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初試乗 新型 BMW 318d 光る素質の高さ 比べるとわかる320d Mスポの良さ

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初試乗 新型 BMW 318d 光る素質の高さ 比べるとわかる320d Mスポの良さ

もくじ

ー 最新3シリーズはロードテストで5つ星を獲得
ー 320dを知ってしまうと、318dでは物足りない
ー 乗り心地やインテリアに不満はなし
ー 運転を楽しみたいのなら320d Mスポーツ
ー BMW 318dのスペック

画像 BMW 318dと320d Mスポーツ

最新3シリーズはロードテストで5つ星を獲得

英国では1990年代に「From A to B:Tales Of Modern Motoring(テイルズ・オブ・モダン・モータリング)」というドキュメンタリー番組があった。現在でもWebで見ることができるが、中間管理職が会社からの貸与車両(カンパニーカー)について語るもので、低グレードのクルマを嫌がる様子が描かれている。クルマのグレードは、ステータスのシンボルでもあったのだ。

その時代なら、BMW 318dはあまり喜ばれるグレードのクルマではなかっただろう。しかし、クルマとして優れた3シリーズだから、悪くない選択肢ではあるのだけれど。320dの完成度から考えると、318dも充分にその価値は認められるべきものがある。

BMW 3シリーズの中でも、英国では最も人気のグレードとなる320d Mスポーツは、最近行ったAUTOCARのロードテストで5つ星の最高評価を得ている。7代目に進化した最新モデルだ。それでは先代から何が変わったのだろうか。

ざっくりいうと、全体的に先代比で5%くらい、良くなっている。トレッドが広くなりホイールベースも延長され、車内空間も広くなった。車重を削り空気抵抗を減らしながら、室内空間を向上させ、装備もさらに充実させている。

それでは、320d Mスポーツと318dとの違いはどの程度だろうか。

320dを知ってしまうと、318dでは物足りない

今回評価するクルマは、320d Mスポーツではなく、318d。同じ3シリーズだが、エンジンの出力と、ハンドリングやシャシーセッティングで異なるグレードとなる。往々にして、商売的に設けられた今回のようなふたつのグレードの間には、明確な違いは殆どないことが多い。クルマとしてもほとんどが同じ内容ではある。しかし3シリーズの場合、違いは充分に体感できるものだった。

まずはエンジンを見ていくと、318dに搭載されているのは、320dと同じ2.0ℓ4気筒ユニットで、格差を設けるためにディチューンしてある。最高出力は40psも低い150psで、最大トルクは8.1kg-m低い32.5kg-m。組み合わされるのは、とてもできの良い8速ATとなる。

一般道の範囲では、トップエンドまで回さない限り、充分以上に満足できるパフォーマンスを備えている。しかし320dが持つ、楽しさに溢れたパンチ力は存在していない。もし320dを試乗しなければ、318dに不満を感じることはないだろう。反面、もし320dを知ってしまうと、物足りなさを感じるかもしれない。

後輪駆動の3シリーズは、コンパクト・サルーンというカテゴリーの選択肢では最も優れたドライバーズカーだということは周知の事実だ。そして、318dもその事実は変わらない。Mスポーツではない318dであっても、メルセデス・ベンツCクラスよりも優れた才能の持ち主のままだ。

しかし、英国ではすべてのグレードで選択可能なMスポーツ・グレードと比較すると、その差は小さくない。Mスポーツには、Mスポーツ・サスペンションと、バリアブル・スポーツ・ステアリングが付いてくる。

乗り心地やインテリアに不満はなし

ロードテストで5つ星を獲得したのは320dのMスポーツ。オプションのつかない標準のステアリングフィールは、操舵時の手応えや回頭性の素早さが不足気味に感じられてしまう。そのため、リアタイヤの接地性は優れているのに対し、コーナリング時の身のこなしに魅力を感じにくい。

一方で、ドライビング・ダイナミクスを高めると乗り心地が犠牲になるのが通例。今回の318dは18インチホイールにアダプティブではない、通常のダンパーという組み合わせだった。その結果、Mスポーツよりもバンプを越えた際の衝撃は明らかに穏やかになっている。ただ、平均で見ると硬めな設定であることには違いなく、田舎道の路面が悪い区間では、落ち着かないところもあった。

インテリアでは、操作のしやすさや素材の質感などに関しては、少なくともアウディA4と同レベル。むしろ、メルセデス・ベンツCクラスより上質に感じられるかもしれない。テスト車両に装備されていたのは、ベーシックな8.8インチのインフォテインメント・システムに、アナログメーターが並ぶインスツルメントパネル。先の320d Mスポーツには10.0インチのインフォテインメント・システムにデジタルインスツルメントだったから、その差はあるものの、それでも充分にモダンな仕上がり。エグゼクティブ・サルーンとして、充分に受け入れられる内容のものだといえる。

操作しやすい物理的なボタンやiドライブのコントローラーは残されており、歓迎できる。多くのライバルがタッチモニター式に切り替わる中で、実際のフィードバックのある触覚が残されている点は評価したい。

運転を楽しみたいのなら320d Mスポーツ

BMWによれば、英国での320dと318dとの販売割合が3:1程度になると見込んでいる。3シリーズを取りまとめるBMWのジェームズ・トンプソンによれば、「318dは、より予算を重視するお客様をフォローするためのグレードなのです」 と話していた。

今回の318dに対する批判的な部分は、320dと比較した時にでてくるもの。だが価格差はわずかに1160ポンド(15万円)で、CO2の排出量にも大きな差はない。同じ排気量を持つエンジンだということを考えると、読者の選択はいかがだろうか。

もし運転することに多少でも楽しみを求めるドライバーなら、Mスポーツにアップグレードすることをお薦めする。ハンドリングでの見返りは小さくはない。それでもなお、320dの持つパワーの魅力は捨てがたいと思う。予算も限定的なカンパニーカーとするなら、318dは正しい選択肢にはなるだろう。しかし320dの優れた評価は、まったく変わることはない。

BMW 318dのスペック

価格:3万5195ポンド(478万円)
全長×全幅×全高:4709✕1827✕1435mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:8.3秒
燃費:19.2km/ℓ
CO2排出量:138g/km
乾燥重量:1455kg
パワートレイン:直列4気筒1995ccターボ
使用燃料:軽油
最高出力:150ps/3750-4000rpm
最大トルク:32.5kg-m/1500-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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