■トヨタのコンパクトカー 「ヤリス」と「パッソ」の違いとは
2020年6月現在、トヨタは全8車種のコンパクトカーをラインナップし、2020年2月10日には新規コンパクトカーとして「ヤリス」を発売。豊富な車種数を誇り、コンパクトカーが盛り上がりを見せています。
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そんななか、お買い得な価格設定であるにも関わらず、販売が振るわないモデルとして「パッソ」が存在するのですが、トヨタのコンパクトカーのなかで売れ筋のモデルとそうでないモデルには、どのような違いがあるのでしょうか。
ヤリスは、同社のコンパクトカーラインナップのなかで、かつて国内市場では「ヴィッツ」で販売されていたコンパクトカーが、車種名を変更して登場したモデルです。ガソリン仕様とハイブリッド仕様のふたつをラインナップし、価格は139万5000円からとなっています。
ヴィッツからヤリスへ刷新されたことで、初採用されたTNGAプラットフォーム(GA-B)や、全車標準装備となったディスプレイオーディオなど、性能・機能の両方においてさまざまな進化を遂げたものの、それに合わせて車両価格も上昇。
エントリーグレードの車両価格(消費税込、以下同様)は120万3400円から139万5000円と約19万円アップしました。
トヨタは、新型ヤリスの発表時に、ヴィッツとヤリスの量販グレード同士の価格差および装備差を公表。
150万9200円のヴィッツの量販グレード(1.3リッターガソリン「F」グレード/FF/CVT)に対し、159万8000円のヤリスの量販グレード(1.5リッターガソリン「X」グレード/FF/CVT)は約9万円高となるものの、トヨタセーフティセンスやディスプレイオーディオ、カーテンシールドエアバッグ、サイドエアバッグ(運転席・助手席)が装備されるほか、排気量アップによる走行性能向上など、コストパフォーマンスは変化していないことを説明しました。
しかし、全体的に車両価格が上昇した印象を受けるのも事実で、トヨタのラインナップ内でより安価なコンパクトカーのニーズが高くなることも予想されました。
そんななか、トヨタのコンパクトカーラインナップにはより安価なモデルとしてダイハツ「ブーン」のOEM車「パッソ」がラインナップされています。車両価格は119万9000円からと以前のヴィッツより安価です。
また、エアコンがマニュアル式となるヤリスのエントリーグレード(「X“Bパッケージ”」:1リッター/FF/CVT)が139万5000円なのに対し、オートエアコンの採用など装備が充実したパッソの中級グレード(「X“L package・S”」:1リッター/FF/CVT)が136万9500円に設定されるなど、買い得感ある価格設定です。
また、5月からはトヨタの全車種全店舗併売がスタートし、同じ販売店でトヨタのコンパクトカー同士で客が流れるという事態も考えられる状況でした。
しかし、日本自動車販売協会連合会が発表する登録車月別販売台数ランキングによると、ヤリスは発売初月の2月は22位を記録したものの、翌3月は3位、そして4月と5月は首位を獲得。3月から5月はすべて月販販売台数が1万台を超える規模となっています。
一方、パッソは2月が25位、3月が28位、4月が21位、5月が17位。各月の販売台数は2000台から4000台程度で、5月は2000台を割り込み1979台になるなど、ヤリスより安価にも関わらず販売台数は伸びていません。
なぜ手頃な価格設定のパッソは販売台数が伸びないのでしょうか。トヨタの販売店スタッフに聞いたところ、次のように説明します。
「パッソは車内が狭いことなどを含め、どちらかというと軽自動車に近い存在です。そういったこともあり、法人の営業者ユースで購入されることは多いものの、個人のお客さまはヤリスを選ばれることが多く、我々がおすすめするのもヤリスの場合がほとんどです」
また、別のトヨタの販売店スタッフは次のように話します。
「ヤリスは、搭載される安全装備が最新のものになっております。衝突被害軽減ブレーキを見ても、(パッソはOEM車ということもあり)そもそもシステム自体が別物です。ヤリスはより幅広い検知対象をカバーします。
また、ヤリスのハイブリッドモデルは燃費もかなり優れています」
■ほかのメーカーにも当てはまる? 人気モデルとなる要因とは
前出の販売店スタッフのコメントや、日本自動車販売協会連合会の発表する販売台数を見ると、コンパクトカー市場で人気モデルとなるためには安価なだけでなく高付加価値がついていることが求められているとわかります。
新型ヤリスのハイブリッド仕様は、新開発「直列3気筒1.5リッターダイナミックフォースエンジン」を組み合わせた新世代ハイブリッドシステムを採用。これにより、クラス世界トップレベルとなるWLTCモード36.0km/Lの低燃費を実現しています。
ヤリスのガソリン仕様(139万5000円から)に比べ、ハイブリッド仕様は199万8000円からと車両価格は大きく上昇するのですが、それでもヤリスの発売後1か月間の受注のうち45%がハイブリッド仕様でした。
また、ヤリスが首位となった4月と5月の販売台数ランキングでコンパクトカー2位となったモデルにホンダ「フィット」がありますが、こちらも2020年2月にフルモデルチェンジを受けています。
このとき、ハイブリッド仕様に搭載されるハイブリッドシステムも1モーター式の「i-DCD」から2モーター式の「e:HEV」へ刷新されており、なめらかな乗り味とあわせてフィット独自の訴求ポイントとしています。
発売後1か月間の受注でのハイブリッド比率は、ヤリスを超える7割以上を記録したということです。
※ ※ ※
新型車の人気が高まることは自然ですが、そんななかでも独自のハイブリッドシステムの採用をはじめ、「この車種ならでは」といえる高付加価値を持つことが、頭ひとつ抜けた人気モデルとなる鍵といえるでしょう。
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みんなのコメント
どうしてホンダ車の人気はパッとしないの?
パッソはヤリス以外にもライズやルーミータンクを売りながらの台数だよ?