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2022年にまさかの復活! 日本導入も期待したい「インテグラ」の歴史をプレイバック

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2022年にまさかの復活! 日本導入も期待したい「インテグラ」の歴史をプレイバック

歴代モデルでスポーティさを追求してきた

 S660や2代目NSXの販売終了など、スポーツのホンダのイメージが薄れていくのは悲しい限り。脱炭素は仕方がないことで、今後もこの流れは続くのだろう。そこで、今回は忘れちゃいけないスポーツカーの歴史として、ホンダ・インテグラを振り返る。

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【SU型】プレリュードの弟分として誕生

 まずインテグラの原点、1980年2月にベルノ店(当時)から発売されたのがクイントだ。ベルノ店は1978年にプレリュードの発売に合わせて作られた販売チャンネルで、販売台数を稼ぐべくクイントが生まれたといえる。当初よりホンダ伝統のFFかつ四輪独立懸架(ストラット式)となっており、エンジンは新開発のEP型1.6Lのみ。

 ボディスタイルはその名の通り5ドアハッチバック。開放感にあふれた広い室内と大型ハッチによる積載性の良さなど、パワフルで使い勝手に優れた性能でベルノ店の人気モデルとなった。発売直後の6月には、国産車初の電動サンルーフを持つプレリュードに続いてサンルーフ仕様が追加されている。

 ちなみにクイントとは五重奏などを意味した造語である。アコード(和音)、プレリュード(前奏曲)に始まり、のちのコンチェルト(協奏曲)とも相まって、音楽用語がホンダの車名の特徴と言えた。キャッチコピーは「現代を主張するクロスオーバー・カー」で、現在人気のクロスオーバースタイルを5ドアハッチバックとして謳った珍しい存在だった。

 ちなみにベルノ店では、同1980年8月にシビックの派生モデルとして4ドアセダンのバラード(ゆっくりした情緒的な曲調の音楽という意味)が誕生。4ドアセダンのバラードと5ドアのクイントが存在するわけだが、5ドアの可能性を模索したクイントは、新時代を予感させるものだった。

【AV/DA型】リトラが個性を発揮しボディスタイルを拡大

 1985年2月にクイント・インテグラが発売開始。先代の5ドアから打って変わって3ドアのスタイリッシュなボディで登場し、あまりのデザインの進化ぶりは衝撃的だった。

 ハッチバック(2BOX)の使い勝手とノッチバック・クーペ(3BOX)の流麗さを実現したスタイリングは、リラクタブルヘッドライトを備えた低いフロントノーズ、リヤには回り込むようなラップランド・スタイルのガラスハッチとハイデッキテールを採用。当時としては最新のフラッシュサーフェイス化が施され、ガラスの段差はトップクラスの5mmと空力も追及された。とはいえ当時最新の可倒式後席シートを採用しており、VDA方式で最大431Lというしっかりとした荷室が与えられた。

 エンジンはこの時代、最先端の電子制御燃料噴射であるPGM-FIを設定。1.6LのZC型DOHCエンジンは135ps/15.5kg-mを発揮。キャブ仕様や3速ATの設定もあったが、全車DOHCエンジンで、スポーティなイメージを確立した。

 そして同年10月に待望の5ドアと4ドアセダンを追加。こちらはベルノ店で販売されていたバラードの後継という役目もあり、3ドアよりホイールベースが70mmも延長されて居住性が向上した。一部モデルにワンタッチ式パワーウインドウやパワーステアリングが装備されるなど、バブルの時代、スポーティかつ快適性に対応したモデルとなっている。

 4ドアの特徴はEW型1.5L直4も設定されることで、お馴染みのCVCCエンジンはSOHC吸気2、排気1副室用吸気1バルブ仕様。ボディ同様に価格を抑えた仕様を加えることで、インテグラの存在感をアピールする狙いがあったと思われる。同タイミングで3ドアのインテグラも3速ATから4速ATへと変更されており、商品性を高めた。

 走らせると、4速ATは当時のトルクコンバーター式ATのイメージ通りで変速はゆったりしたもの。5速MTもシフトフィールがカチッとはいかず、当時としてもスポーティとは言えないものだったはず。ボディの剛性感は当時の水準としても決して高くはなかったが、リトラクタブルヘッドライトや低いフロントノーズからの視界、エンジンフィールなどは当時としては十二分にスペシャル感、ほかよりもおしゃれな感じが味わえた。

 1.6LのZC型エンジンはボア×ストロークが75.0×90.0mmとロングストロークながら、高回転までよどみなく回り低回転域も必要なトルクを発揮してくれた。それこそ初代クイントのEP型も1.6Lながらボア×ストロークが77×86mmのロングストロークながら高回転域を得意としていたこともあって、ロングストロークの高回転エンジンはホンダのお家芸と言ってよいはずだ。

【DA/DB型】VTECで時代の先端を行く!

 そしてプレリュードと1983年登場のバラードスポーツに続いて、ベルノ店の「スポーツ」を決定づけたのが、クイントの名と別れを告げて2代目となる「インテグラ」だ。世界初の可変バルブタイミングリフト機構を採用した、新開発DOHC VTECエンジンを搭載する3ドアクーペ&5ドアハードトップである。

 特徴はなんと言ってもエンジンで、1.6LのB16型直4エンジンは、自然吸気ながら160psをマーク(5速MT車)。発売開始の1989年はF1で世界を席巻していたわけだが、まさかこんなエンジンが生まれるとは。少量生産のスポーツカーメーカーが達成したのではなく、世界中でクルマを量産するメーカーがこのようなエンジンを生み出したことは非常にインパクトが大きく、他メーカーを大いに慌てさせることになる。

 サスペンションは四輪ダブルウイッシュボーンを採用。ホンダとしては得意とする技術であったが、現在で言うCセグメントであるインテグラで、サスペンションまで追求して走りにこだわった。まさにバブル期ホンダの面目躍如の内容。それが2代目インテグラだった。

 ちなみにVTECの陰に隠れがちだが、ZC型エンジンも先代から改良されて搭載された。PGM-FIなどもあって75.0×90.0というボア×ストロークながら、最高出力120ps/6300rpm、最大トルク14.5kg-m/5500rpmと高出力なユニットとなっており、VTECでなくても十分な性能で支持を集めていた。

 走らせれば、当時の前輪駆動のモデルと違って曲がらない印象はない。もちろんタックインがない、FFの癖がないとは言わないが、前輪駆動の他社のモデルとは違って、当時としてはかなりレスポンス良くノーズの向きを変えてくれ、販売が好評だったのも納得だ。

【DC/DB型】三代目は丸目で登場もクルマ自体は正常進化

 1.6Lの5ドアハッチのみでデビューし、モデルチェンジで4ドアや1.5Lも追加してスペシャリティ性を魅力としたインテグラ。その3代目は、1993年5月に3ドアが、7月に4ドアが登場した。

 全体的なフォルムは先代を踏襲した形だが、丸目四灯のスタイリングはヤツメウナギなどと評されて、クルマにとって重要な「顔」の評判はイマイチだった。だが、これはメインとなる海外市場への要望によるもので、インテグラだけでなく他社も同様。丸目モデルが多く発売され、日本市場では酷評されたものの、販売台数が見込める市場では結果を残した。思えばこのころからメーカーは、販売台数が見込めるマーケットを重視しだして、日本のマーケットとの解離が表面化してきたのかもしれない。

 さておき3代目も正常進化を十二分に遂げていた。まずシャーシは世界共通の衝撃吸収高剛性ボディとして、ボールジョイント式スタビライザーを用いた四輪ダブルウイッシュボーンを採用。エンジンも1.6Lは定評のZC型のみとしてDOHC VTECは排気量を1.8LのB18C型を新採用する。VTECは180ps/7600rpm、17.8kg-m/6200rpm(MT)と出力をアップさせ、切れ味の鋭さを増してきた。

 走らせると先代よりも全面で洗練されていることが体感できた。ボディ剛性は高く、ハンドリングは軽快でスポーティ、サスペンション&タイヤの進化もあるだろうが、十分に実用性の高いスポーツカーに仕立てられていた。もちろんタイプRが出るまでは……。

【DC2/DB8型】伝説の赤バッジ! タイプRが満を持して登場

 1995年8月。インテグラはマイナーチェンジを遂げた。内容はスタイリングの刷新、プロジェクター式ヘッドライトの採用やオートエアコンの採用拡大、ABSやエアバッグの低価格化、そして全車にPGM-FIの採用など基本性能の向上化が図られた。だが、注目はこれではない。「タイプR」が設定されたのだ。

 すでにNSXにタイプRは設定されていたが、それはスーパースポーツのもの。しかし、現在でいうCセグメントのモデルであるインテグラに「タイプR」が発売されたのだ。

 その特徴は1.8Lながら200ps/8400rpmを発揮する、なんとMT車専用となるエンジンだ。高圧縮比を実現するピストン、吸排気損失を低減して追従性を高めるバルブメカニズム、フリクションロスを低減したほかパーツの精度を向上。すでに超精密鏡面仕上げのクランクシャフトや高強度細軸バルブなどが使われていたが、職人の手仕上げによるエンジン性能の向上と専用のエアロパーツで、ほかに類を見ない高性能を手に入れたのだ。これは1Lの排気量あたり111psで、ピストンの最大許容回転時には24.4m/sec(秒)というほど高速回転仕様だった。

 ボア×ストロークは81.0×87.2mmというロングストロークだから、これもとんでもないものだ。自然吸気でここまでの高回転化を実現するモデルは本当に希少だ。DC2やDB8などと型式で呼ばれるインテグラの初代タイプRだが、現在でも人気が根強い。レカロシートに始まり、MOMO製のステアリング、チタン製のシフトノブ、ブリヂストン製のポテンザRE010タイヤなど、マニアをくすぐる装備がてんこ盛り。

 最初期F1のボディカラーであるチャンピオンシップホワイトの車体色、F1ブームを起こしたホンダの赤バッジ伝説は、タイプRの新しい顔としてほかのホンダ車にもタイプR待望論が出るほどだった。

【DC2/DB8型】タイプRとして正常進化したバージョン1.5

 1998年1月のマイナーチェンジでは、さらに改良が施された。タイプRに絞って紹介すると、排気系が完全に等長化されたステンレス製のエキゾーストマニホールドによって低中域速のトルクをアップ。さらに、最大トルク発生回転数を7500から6200rpmに変更して低回転化、同時にギヤ比の見直しで加速性能が向上していた。

 ブレーキも従来より性能を高め、フロント15&リヤ14インチにローター径を大径化し制動力を高めた。タイヤサイズもタイヤ性能の向上に合わせて215/45R16に拡大。新設計の5穴ホイール仕様とした。ボディも板厚アップなど強化され「98スペック」を名乗るようになった。

 このように正常進化を遂げていたが、残念なことがあるとしたら「96スペック」のほうが、15インチ仕様で小さな峠やストリートでは性能が上という声があったこと。ばね下重量が96仕様の方が軽いことから、峠道ファンには96スペックのほうが速いという評価だったことを記憶している。加えて言うとディスチャージヘッドランプが標準なのが98スペックだ。

 1999年の12月にマイナーチェンジを遂げた際、CDプレイヤーやキーレスエントリー・システムなどの充実装備のタイプR・Xが追加されたが、それは3ドアのみで、3ドアの人気が高かったことをうかがわせる。

【DC5型】タイプRのイメージが強すぎた最終モデル

 2001年7月、フルモデルチェンジを遂げたインテグラは、ついに3ナンバーワイドボディの3ドアモデルのみとなってしまう。インテグラは北米ではアキュラブランドで売られており、歴代モデルはセクレタリーカー(若い社会人が通勤に使うクルマ)として人気だったというが、このころから北米でも若い女性はMPVやSUVなどに乗るようになったのだろう。日本ではタイプRありきといったラインアップとなった。

 タイプRのエンジンはK20A型2.0LのDOHC i-VTECと6速MTの組み合わせで、走りを一段と強化。エンジン自体も1.8Lに比べて10kgも軽量化されたほか、排ガス性能を向上させた。スペックも220ps/21.0kg-mとすべての面で上まわっており、トランスミッションも6速MTでワイドレシオしたうえで2.5kg軽量化が果たされ戦闘力がアップした。

 ブレーキはホンダ初のブレンボとの共同開発アルミ合金製を採用。ボディ自体も先代比で曲げ剛性35%、ねじり剛性116%向上とすべての面で進化を果たしていた。

 しかし、先に述べたようにクーペモデルのマーケットの縮小および、ハイブリッドの台頭もあって、このクラスのスポーツモデルの需要が少なくなった。販売面では苦戦したことで最終モデルとなる。

 ハッチバックゆえ荷物も積みやすく、3ナンバーサイズといっても全幅が1725mmというだけで、全長は4385mmだから現在で言っても十分にコンパクト。市街地でも取り回しに困るサイズではなかった。当時の安全装備もすべて備えており、エンジンの環境性能も含めて、上質なクーペと言えただろう。

 2004年にはマイナーチェンジが行われて、iSからタイプSへ名称変更された。タイヤはiSの195/65R15から215/45R17へとサイズアップが図られておきながら、サスペンションのセッティング変更やボディの高剛性化、重心高の7mmダウンなどもあって、しなやかな走りを高いレベルで実現している。

 タイプRがサーキットベストであるならば、タイプSはストリートベストを実現しており、クルマを相棒とするのであればインテグラを候補に入れるべきと言える性能は持っていた。

 この2004年のマイナーチェンジでのタイプRといえば、タイプSでもそうだが、ヘッドライトの形状が涙型から変更された。より日本人好み? のスッキリしたスタイリングとなっている。

 控えめ形状のリヤウイングも選べるようになったうえ、ボディやペダル剛性の向上、リヤサスペンションのバンプストロークの拡大、左右対称巻きのフロントスプリングを採用した。これにより、市街地ではしなやかなスポーティ、その気になったシーンでは切れ味鋭いタイプRの本領発揮ができる、オフの顔とオンの顔という二面性を使い分けられるほど性能がアップしていた。

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