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【アフリカの大地に勝てるか】WRCサファリ・ラリー 復活を歓迎する理由 豊かな歴史とケニアの自然

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【アフリカの大地に勝てるか】WRCサファリ・ラリー 復活を歓迎する理由 豊かな歴史とケニアの自然

ラリーの象徴的ステージ

世界で最も有名なラリーといえば?モンテカルロはもちろんだが、その次に有名なのがサファリだろう。

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そのサファリが世界ラリー選手権(WRC)に19年ぶりに復活した。復活といっても、一般道ではなくクローズドのスペシャルステージを走るなど、かつてのような激しい戦いではないが、その名に恥じないものになっている。

事実上、サファリは誰にとっても真新しいイベントなのだ。現在、ランキングトップのトヨタは、サファリで素晴らしい戦歴を持っているが、ケニアでの最後の勝利は1995年にさかのぼる。

トヨタのモータースポーツ・アドバイザーであるトミ・マキネンは、サファリで2度の優勝経験がある。彼の経験とアドバイスが、6月24~27日のレースでトヨタの優位性を強固なものにした。

ヒュンダイでは、レギュラーラインナップに加えて、オリバー・ソルベルグがi20 WRCのステアリングを握ってグラベルデビューを果たす。ちょうど22年前、彼の父親であるペッターが、トーマス・ラドストロームの骨折後、土壇場でフォードのファクトリーチームに起用された。ペッターはその後、5位に入賞した。

フォードは2002年にコリン・マクレーがWRCサファリで優勝しているが、今年はガス・グリーンスミスとエイドリアン・フルモーの2人がファクトリーのラインナップに名を連ねている。

Mスポーツは、新型コロナの渡航制限により最小限の人員しか派遣されておらず、チーム代表のリチャード・ミリナーも自宅待機となっている。彼は最新の通信技術を駆使して遠隔地からチームをマネジメントすることになった。

しかし、今回のイベントで最も人気のあるドライバーは、WRC3に参戦する91歳の元欧州チャンピオン、ソビエスワフ・ザサダ氏(ポーランド)が駆るフィエスタだ。ラリーの歴史と深い関わりのある彼は、1997年以来のサファリ参戦となった。

最も「映える」ラリー?

サファリ・ラリーは、黙示録的な暑さや豪雨などの極端な天候だけでなく、目を見張るような景観も含めて、すべてが極端だ。この極端さと豊かな歴史が、レースを特別なものにしている。

キリマンジャロを背景に、マサイ族の人々が見守る中、クルマがジャンプする様子が記録された過去の映像を見ると、サファリは世界で最もフォトジェニックなラリーであることは間違いない。

かつては数百kmにも及ぶ競技区間を、一般の交通機関が行き交うオープンロードで走っていたこともあり、クルーが地元の人々と交流する場面も多く見られた。スポッターのヘリコプターとクルマが無線で結ばれ、前方の危険(象の群れなど)を知らせながら、想像を絶する悪路を走る。

このような状況に対応するために、各チームは強化ボディシェル、デイタイム・ランニングライト、水場を乗り越えるための「シュノーケル」と呼ばれる排気装置などを備えたカスタムメイドのクルマを作っていた。ダカールとキャノンボールランを掛け合わせたようなものだと思えば、イメージがつかみやすいだろう。

サファリの魅力の大部分は、基本的に「無法地帯」であるという点にあった。グループB時代には、ある有名メーカーがルートの途中でクルマを丸ごと交換して不正を働いたという伝説もあるほどだ。つまり、現代の感覚に合わせてサファリを変える必要があったのだ。

現在のサファリは、デラメア・エステートのような私有地の中を走るという、まったく異なるものになっている。しかし、ラリーの主催者は、サファリに携わっていた者が多く、オリジナルの精神に沿ったものを約束してくれた。つまり、クルマが壊れることは間違いなく、観客の中にはシマウマもいるということだ。

6月24~27にわたって繰り広げられたサファリ・ラリーの結果については、ここで深く触れることはしないが、多くのファンにとって見ごたえのあるものだったのではないだろうか。ザサダ選手も再挑戦への意欲を見せているようだ。

5つの忘れられない瞬間

●1963年「アンシンカブル・セブン」

1963年に開催されたラリーは、サファリの基準から見ても非常に過酷なもので、84台のマシンが3100マイル(約4990km)のルートに挑んだものの、完走したのは7台だけだった。1968年も完走車は7台で、ドライバーとコ・ドライバーは「アンシンカブル・セブン(沈まぬ7台)」の一員として知られるようになった。

1968年に完走したドライバーのうち2人(ニック・ノヴィッキとジョギンダ・シン)は、1963年でも完走している。

●1972年「ザサダの911」

ケニア人は、自国のイベントでは常に優位に立っていた。しかし、欧州勢もこの特殊な地形での速さを徐々に身に着け、1972年、フォード・エスコートを駆るハンヌ・ミッコラがついにこの状況を打破した。

準優勝したのはポルシェ911を駆るソビエスワフ・ザサダだった。彼のマシンは、前年にポルシェのファクトリーチームから借りたままケニアに残っていたもので、メカニック1人と、休暇でたまたま現地に来ていたポーランド人の2人のボランティアだけで整備していた。

●1990年「最年長記録」

1990年のサファリ・ラリーで、ビヨン・ワルデガルドは46歳と155日で16回目となる最後の優勝を果たし、最年長記録を樹立した。

トヨタ・セリカのウォーターポンプの消耗が激しく、ケルンのファクトリースタッフが金曜日の夜、スーツケースいっぱいのスペアを持ってナイロビ行きの飛行機に乗り込んだほど過酷なレースだったが、ワルデガルドは38分もの大差をつけて勝利した。

●1999年「フォーカスに焦点を合わせる」

革命的な新型フォード・フォーカスWRCのデビューは決して容易なものではなかった。モンテカルロ・ラリーでウォーターポンプに問題があり失格となったのだ(ワルデガルドも同情しただろう)。第3戦のサファリは最も過酷な試練となるため、期待値は決して高くなかった。

コリン・マクレーが15分差で優勝するとは誰も想像しなかった。Mスポーツを率いるマルコム・ウィルソンは、この勝利を自分のキャリアの中で最も誇りに思える瞬間の1つだと今でも語っている。

●2002年「砂中のバーンズ」

このラリーで2度の優勝経験を持つリチャード・バーンズは、サファリに親しみを持っていた。彼の流れるようなドライビングスタイルは、クルマを壊すようなルートに完璧にマッチしていた。

2002年の第2戦では5位を走っていたが、サスペンションが壊れてしまった。彼のプジョーは問題なく走り続けた。しかし、55kmほど走らせところで、サービスパークを目前にして柔らかい砂に埋もれてしまったのだ。必死になって砂を掘っている彼を見ていても、ルール上、誰も助けることはできない。英AUTOCAR編集部の記者は、長年ラリーを取材してきた中で最も歯がゆい思いをしたことの1つだ、と語っている。

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