「日本の制限速度は厳しい」という勘違い
スピード違反で捕まったことがあるというクルマ好きは少なくないはずだ。そもそも多くのクルマ好きにとっての走りが楽しいクルマとは、エンジンが高回転まで気持ちよく回ったり、加速が強烈だったり、ターンインが鋭かったり、スロットルワークで車体の姿勢を自在に変えたりできるといったもので、どれもある程度ペースを上げないと堪能できない要素なのだから。
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スピード規制が細かく多く、歩行者優先が徹底している欧州
捕まった腹いせとして、日本の制限速度がヨーロッパに比べて低く抑えられていることに文句を言う人もいる。たしかにあちらの高速道路の制限速度は120~130km/hが一般的なのに対して、日本は一部で120km/hが認められたばかり。一般道路でもドイツは最高で100km/h、フランスは90km出せる。
でも逆に、ドイツのアウトバーンでも山岳地帯では100km/h以下に落とされることがあるし、街中での制限は日本以上に厳しい。最近わが国でも広まりつつある「ゾーン30」はヨーロッパが発祥だし、パリのセーヌ川の堤防内の道など、自動車の通行を禁止して歩行者道に切り替えるパターンも多い。
都市間ではある程度スピードを出すことを許している一方で、都市内では歩行者優先の思想がしっかり根付いている、メリハリのある考え方ということができそうだ。
都市部にも自動速度違反取締装置が多く設置
もちろんスピード違反の取り締まりもあり、ある意味では日本より厳しいとも言える。日本の場合、制限速度と実勢速度の差が大きいパターンが多いこともあって、プラス10km/h未満では捕まらないことも多いようだが、フランスでは数km/hのオーバーでも違反になる。
なかでも個人的に印象に残っているのは、都市や集落に入ったとき。ヨーロッパは郊外に出ると、街中とそれ以外の地域がはっきり分かれていて、フランスではそれまで90km/hだった道の制限速度が、集落に入ると50km/hに下がり、学校の近くではさらに30km/hまで落とされることもある。
日本では商品名である「オービス」の名で呼ばれることが多い自動速度違反取締装置が、こうした場所に置かれていることが多い。
日本のように事前にカメラがあることは標識などで示されているし、カーナビで教えてくれるものもあるが、それ以前にやはり都市内は歩行者優先という明確な思想を感じる。なので個人的には納得できる取り締まりである。
後ろ姿を撮影するように置かれたカメラもいくつかあった。走っている限りはカメラの存在に気づかないこともある。フロントにナンバープレートのないモーターサイクルの違反車両を特定できることも、当局側にとってはメリットかもしれない。
出頭なしの反則金キャッシュレス決済は日本でも普及するか
では仮にヨーロッパでスピード違反の現場をカメラに捉えられてしまった場合はどうなるか。その昔、僕がフランスで体験したときは、たしか帰国後にメールが送られてきて、そこに振込先が書いてあり、クレジットカードなどの情報を入力すると、後日自動的に引き落とされる仕組みだったと記憶している。
罰金を支払うというのは誰でも嫌なことであり、それを相手の顔を見ず、事務的に瞬時に済ませることができるというのは、合理的である以上に、気分的にも悪くないと思ったものだ。
日本も遅ればせながら、反則金納付のキャッシュレス化が進むそうで、すでに一部の県ではテストも行われたとのこと。これだけインターネットショッピングやキャッシュレス決済が普及しているのに、なぜ今まで原始的な手法にこだわっていたのか逆に不思議であるが、ようやくこの分野も電子化が進むのかもしれない。
スピードカメラの分だけでもすべてオンライン化してしまえば、その分、経費圧縮につながるはず。それでも反則金の額が安くなることはないだろうが。
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