現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ヒットの法則73】日本初登場のレクサスGSは豪華さよりもむしろスポーティさが印象的だった

ここから本文です

【ヒットの法則73】日本初登場のレクサスGSは豪華さよりもむしろスポーティさが印象的だった

掲載 更新
【ヒットの法則73】日本初登場のレクサスGSは豪華さよりもむしろスポーティさが印象的だった

2005年8月30日に日本で開業したレクサス。その1カ月前の7月26日には、日本でのレクサス店スタート時のフラッグシップとなる「レクサスGS」の詳細が明らかになっている。それまで秘密のヴェールに包まれていた細部も含めて、ここでは大きな注目を集めていたGS430とGS350の内容を振り返ってみよう。当時の最先端スポーツセダンはどんなクルマだったのだろうか。(以下の記事は、Motor Magazine 2005年9月号より)

ボディサイズはBMW5シリーズ、メルセデスEクラスとほぼ同じ
8月30日、GS、SC、ISの3モデルのラインナップでついにレクサスが開業する。その中で、GSは新型LSがデビューするまで、事実上「日本におけるレクサスの最高級セダン」となる。それでも、このクルマのキャラクターは「スポーティ」というところにあると思う。資料にはそうした記述はなく、ひたすら上質さが謡われているものの、走りを意識して作られていることはパッケージングからも強く伝わって来る。

【スクープ】新型ヤリスの「GR-4」がGRMNの正体? 3気筒ターボを搭載して2020年内に発売か

ボディサイズは全長4830×全幅1820×全高1425mmで、これは同じプラットフォームを使うクラウンよりも短く(マイナス10mm)、低く(マイナス45mm)、しかし格段にワイド(プラス40mm)だ。2850mmのホイールベースは同一なものの、トレッドもフロントで10mm、リアで15mmの拡張が図られている。

ちなみにこのサイズは、欧州のEセグメントにピタリとはまる。新しいBMW 5シリーズよりわずかに小さく、メルセデス・ベンツEクラスとほぼ同等という大きさだ。その中で、全高に関してはGSが最も低いという部分にも「走り」を感じさせる。

これぐらいサイズに余裕のあるクルマだと、多少全高が下げられても居住性面にはさしたる影響は受けない。事実GSの室内長は2000mmとクラウンより70mm短くなっているが、実際に乗った時の印象では後席足下スペースに与える影響はそれほど大きくはなかった。

ちなみに前後乗員間の距離、つまりタンデムディスタンス自体はクラウンとほぼ同じ955mmだ。前出の欧州2車と較べても、居住性は大差ない。むしろお尻を落とし込んで座らせるEクラスの後席よりも着座姿勢は自然で好感が持てた。

ただし、ルーフ高は確実に低くなっており、乗員の着座姿勢はクラウンよりも寝た格好となる。また、リアウインドウは後方まで引き伸ばされているものの、高さ方向が抑えられていることもあり、室内に居るときの包まれ感はクラウンよりも強い。この辺は、よりパーソナルな使い方をされるレクサスGSに相応しい演出だ。

「もてなしの心」を強調するレクサスだが、GSにはそうした部分が表れている演出が数多く見られる。たとえばイルミネーテッドエントリーシステム。スマートキーを携行してクルマに近づくと、ドアミラーの足下照明がステップ付近の地面を照し、室内では上からのスポットライトがステアリングと前後シートを浮き上がらせる。ドアグリップに手を添えるとロックが解除され、開けるとカーテシランプ、前後席の足下、内側のドアハンドル、スカッフプレート照明などが点灯。ハンドル左側のスターターボタンを押してエンジンが始動した後は、スポットライトがシフトレバー側に移動して走りへの気分を盛り上げるといった「これでもか」のイルミネーションガイダンスが行われる。

さらに、本アルミの文字盤を持つメーターはライトセンシティブオプティトロンというものを採用しており、メーターレンズに調光機能を持たせることで日差しが室内に差し込む場合にも最適な視認性を確保するように自動調整するという。

エアコンも凝っている。花粉除去機能や、除菌効果のあるプラズマクラスターはもちろんのこと、温度調節自体も夏場には足下に冷風を送ったり、日差しに応じて暖房時も上半身に冷風を出したりと、実にキメ細かい制御をやってのけるのだ。

この辺のホスピタリティは、いずれロングツーリングに出て実際に確認してみたいところである。

キャラが立ったの新開発の3.5L V6直噴エンジン
さて、走りに話題を戻そう。GSに搭載されるエンジンは、すでにLSに搭載され熟成を極めた感のある4292ccV型8気筒の3UZ-FEと、クラウン用V6エンジンをベースに排気量を3456ccにまで拡大し、併せて新燃料噴射システムであるD-4Sを採用した2GR-FSEの2種類だ。

試乗した印象は、3UZ-FEはスムーズで厚みのあるトルクが特徴と言えるが、すでにそれはセルシオで慣れ親しんだもの。不足はまったくないが、シリーズのトップエンドとしての「驚き」はあまり感じない。

キャラクターが立っているのは新開発のV6の方で、これは直噴エンジンならでは充填効率の良さを生かした11.8の高圧縮比から315psのパワーを得ている。トルクも377Nmとキャパシティからするとかなり厚い。国内ではレジェンドに続き2つめのオーバー280psエンジンとなるわけだが、同じ3.5Lクラスとしては一枚上手のパフォーマンスとなる。

何しろこのV6は高回転の伸びや盛り上がり感も素晴らしいが、同時に低速トルクもかなり太いのだ。欧州勢の同排気量と較べても頭ひとつ飛び出した感じ。今後レクサスの主力エンジンとなるだけに、2GR-FSEの開発にはかなりの気合いが入っている。

しかし残念なのはこのキャラの立った新エンジンには、GSが鳴り物入りで採用した新メカニズムがほとんど組み合わされないことである。VDIMと連携してステア操作で安定性制御を行なうバリアブルステアリングのVGRS。モノチューブショックアブソーバーの減衰力を最適にコントロールするAVSといったものは、すべてGS430の専用装備なのである。

さらに、前後のスタビライザーに電動アクチュエーターを加え、状況に応じて前後のロール制御を行なうアクティブスタビライザーもGS430にのみオプション設定。GS350が走りに徹したモデルなのはわかるが、レクサスの今を代表するこの種の装備がまったく選択できないのはちょっと淋しい気がする。

ところで価格だが、GS430は630万円、GS350は2WDで520万円と発表されている。この価格、正直言って僕は「意外に安い」と感じた。GS430は現行セルシオのボトム相当で、採用されるメカを考えれば十分なバリューがある。GS350はクラウンアスリートのトップエンドとほぼ同じ。新開発の3.5L V6を搭載することを考えれば、これも十分に納得が行く。そして、欧州のプレミアムブランドと較べると。まだ圧倒的に安いのだ。(文:石川芳雄)



レクサスGS430(2005年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4830×1820×1425mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1700g
●エンジン:V8DOHC
●排気量:4292cc
●最高出力:280ps/5600rpm
●最大トルク:430Nm/3400rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●サスペンション:前ダブルウイッシュボーン後マルチリンク
●車両価格:630万円(2005年当時)

レクサスGS350(2005年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4830×1820×1425mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1640g
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3456cc
●最高出力:280ps/5600rpm
●最大トルク:377Nm/4800rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FR
●サスペンション:前ダブルウイッシュボーン後マルチリンク
●車両価格:520万円(2005年当時)

レクサスGS350 AWD(2005年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4830×1820×1435mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:1730g
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3456cc
●最高出力:280ps/5600rpm
●最大トルク:377Nm/4800rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●サスペンション:前ダブルウイッシュボーン後マルチリンク
●車両価格:560万円(2005年当時)

[ アルバム : レクサスGS はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
くるくら
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
くるまのニュース
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
バイクブロス
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
バイクブロス
ミツオカ新型「M55」世界初公開に反響多数! MTのみ設定&“旧車”デザインに「良すぎる」の声! 青内装の「ゼロエディション」が話題に
ミツオカ新型「M55」世界初公開に反響多数! MTのみ設定&“旧車”デザインに「良すぎる」の声! 青内装の「ゼロエディション」が話題に
くるまのニュース
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
バイクのニュース
ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ついに昔の[ダイハツ]が蘇る!? [不祥事]以来変わった[社内の雰囲気]とは
ベストカーWeb
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
ニューズウィーク誌が選ぶ「2025年最も期待される新型車」にベントレー新型「コンチネンタルGTスピード」が選出されたもっともな理由…とは?
Auto Messe Web
フィアット125周年をイタリアが国をあげて祝福、2つの特別展示会をトリノで開催
フィアット125周年をイタリアが国をあげて祝福、2つの特別展示会をトリノで開催
Webモーターマガジン
「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
「ランクル」兄弟で最もモダンな“250”に試乗! オンロードでもオフロードでも隙がない万能モデルだ。【試乗レビュー】
くるくら
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
くるまのニュース
文化を身近に。BMWが贈る特別イベントに名門ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団が登場!
文化を身近に。BMWが贈る特別イベントに名門ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団が登場!
OPENERS
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
全長2.5mで新車100万円級! トヨタの「斬新2シーターモデル」がスゴイ! めちゃお手頃サイズなのに「必要にして十分」の“おふたりさま向けマシン”とは
くるまのニュース
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
アルピナの未来、26年「BMW傘下」でどう変わる? 高性能EV&Mモデルとの差別化を考える
Merkmal
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
高すぎるよぉ…! 価格が暴落したら買いたいスーパーカー3選
ベストカーWeb
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
男性が乗って女性にモテるクルマTOP5は? ChatGPTに聞いて出た「ホントかよ!」な答えとは!!
WEB CARTOP
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
悲喜交々のST-4。「複雑な気分」のENDLESS GR86と「逆に清々しい気持ち」で5連覇を逃した冨林勇佑
AUTOSPORT web
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
光岡、話題の55周年記念車『M55』を市販化、100台限定で808万5000円
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

588.8800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.0528.0万円

中古車を検索
GSの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

588.8800.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

28.0528.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村