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アウディのフラグシップの価値とは? A8 55 TSFI クワトロ試乗記

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アウディのフラグシップの価値とは? A8 55 TSFI クワトロ試乗記

いま、いわゆるドイツ御三家のプレミアム・セダンは、甲・乙つけがたい出来である。アウディのフラグシップ・セダンである「A8」はそのうちの1台で、とりわけ私が好きなのは、「A8 55 TFSIクワトロ」である(ほかはメルセデス・ベンツ「Sクラス」、BMW「7シリーズ」)。

A8 55 TFSIクワトロのいいところは、ひとことでいうと、気持のいい運転感覚だ。エンジン・パワーは充分、乗り心地はしなやかで、かつ、操縦性にすぐれている。

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【主要諸元】全長×全幅×全高:5170mm×1945mm×1470mm、ホイールベース:3000mm、車両重量:2040kg、乗車定員:5名、エンジン:2994ccV型6気筒DOHCターボ(340ps/5000~6400rpm、500Nm/1370~4500rpm)、トランスミッション:8AT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:255/45R19、価格:1172万円(OP含まず)。車名にある「55」はパワーの目安だ。搭載する2994ccV型6気筒DOHCターボ・エンジンは最高出力250kW(340ps)を発揮する。いっぽう、上級モデルである「A8 60 TFSIクワトロ」は3996ccV型8気筒DOHCターボ・エンジンを搭載・最高出力338kW(460ps)を発揮する。

数値ではかなわないけれど、A8 55 TFSIクワトロには、A8 60 TFSIクワトロに対し強みがある。エンジンが小さいぶん、鼻先が軽くて、軽快さを感じるのだ。つまり、クルマとして楽しい。

試乗車はオプションのHD マトリクスLED ヘッドライト付き(46万円)。ルームミラーの裏に内蔵されたカメラが、対向車や先行車を検知すると、その部分だけハイビームをカットするようLEDライトを消灯。周囲に迷惑をかけず、常時ハイビームを利用出来る。試乗車のタイヤサイズは255/45R19。ラゲッジルーム容量は505リッター(トランク・スルー機構付き)。A8 55 TFSIクワトロは、ボディサイズを感じさせず、くいくいと気持よくコーナーを曲がっていく。全長が5170mmもあるとは思えないほど、操舵への応答性は高く、コーナリング時は、ノーズが気持いいほど素直に内側に入るのだ。

クワトロシステムは新世代1370rpmから500Nmの最大トルクが発生しはじめるエンジンは十分パワフル。A8 55 TFSIクワトロの疾走感は、アウトバーンにおける仮想敵をポルシェにさだめ、車両を開発してきたアウディ・セダンの出自をあらためて思い出させる。3.0リッターながら弾丸のような疾走感だ。

A8の駆動方式は全グレード、4WD(クワトロ)。A8 55 TFSIクワトロが搭載するエンジンは、2994ccV型6気筒DOHCターボ(340ps/5000~6400rpm、500Nm/1370~4500rpm)。トランスミッションは8AT。足まわりの設定は、しなやかで、高速道路では重厚感のあるフラット・ライドを感じさせる。ステアリング・ホイールは操舵感がやや重めで、路面からのキックバックはきれいにカットされている。

ホイールサイズが19インチで、タイヤの扁平率は45パーセント。見ると、現代の水準ではサイドウォールがけっこう厚めに見える。サイドウォールが厚いと、一般的には、しっかりたわむことで、路面からの衝撃を吸収する性質が強くなる。ゆえに、乗り心地のよさに貢献しているように思う。

ボディは全長×全幅×全高:5170mm×1945mm×1470mm。走行モードの切り替えや車高調整は、インフォテインメント用画面で操作出来る。メーターパネルはフルデジタル。ナビゲーションマップも表示出来る。A8 55 TFSIクワトロの4WDシステムは、前40:後60のセンターデフ付きのパーマネントタイプ。

4輪を駆動するときは、進行方向の路面状況を車両がチェックしていて、4WDがいいとコンピューターが判断した場合、すかさず適切なトルクを4輪に分配するというプロアクティブ(能動的)なシステムである。

JC08モード燃費は10.8km/L。ステアリング・ホイールはオーディオ・コントローラー付き。360°カメラによって、自車位置をさまざまな角度から見ることができる。リアシートも十分な広さA8には、後席重視のリムジン・マーケット向けに、ロング・ホイールベース仕様もある。A8 L 60 TFSIクワトロは標準ホイールベースより130mm長い3130mmというロング・ホイールベースだ。

とはいえ、A8 55 TFSIクワトロでも、狭さは感じないだろう。リアシート・スペースはロング・ホイールベース版でなくても充分広い。とりわけリアシート左側は、助手席シートを前方に出し、かつ(リアシート左側の)バックレストをリクライニングすると、かなりリラックスして乗っていられる。

リアシートの電動調整機構などは、オプションのコンフォート・パッケージ(84万円)に含まれる。リアシートのセンターアームレストには、シート調整用のスウィッチや、エアコンや照明など各種車両設定用の液晶モニター、小物入れがある。照明やエアコンなどを設定できる液晶モニターは、取り外し可能。助手席の位置は、リアシートから調整可能。ドライバーズシートもリアシートと同様、居心地がよい。上質なレザーをたっぷり使ったシートは、座り心地に優れるうえ、ステアリング・ホイールをはじめ手が触れる場所に使われる上質な素材も居心地のよさを高める。さらに、上・下ふたつのTFT液晶モニターをセンターダッシュボードに並べた特徴的なデザインは、視認性と操作性に優れる。

レザーやウッドなど伝統的な素材を使いつつ、斬新なデザインに仕立てているのは、A8 55 TFSIクワトロの大きな魅力であると思う。

メッキパーツを各所に使ったインテリア。ふたつの液晶画面が上下にならぶ特徴的なインパネ。フロントシートは電動調整機構およびヒーター/ベンチレーション機構付き。A8を選ぶ意味A8 55 TFSIクワトロに試乗し、「less is more」という、ミース・ファン・デル・ローエの有名な言葉を思い出した。バウハウス第3代校長を務めた経験も持つドイツ人建築家のミース(とひとは呼ぶ)は、シンプルな美しさを称えた点でも知られる。

A8 55 TFSIクワトロもおなじく、シンプルな美しさにあふれたクルマであると思った。A8 L 60 TFSIクワトロに対しA8 55 TFSIクワトロは、気筒数が少ないうえ、ホイールベースおよび全長が短く、車両重量が140kgほど軽い。おなじA8内で比べればシンプルなモデルであるが、安っぽさは決してない。A8が持つ素のよさ、美しさを存分に味わえるモデルである。

後輪操舵機構付きモデルの最小回転半径は5.3m。A8 55 TFSIクワトロ価格は、1172万円。A8 60 TFSIクワトロの1552万円とだいぶ差がある。が、快適装備や先進安全装備は豊富だし、搭載するエンジンは十分パワフルだ。ゆえに、60ではなく55でも不満は少ないと思う。

ライバルは、3.0リッター直列6気筒ターボ・エンジンを搭載するメルセデス・ベンツ「S450」(1192万円)や、3.0リッター直列6気筒ターボ・エンジンを搭載するBMW「740i ラグジュアリー」(1180万円)だ。価格もほぼ同等である。

試乗車のボディカラーはフロレットシルバーメタリック。A8 55 TFSIクワトロは、効率を高めたクワトロシステムを搭載し、そして、上・下ふたつのTFT液晶をタブレット端末のように操作する「MMIタッチレスポンス」など先進装備を数多く搭載する点は、Sクラスや7シリーズに対するアドヴァンテージであり、個性でもある。

Sクラスや7シリーズではなくA8 55 TFSIクワトロを購入する理由は、いくつもあるのだ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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