風と共に走ろう 自然を肌で感じるオープンカー
運転する楽しさ、使い勝手の良さ、快適性などさまざまな観点から特に優れたオープンカー(カブリオレ、コンバーチブル)を10台紹介する。
【画像】幸せだ… 気軽に付き合える国産オープンカー【海外でも絶大な人気! マツダ・ロードスター(英国仕様)を写真で見る】 全21枚
意外にも、現行モデルのオープンカーは数多く存在する。バリエーションも幅広く、スポーツカー、小型車、グランドツアラー、ミドエンジン・スーパーカーなどなど、選択肢には事欠かない。
ここで紹介する10台は、価格も仕様もさまざまだが、どれも「毎日使える」という点で共通している。つまり、ハードコアなサーキット専用車や、どちらかというとタルガトップに近いハイパーカーなどは除外した。
いずれにしても、オープンカーは平凡な移動を味わい深いひとときに変えてくれる。人によっては、オープンカーの開放感は「バイクに近い」と表現することもある。
まだオープンカーを体験したことがないのなら、ぜひ体験してほしい。この10台のチョイスには筆者(英国人)の好みもかなり含まれているが、オープンカーの世界を味わうには最高の選択肢である。
1. マツダMX-5(ロードスター)
長所:手頃な価格、使い勝手がよい、カスタムしやすい、運転が最高に楽しい
短所:2人で乗るには少々窮屈、荷物を載せるスペースも限られている
マツダMX-5(日本名:ロードスター)が世界で一番売れているオープンカーであるのには理由がある。初代モデルが登場してから約35年、日本生まれのコンパクトな2シーターとして、ドライビングの楽しさを手頃な価格で提供し続けてきた。手軽にルーフを下ろし、風を楽しむことができる。
フロントエンジン・リアドライブ(FR)という伝統的な駆動方式も大きな魅力である。1989年の初代モデルとほぼ変わらないボディサイズと約1000kgという車重もあり、軽快かつ馴染みやすいハンドリングを実現している。これほどしなやかで、ちょうどいいサイズ感を持つ「ドライバーズカー」は他にない。
最高出力130psの1.5Lエンジンでも十分な軽快感があるが、欧州で設定されている最高出力184psの2.0Lエンジン搭載車には、より強固なサスペンション、強化ストラットブレース、リミテッド・スリップ・ディファレンシャルが装備される。
手動式ファブリックルーフは片手で数秒のうちに開閉でき、天候が悪化したときも簡単に閉めることができる。デザインは非常にシンプルだ。
より安心感と快適性を求めるなら、電動格納式ハードトップを装備した「RF」もあり、こちらは2.0Lエンジンが標準となる。どちらを選んでも、風と陽射しを目一杯に楽しめる。
軽く正確なコントロール、高い製造品質、ランニングコストの低さなど、使いやすさ・所有しやすさは一般的な乗用車と変わらない。居住空間は小さく、トランクはわずか150Lしかないが、週末のドライブを楽しむには十分だ。毎日の通勤が苦にならないほどの快適さも備えている。特に太陽が照っているときは最高だ。
2. ポルシェ718ボクスター
長所:適度な広さの居住空間、驚くほどの使い勝手の良さ、幅広いエンジンラインナップ
短所:4気筒エンジンは耳ざわりが少し悪い
ポルシェのエントリーモデルであること、そして偉大な911の影に隠れていることから、718ボクスターは必ずしも世間から「正当」な評価を得ているとは言えない。暖かい陽射しの下を走るとき、ボクスターほど楽しくて夢中になれるクルマはないだろう。
標準の4気筒エンジンはいささかサウンドの魅力に欠けるが、ターボチャージャーの威力は疑いようもなく、直線加速では旧来のフラット6にも引けを取らない。
心地よいサウンドを望むなら、4.0Lの「GTS」を検討してもいいし、911 GT3のエンジンを積む718スパイダーRSもある。
ルーフはボタン1つで簡単に開閉できる。快適性が高く、オープンにしたままの長距離移動も苦にならない。
最大の美点はシャシーであり、完璧にバランスのとれた自由自在なハンドリングが、ドライバーをポルシェの世界観に引き込む。重みのあるステアリングフィール、強く繊細なグリップ、揺るぎないコントロール性、そして優れたブレーキを持つ。
また、フロントとリアにそれぞれトランクを備え、2シーターのオープンカーとしてはかなり実用的だ。確かに安くはないが、素晴らしいエンジニアリングと能力の高さを考えれば妥当な金額だと感じられる。
3. メルセデスAMG SL
長所:高性能、スポーツカー的ハンドリング、高級感ある内外装
短所:先代モデルのような優しい乗り心地ではなくなった
今回紹介する10台の中で、70年近い歴史を持つクルマは他にない。1957年、メルセデス・ベンツがW198型300SLロードスターを発表したとき、SLの伝説が始まった。
以来、6世代にわたってモデルチェンジが繰り返され、現行R232型ではSLのルーツであるモータースポーツへの回帰を図りつつ、ラグジュアリーなクルージングを目指している。
新型メルセデスAMG GTともに、AMGが開発を担当した。新開発の複合材料スペースフレームシャシーを採用する一方、先代モデルが使用していたエアマティック・サスペンションとハイドロニューマティック・サスペンションを廃止。代わりにスチール製コイルスプリング、四輪操舵(4WS)、四輪駆動、アクティブ・アンチロールバーを導入した。
エンジンは、SL 43に4気筒ターボ、上位のSL 55とSL 63にV8が搭載される。しかし、AMGらしく、これ以上ゆったりとした設定のモデルは存在しない。AMGのスポーツ志向のチューニングが、SLらしい洗練性と乗り心地を部分的に奪ってしまったのは少し残念だ。
最高出力588psのSL 63は期待通りの快速スポーツカーであり、0-100km/h加速はわずか3.5秒とされる。スーパースポーツカー並みのパフォーマンスとまではいかないが、それに近い領域に達している。
メルセデスお得意のデジタル技術が満載され、オープンからクローズへの切り替えも至って簡単。歴代モデルとは若干異なるものの、不朽かつ特別なオープンカーである。
4. マセラティMC20チェロ
長所:美しいデザイン、ごつごつした道でも快適に走る、肩の力を抜いて運転できる
短所:ミドエンジンのイタリアン・スポーツカーとしては少々刺激に欠ける
ミドエンジンの「スパイダー」は、長い間、ボディ剛性と引き換えにステータス性を手に入れてきた。しかし、マセラティMC20のようなカーボンファイバー製チューブのスーパーカーが、そうした状況を一変させつつある。
MC20チェロがオープンカーに適している理由は、それだけではない。ミドエンジン・スポーツカーの中でも比較的しなやかな乗り心地と軽いタッチを持つグランドツアラーなのだ。
驚くほど穏やかなサスペンション、流れるようなステアリングフィール、低速域でもよく反応するV6ターボを備えており、力む必要がない。
ルーフを取り払えば、より豊かなグルーヴと、チューニングが促すゆったりとしたツーリング・モードで、このクルマの魅力をシンプルに楽しむことができる。
ルーフ自体は折りたたみ式の金属パネルで、フォトクロミック・ガラスパネルが内蔵されている。そのため、普遍的なファブリックルーフとは異なり、クローズでも外の世界を楽しめる。
5. BMW 4シリーズ・カブリオレ
長所:4人乗りの使い勝手の良さ、高い洗練性、ドライビングの魅力
短所:エクステリアデザインは賛否両論ある
最新世代のBMW 4シリーズは、当初2ドア・クーペ、2021年にコンバーチブルが登場した。軽いファブリックルーフを採用したが、ボディ補強のためクーペより150kg重くなっている。
大きなラジエーターグリルのデザインが物議を醸しているが、これについては各自の好みを尊重したい。写真や動画で見たときと、間近に実車を見たときの印象は異なる。
4シリーズ・コンバーチブルは、広さを追求した4人乗りのカブリオレだ。上位モデルには四輪駆動のM4コンペティションやM440i xドライブがあり、スポーツ性とドライビング・エクスペリエンスを存分に味わえる。
静粛性と快適性は非常に高い。ルーフと窓を閉めると、乗員同士の会話が簡単にできるような空間となる。ただし、洗練性を求めるなら一部のランフラットタイヤ装着車は避けたほうがよいだろう。
ドライビングの魅力も以前より高まったほか、インテリアの質感も飛躍的に向上した。4シリーズ・カブリオレは非常に完成度の高いオープンカーであり、フロントエンドの外観は別として、誰にでもおすすめできる1台だ。
6. ベントレー・コンチネンタルGTC
長所:他に類を見ないラグジュアリーとスポーツ性、特別感
短所:高価、大型で扱いにくい
ベントレー・コンチネンタルGTの究極形態とも言えるのがGTCだ。非常に高価だが、エレガントなグランドツアラーを求めるのであればオープンカーを選んだ方がいいかもしれない。自分が走っている世界を、より明確に見ることができるから。
伝統的なW12エンジンは廃止となったが、コンチネンタルGTCでは4.0L V8ツインターボが最高のパワートレインである。最高出力550psと十分すぎるほどのパワーを持ち、静かなクルージングから雄叫びを上げるようなスポーツ走行まで、サウンドの帯域も幅広い。
また、V8にはフロントを押さえつけるような重さもなく、コーナリングでは驚くほどの軽快感がある。
エアサスペンションは極上の乗り心地を実現し、インテリアが比類なき豪華さで乗員を包み込む。上質な素材、高いクラフトマンシップ、卓越したセンスは、他の追随を許さない。
さらに、ファブリックルーフも素晴らしく、クローズではクーペのように静粛性が高い。もちろん、オープンにすると一瞬で陽射しと羨望の眼差しに浸ることができる。コンチネンタルGTCでコート・ダジュールを走れば、究極のオープンカー体験ができるだろう。
7. シボレー・コルベット・コンバーチブル
長所: 魅力的で大らかなV8エンジン、ミドエンジン車らしいハンドリング
短所:性能はスーパーカーの域には達していない、スタイリングはやや模倣的
アメリカン・スポーツカーを象徴するコルベットの最新世代において、エンジンをフロントマウントからミドマウントに変更するという「ギャンブル」に出たことは、多くの議論を巻き起こした。
もちろんこれには、重量配分を改善してハンドリングのポテンシャルを高めるという客観的な理由もある。今やスポーツカー市場ではミドシップレイアウトが大きな注目を集めるようになっている。賛否両論あるにせよ、ミドシップにする価値はあったと言える。
そのスーパーカー的なルックスとは裏腹に、ポルシェ911カレラ並みの価格設定に目を奪われる。もちろん、美点はコストパフォーマンスのみにとどまらない。
スモールブロックV8エンジンはスロットルレスポンスに優れ、中間レンジのパワーデリバリーが素晴らしく、6500rpmを超える回転も好ましいうえに極上のサウンドを奏でる。性能面は「スーパーカー級」とは言えないが、この価格で0-100km/h加速約3.0秒という数字に文句をつける人はいないだろう。
ハンドリングの安定性と正確性も高く、フロントエンジンの先代モデルよりも素直でクイックな走りを見せる。
そして、あまり語られることのないコルベットの汎用性。クーペでも取り外し可能なタルガトップがあり、簡単に外してリアのトランクに収納することができる。また、アメリカンな雰囲気を満喫したいなら、格納式ハードトップのコンバーチブルもある。
キャビンは人間工学的に癖が多く、質感においてもベストとは言えない。しかし、コルベットのようなクルマが存在すること、しかも右ハンドル仕様があることに感謝せずにはいられない。それが思いがけないオープンカーであることが、この上ない喜びを生んでいる。
8. レクサスLC500コンバーチブル
長所:リッチで上質、包み込まれるようなキャビン、斬新なデザイン
短所:重さを感じる走り、ダイナミックさに欠ける10速AT
コンセプトカーのような大胆なデザイン、極上のインテリア、最高出力477psの大排気量V8エンジンなど、レクサスLC500には魅力が詰まっている。2シーターのラグジュアリーなクルーザーを求めるなら、きっと気に入るはずだ。
最新型はしなやかな乗り心地と落ち着いたハンドリングを持ち、2017年の発売当時よりも洗練されている。ただし、3.5L V6ハイブリッドも、四輪操舵(4WS)も、コンバーチブルでは選択することができない。
いずれにしても、このような重いクルマとしては非常にクリーンな走りを見せる。スポーツカーのようにアグレッシブに走らせるよりも、ゆったりとしたクルージングの方が合っている。曖昧なブレーキフィールが玉にキズだが……。
とはいえ、ちょうどいい速さで楽しめるクルマであることに変わりはなく、何と言ってもV8エンジンの魅力には抗いがたい。
9. フィアット500e/アバルト500e
長所:手頃な価格、陽気、純粋に運転が楽しい
短所:4人乗車は現実的ではない、航続距離が短いため楽しみ方が限られる
バッテリーEVのオープンカーはまだまだ選択肢が少ない。現在おすすめできるのは、フィアット500 Cと、派生モデルのアバルト500eだ。
スライド式のファブリックルーフを備えたコンバーチブル仕様「オープン」が登場している。しかし、一般的なオープンカーとは異なり、ピラーは下がらない。
フィアット500eは最高出力118psの延期モーターと42kWhのバッテリーを搭載し、1回の充電での航続距離は320km(欧州WLTPサイクル)とされている。実走行では、多くのバッテリーEVと同様にカタログ値の75~90%を達成できる。
後部座席の居住空間は従来の500よりもわずかに広くなっているが、それでも4人乗車は窮屈だ。性能としては80km/h程度まで力強い加速を見せ、乗り心地やハンドリングも十分に快適だが、期待されるほど楽しいものではない。
楽しさを求めるのであれば、アバルト500eが満足させてくれるはずだ。典型的なスポーツカーというわけではないが、走りは快活で、賑やかで、運転に魅力を感じる。なお、疑似エンジン音を「放送」する車外スピーカーも搭載されているが、オフにすれば静かに走ることができる。
10. ジープ・ラングラー・ルビコン
長所:比類なきオフロード性能、泥や砂を浴びたいなら最高の1台
短所:ルーフの脱着が難しく短時間ではできない
「オープンカー」と聞いてすぐに思いつくのは2ドアのスポーツモデルだろう。面白いことに、ジープ・ラングラー・ルビコンも立派なオープンカーである。ルーフの一部を取り外すか、ボディ上半分をほとんど取り外すことでサファリ・スタイルの開放型オフローダーにすることができる。
ラングラーのエンジンラインナップは、3.6L V6と2.0L 4気筒ターボガソリンに加えて、PHEV仕様の「4xe」もある。
エントリーモデルは固定ルーフ構造だが、上位モデルのルビコンは、完全に取り外せるコンポジット・ルーフとサイドドア、フラットに折りたためるフロントガラスを装備している。フルオープンにすると、骨格部分とロールオーバープロテクションだけが残る。
これほど開放的なドライビング体験は、他車では得られないだろう。
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みんなのコメント
最初サイノスコンバーチブル、MR-Sと乗り継いだが、ソフトトップは冬、生地が固くなり直ぐに穴が開いてしまった。
そこで、206CCにしたがメタルトップは重くて負荷がかかりすぎて故障、修理費もバカにならなくなった。
今はコペンXPLAYに乗っている。コペンはルーフ、トランクが樹脂で開閉がスムーズだ。これで365日毎日気兼ねなくオープンで通勤できるようになった。