エアレース・パイロットの室屋義秀選手が代表を務めるパスファインダーとレクサスは、2021年10月21日、チームパートナーシップ契約を締結。2022年に開幕するエアレース選手権の初代世界チャンピオンへ向けての挑戦、そしてよりよい社会、カーボンニュートラル社会の実現に向けた挑戦を発表した・・・
「レクサスが飛行機を開発したって、本当っすか?」
担当Kが、慌ただしく編集部に駆け込んできたかと思ったら、突然そんな質問を投げてよこした。
最近多くみかける「矢印の黄色い破線」…踏んじゃダメ? どんな意味があるのか
「レクサスが航空機業界に進出する? 初耳だね」
「でも、レクサスのロゴが描かれた飛行機が飛んでたという噂っすよ。東北の空で」
「じつは僕も、レクサスが空を目指すのも時間の問題だと思っていたんだ。すでにレクサスは、エアレースで世界チャンピオンに輝いた室屋義秀選手にパーソナルサポートをしている。ただ単純に、宣伝効果だけを狙ったものだとは思えないでいたんだ」
「レクサスのロゴが描かれた飛行機って、それっすね」
「どうやらそのようだね」
「キノシタさんも、レクサス機に乗ったって噂っすよ」
「・・・・」
「やっぱり絡んでいたっすね」
「いや、プロジェクトには・・・」
「隠さないでくださいよ」
「そこまで知っているのならば、正直に言おう。レクサスはすでに、室屋選手と度重なる技術的セッションを繰り返している。エアレース用の機体には、すでにレクサスの技術が投入されているんだ。操縦桿には、レクサスのコントロール技術が応用されている。コンマ数秒の遅れも乱れもなく正確に操縦するには、パイロットの手足となる操作系が欠かせないからね。その点では、クルマも同様だから、技術的な親和性がある」
「やっぱり・・。レクサスは航空機産業を始めるんっすね」
「そう急ぐなよ」
「だって、じゃないとつじつまが合わないっす」
「たしかに、将来的には考えられないこともない。トヨタは自動車会社から脱皮して、モビリティ会社に生まれ変わろうとしている。すでにレクサスは、推定4億円級の豪華クルーザーを開発。すでに試乗している。その完成度は驚くほど高い。陸の次に海に駒を進めたレクサスが、新たに空に目を向ける可能性も否定できないからね」
「ですよね、ホンダがジェットを開発して経営的に安定している。となりゃ、負け嫌いのトヨタが指を加えて見ているはずがないっすからね」
「いや、それはどうだろうね。確かにレクサスは、室屋選手と密接なつながりがある。今年はパーソナル契約からさらに深いチーム契約を締結した。2022年から始まる新しいエアレースには、レクサスのエンジニアも帯同する。レクサスの技術を投入するとともに、レース用の機体からノウハウを吸収しようとしている」
「だったら、ホンダのよりデカい旅客機とかっすね。ボーイングみたいな・・・」
「将来的なことはわからないけれど、クルマと航空機は技術的な近似性がある。飛行機の燃料も水素に移行すると言われているし、そもそも空力的な要素は陸も空も重要だ。人を安全に移動させるという意味では、陸と空の違いでしかない」
「クルマのスポイラーなんて、飛行機からヒントを得たんでしょ?」
「たしかに飛行機の翼は揚力を発生させるものだ。クルマのウイングはマイナスの揚力装置と言えなくもない。クルマの技術は飛行機に生かせるのは事実だ」
「レクサスの500人乗り旅客機なんてね。ホンダを超えたみたいな・・・(笑)」
「それはちょっと飛躍し過ぎだけれど、静岡県に建設しているウーブンシティではドローンが飛び交うのだろうし、空飛ぶクルマなんて乗り物が生まれても不思議じゃない。普段は陸上を走行していながら、翼を広げてヒョイっと飛び立つなんて時代がすぐにそばに迫っている。いや、もう訪れている。今回のレクサスと室屋選手のチーム契約は、その伏線だと考えても不思議じゃない」
「ところで、キノシタさんがエアレースに参戦、なんてこともありそうすっね」
「それはないな。陸も制してないのに、空なんて・・・」
「船にも造詣が深いですよね。だったら次は空っすね」
「そう先を急ぐな」
「レクサス機の体験はその練習だったりして?」
「・・・」
〈文=木下隆之〉
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みんなのコメント
アイデア横取りが始まったね、チャイナじゃないんだから。