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【昭和の名車 117】スズライトフロンテは、商用車スズライトの乗用車版として誕生した

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【昭和の名車 117】スズライトフロンテは、商用車スズライトの乗用車版として誕生した

以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「スズキ スズライトフロンテ」だ。

スズキ スズライトフロンテ(TLA型):昭和37年(1962年)4月発売
1949年(昭和24年)に定められた初の軽自動車規格は、机上の理想論で実現不可能。数社が挑戦するが、すべて失敗に終わった。その後、度重なる改定を経てようやく現実的になったのは、2サイクルエンジンの排気量が360ccに引き上げられた1954年(施行は翌1955年4月)のことだった。これにいち早く対応したのが鈴木自工(現スズキ)で、1955年7月に商用車のスズライトを発売している。続くスバル360が1958年3月発売なのだから、開発がいかにスピーディに行われたかがよくわかる。

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この後1959年には2代目となるスズライトTL(バン)を発売。モーリス・ミニマイナー(現クラシックMINI)と同時期に日本で2BOXスタイルを完成させていたことには驚きを隠せない。1961年にはTLをベースにしたスズライト セダン360を第8回全日本自動車ショウに参考出品し、これが翌年4月20日、スズライトフロンテ360として発売された。

スズライトフロンテはスズライト(バン)の乗用車版として誕生したものなので、基本メカニズムはスズライトをほぼ踏襲している。モノコックボディのフロントアクスル前にエンジン&トランスアクスルを搭載したFF方式は、初代スズライトが国産車で初めて採用してから熟成を続けてきた機構だ。だが当時は高性能なCVジョイントの入手が困難で、走行時の振動や騒音に悩まされている。

性能が安定したのは1963年。NTN製ボールフィクストジョイント(BJ)を国内初採用してからだが、当時はまだ軸方向にスライドする摺動式CVジョイントがなく、車輪側にBJ、デフ側にクロスジョイントを使って、軸方向の摺動はスライドスプラインで吸収するという過渡期の方式だった。それでも振動は大幅に減り、FFに対する抵抗感を大幅に減らすことに成功している。

エンジンは180度クランクの空冷2サイクル直2で21psを発生。トランスミッションは2-3速にシンクロが付くコラムシフトの3速MTを組み合わせるが、シフトパターンが、手前上が2速/下が後退、奥上が3速/下が1速という変速パターンで、慣れるまでギア位置を頭に入れて行う必要があった。モーターマガジン誌の実測テストでは、新車のため4000rpmでシフトアップして、0→40km/h加速は8.7秒を計測。最高速度のカタログ値は85km/hとなっていた。

サスペンションは前後とも半楕円リーフスプリングを横置きし、それを上下2段配置。上下のリーフスプリングをアップライトでつないだ4輪独立懸架だ。リーフスプリング自体がサスペンションアームの役割を兼ねるのでパーツ点数が減り、耐久性・整備性に優れるが重くなるのは避けられない。それもあって車両重量は当時のスバル360より100kg以上重い500kgに達している。それでも悪路における走行安定性は、他の軽自動車より優れていると評価された。これは新採用された12インチタイヤの効果も大きかったようだ。

実用面では、大人4人が楽に乗れるキャビンスペースと、リアにトランクルームを備えることが、RRとは決定的に異なるメリットとして評価された。狭いとはいえリアサイドウインドーを巻き上げ式としたのも好評で、7年の歴史と幾多の研究成果によって完成された軽自動車であると評判は高かった。



スズキ スズライトフロンテ360 主要諸元
●全長×全幅×全高:2995×1295×1380mm
●ホイールベース:2050mm
●重量:500kg
●エンジン型式・種類:T型・空冷2サイクル 直2
●排気量:360cc
●最高出力:21ps/5500rpm
●最大トルク:5.2kgm/3700rpm
●トランスミッション:3速コラムMT
●タイヤサイズ:4.50-12 4P
●価格:38万円

[ アルバム : スズライトフロンテ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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