日産のセダンラインナップに大きな動きあり!
2019年6月19日、日産が「グローバルに新型セダンのラインナップを充実させる」と発表。
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発表にあたり「大胆なデザインと、最新の先進安全技術や燃費性能の優れたパワートレーンを搭載した魅力あふれるセダンを今後も投入していきます」とプレスリリースに記載している(進化した自動運転技術やe-POWER、EVも含むと思われる)。
その第一弾として、今夏、日産 スカイラインがマイナーチェンジを実施する。
一方で、その他の商品展開に関する詳細は明らかにされていない。冒頭のとおり“グローバルに”とリリースには記載されているが、日本における日産のセダンはどうなるのか?
実は、日産には日本未発売ながら海外ではヒットを飛ばしているセダンが数多く存在する。
そこで、本稿ではスカイラインの改良モデルの概要とともに、日産の海外専売セダンと注目の日本導入へ向けた可能性に迫る。
文:永田恵一
写真:NISSAN
日産初の技術搭載!! スカイラインが大幅改良で今夏デビュー
写真は2017年モデルのスカイライン。現在はインフィニティバッジが付くが、メイン写真のアルティマ等と同様、日産バッジ+Vモーショングリルを持つフロントマスクに変更される見込み
2013年11月の登場以来、最も大きな改良を受けるスカイラインの目玉は、なんと言っても大きく前進する運転支援技術「プロパイロット2.0」の搭載だ。
プロパイロット2.0は、あくまでも歩行者や自転車といった走行中のリスクが少ない高速道路を走行中の運転支援。
まず、ハード面ではジャンクションのコーナー曲率や勾配などの情報も盛り込まれる「3D高精度地図データ」、トライカムと呼ばれるフロントの三眼カメラと側面に付くアラウンドビューモニターという合計7つのカメラを搭載。
さらに、フロントと四隅に配置される5つのレーダー、12個のソナーセンサーから構成される周囲の状況を詳細に把握する「360度センシング」、ドライバーが前方を見ているかを監視する「ドライバーモニタ」や「ヘッドアップディスプレイ」という3つの新技術を採用。
これらのハードウェアにより、高速道路の同一車線内でのハンズオフ(手放しで車線の中央をキープする)、先行車を追い越し元の車線に戻るまでの車線変更の支援、ジャンクションでの運転支援などが可能となっており、疲労低減や事後防止に大きく貢献する。
プロパイロット2.0は、3.5L・V6ハイブリッドのみに搭載される見込みだ。高コストなハードウェアが多数加わるだけに、価格もそれなりに高価になると思われるが、興味深い技術である。
ビッグマイナーチェンジでは、このほかにも3L・V6ターボエンジンの搭載、日産バッジ&Vモーショングリルに変更したフロントマスクも採用される見込みだ。
セダン拡充で注目! 日本未導入の日産セダン 4選
■アルティマ
2019年モデルのアルティマ。全長4900×全幅1852×全高1458mmで、4車の中では最も大きいセダン
現在、日本で細々と販売されているティアナを主に米国、中国向けとしたラージセダン。
米国と中国ではカムリやアコードのライバルとなるだけに重要なモデルで、米国では2018年から、中国では2019年から日本のティアナに先行してフルモデルチェンジされたモデルが販売されている。
特に米国向けは2L直4ターボで3.5L・V6級の動力性能と良好な燃費を両立した世界初の可変圧縮比エンジンであるVCターボを搭載。
また、新開発となる直噴の2.5L直4といった新しいエンジン、日産のセダンとしては初となるプロパイロットを搭載するなど、大変力の入った車となっている。
■マキシマ
2019年モデルのマキシマ。全長4897×全幅1859×全高1435mmでアルティマと並ぶラージセダンだ
かつて6気筒エンジンを搭載したブルーバードの上級仕様や、ブルーバードから独立し、日本車において純粋に5ナンバー枠を超えるボディサイズを持つモデルの先駆けとなったマキシマは、現在も北米を中心に販売中。
マキシマは、アルティマの上級スポーツセダンというキャラクターを持っており、アルティマにはない3.5L・V6エンジンを搭載。米国人好みの豪快な走りが魅力となっている。
■シルフィ
北米ではセントラの車名で販売されているシルフィの新型。アルティマよりひと回り小さいミドルセダンで、海外仕様の現行セントラ等から考えると全長4650×全幅1780mm程度になると予想
ティアナ同様に日本では埋もれているミドルセダンのシルフィであるが、中国やセントラの車名で販売される米国では、カローラやシビックのライバルとなる重要なモデルだ。
そのシルフィが2019年4月に行われた上海モーターショーでフルモデルチェンジされた。
新型シルフィは、発売まで時間があるためなのかボディサイズなどの詳細は明かされていない。
ただ、Cd値(空気抵抗係数)は、GT-Rと同等の0.26というエモーショナルなスタイルながら広い室内空間も確保しており、中国仕様は新しいプラットホームにパワートレーンは1.6L直4+CVTを搭載する。
■ヴァーサセダン
4車の中では最小型セダンの新型ヴァーサ。先代モデル(=ラティオ)は全長4455×全幅1695mmの5ナンバーだっただけにそのサイズにも注目だ
ヴァーサセダンは、ノートのセダンとなるモデルで、中国やアメリカ、タイなどの東南アジアを中心にサニーの車名で販売。日本でも2012~2016年までラティオの車名で販売されていた。
そして、北米向けモデルは2019年4月にフルモデルチェンジ。
シルフィ同様にボディサイズなどの詳細は掴めていないが、アルティマの弟分のようなスタイルを持ち、緊急自動ブレーキを含む先行車追従型のクルーズコントロールや後方を監視するブラインドスポットモニタリングなど、充実した安全装備を持つ。
エンジンは1.6L直4で、トランスミッションはCVTと5速MTが設定される。
海外専売日産セダンの日本導入はあるか?
まず、アルティマとマキシマは、車格がスカイラインとバッティングすることあり期待薄だろう。対照的にシルフィとヴァーサセダンは、日本導入も期待できる。
日産の日本向けラインナップを見ると、柱となる車がもう何台か欲しいところで、シルフィを日本向けに仕立てればなかなか面白い車となる可能性がある。
具体的にはe-POWERやかつてのブルーバードSSSを彷彿とさせる米国向けセントラNISMOのようなスポーツセダン、リーフに続くミドルセダンのEVといった、豊富なバリエーションを期待したい。
また、カローラセダンの3ナンバー化で、いずれ5ナンバーセダンがなくなることを考えると、新しいヴァーサセダンが5ナンバーサイズであれば、中期的なライバル車はホンダ グレイスのみ。
そうした展開になれば、ヴァーサセダンにe-POWERなどのバリエーションや安全装備といった商品力が確保されていれば、市場をゴッソリ奪える可能性もあるのではないだろうか。
◆ ◆ ◆
体制を一新した日産がセダンも含め現実的な価格で買える魅力的なクルマを増やし、トヨタとは違った個性の総称である「日産らしさ」を取り戻してくれることを期待したい。
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