴン/クーペ/カブリオレの4モデルと「CLS」の計5モデルに、新たなAMGシリーズである「メルセデスAMG 53シリーズ」を追加した。
現在、AMGのエンジンラインナップは、S65やSL65など「65シリーズ」が搭載する6リッターV12ツインターボを筆頭に、S63やGLE63など「63シリーズ」が搭載する5.5リッターV8ツインターボ、AMG GTが搭載する4リッターV8ツインターボ、C63やE63などもう一つの「63シリーズ」が搭載する4リッターV8ツインターボ、そしてA45やCLA45など「45シリーズ」が搭載する、唯一直列4気筒の2リッターターボがある。これらに共通するのは、AMG伝統の“ワンマン・ワンエンジン”と呼ばれる、1基のエンジンをひとりのメカニックが組み上げる手法を取ることだ。
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一方、AMGはいまや40以上にも及ぶモデルラインナップの拡充を受け、2016年にAMGへのエントリーモデルの役割を担う「43シリーズ」をCクラスやEクラスに設定した。こちらのエンジンは一般的な生産ラインによって組み立てられるものだ。それと同じコンセプトのもとに開発されたのが、今回追加された「53シリーズ」だ。
「53シリーズ」の特徴は、AMG史上初のハイブリッドシステムを搭載したエンジンであること。ベースとなるのは、メルセデスとしては約20年ぶりに復活した直6エンジン「M256」ユニットだ。Sクラスや新型CLSが搭載する3リッター直列6気筒エンジンに、スターターとオルタネーターを兼ねたISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と、48V電気システムを組み合わせた、いわゆるマイルドハイブリッドだ。
AMGはこの「M256」ユニットに、より大型化したターボシステムを組み合わせて、エンジン単体の出力を最高出力435ps、最大トルク520Nmへと高めた。これはベース比では出力68ps/トルク20Nmの向上となる。
年々高まるエンジン出力を受けとめるために、いまやAMGモデルにとって四輪駆動(4MATIC)は当然の駆動システムとなりつつあり、現ラインナップでも7割近くを占めている。「53シリーズ」においてもそれは同じで、5モデルすべてにAMGが開発した新しい四輪駆動システム「AMG 4MATIC+」を搭載。前後輪にかかるトルクを50:50から0:100の範囲で可変し、最適に四輪へと配分する。発進時をはじめ、コーナーでの立ち上がり場面などで高い安定性を誇る。
足回りは定評のある「AMG RIDE CONTROL+」を採用。連続可変ダンパーの機構を搭載したエアサスペンションであり、各輪の減衰力を、その時点の走行状況や路面状態に合わせて自動調整するものだ。ダンピング特性は「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツプラス」の3つに切り替えられ、それぞれに際立った乗り味を実現している。
価格は、CLSを例に挙げればベースの「CLS450 4MATICスポーツ」が1038万円、一方で「CLS 53 4MATIC+」が1274万円。AMGエントリー車としては魅力的な価格といえる。
メルセデスはいま、「EQ」ブランドで電動車両の展開を始めている。ピュアEVの「EQ」、プラグインハイブリッドの「EQパワー」、F1マシンを筆頭にその技術がフィードバックされた「EQパワー+」、そしてマイルドハイブリッドは「EQブースト」と名付けた。
この「53シリーズ」はいわば「EQブースト」にあたる。そしてこの発表の2日前、9月4日にはスウェーデンで、メルセデス初のピュアEV「EQC」をワールドプレミアした。メルセデスもAMGもいまはっきりと電動化の狼煙上げたというわけだ。
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