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無線で進化する自動車! テスラがリードし国内メーカーも追随する「車載OTA」とは何か

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無線で進化する自動車! テスラがリードし国内メーカーも追随する「車載OTA」とは何か

OTAの利便性

 自動車システムは毎年新しい機能を生み出しているが、今後多くのメーカーが採用すると思われる技術のひとつに「Over The Air(OTA)」システムがある。

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 OTAは自動車だけでなく、コンピューター関連でも使われる用語で、日本語では「オーバーエアー」とも呼ばれる無線関連技術だ。

「無線でデータを送受信する技術」

の総称で、有線やCD-ROMを必要とせずにシステムのソフトウエアやファームウエアのアップデートを行うことができる。われわれもさまざまな分野で無意識に使用している技術で、一例を挙げればスマートフォンの基本ソフト(OS)やアプリなどを最新のものに更新する技術もOTAだ。

 OTAが普及する以前は、アップデートはアナログ的に行わなければならず、時間と手間がかかっていた。OTAの最大の利点は、システムのアップデートを即座に行えることであり、これは主にインターネットの普及にともなうOTAの実用化によるものである。

 このOTAは現在、自動車にも徐々に応用されつつあり、すでに車載OTAとして実用化しているメーカーもある。現代の自動車は、数多くのシステムが組み込まれたコンピューターシステムの塊であり、環境技術、運転支援技術、安全技術などが追加され、ますます複雑化している。

 その結果、ソフトウエアのプログラムエラーが増加し、国土交通省のデータによると、プログラム関連のリコールは過去5年間で増加傾向にある。車載OTAの大きなメリットは、こうしたリコールが発生した場合、車両をディーラーに持ち込むことなく更新が可能であり、将来のシステム増加に対応できる手段であることだ。

 2021年度、実際にOTAでリコール対応したケースは3件あり、この流れはすでに始まっている。

先行するテスラの実績

 車載OTAの分野で世界をリードするメーカーのひとつに米テスラがあり、同社の一連の電気自動車(EV)にはすでにOTAが標準装備されている。テスラは新興の自動車メーカーだが、さまざまな先進技術を採用した独自の設計要素を持っており、そのひとつがコネクテッドカーだ。

 コネクテッドカーとは、クルマをインターネットに接続してさまざまなサービスを提供するシステムのことで、テスラのEVはこのコネクテッドシステムを利用して、車内でナビゲーションシステムにアクセスしたり、インターネットを閲覧したり、動画を見たりすることができる。

 また、自動運転車の実現にも力を入れており、オートパイロットと呼ばれる半自動運転システムが実用段階の量産車に採用されている。

 そして、テスラはコネクテッドカーの特長を生かしたOTAをすでに活用しており、さまざまな局面で活躍している。車載ソフトウエアやファームウエアのアップデート、トラブル対応にも活用されており、テスラが開発中の完全自動運転システム(FSD)の実装にも活用されている。

 FSDは現在、海外でベータ版として試験的に自動運転に使われているが、まだ完成されたシステムではなく、さまざまな問題や課題を抱えている。その完成度を高めるためにOTAによるアップデートが随時行われており、開発中の車両だけでなく、すでに販売された車両にも最新のFSDが即座に反映されるのがOTAの大きなメリットだ。

 テスラはすでに年間100回以上のアップデートをOTAで実施しており、車載OTAの経験値ではテスラが優位だろう。

国内メーカーのOTA導入

 OTAの分野ではテスラが一歩リードしているが、今後は国内メーカーも量産車へのOTA採用を本格化させる方針だ。実際、国内メーカー製ではすでにOTAを導入し、実用段階に入っている車種もある。

 ホンダはヴェゼルやシビックなど一部の量産車種でOTAによるソフトウエアアップデートを受けることが可能で、2023年末には本格的な導入を開始しており、今後OTAを採用する車種は増えていくことが予想される。

 日産については、現在OTAはEVであるアリアのみに実装されているが、こちらは2022年頃から継続的にアップデートされている。マツダは大型スポーツタイプ多目的車(SUV)であるCX-60に一部OTAを導入しているが、カーナビなど一部のシステムのみで、車両全体のアップデートには現在対応していない。

 日産とマツダはOTAに関する今後のロードマップを発表しており、両社とも2025年までにOTAを本格導入する計画だ。OTAの本格導入には、サイバーセキュリティーを含む技術的・規制的なコンプライアンスが必要であり、これが完了するのは2025年以降になる見込みである。

 トヨタは、現時点では具体的なOTAロードマップを発表していないが、現在カーナビなどのソフトウエア更新に独自のOTAサービスを利用しており、EVの開発とともに本格的なOTAが導入される可能性が高い。

 スマートフォンのように、クルマも常にアップデートされ、最新のサービスが受けられる時代がもうすぐそこまで来ているようだ。

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みんなのコメント

10件
  • 藍流頓瀬奈
    ティザー画像が…
    「昇天」
    ナンバーが大阪万博(返り血)なら完璧だった
  • bluewoods
    ディーラーでソフト更新して対応するリコールも多いですからね。OTAに投資しておいた方が、後々リコールの費用考えると得だと思うんですが、中々普及しないですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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