F1カタールGPのスプリント・シュートアウトが行なわれ、マクラーレンのオスカー・ピアストリがF1スプリントのポールポジションを獲得した。
今年のカタールGPは、前代未聞の事態となった。金曜日の段階で、使用されたタイヤの多くに想定以上のダメージがあることが発覚したため、ターン12とターン13の縁石を変更。トラックリミット違反を取られる基準も変わったため、土曜日のスプリント・シュートアウトの前に10分間の追加の慣熟走行が行なわれ、スプリント・シュートアウトの開始時間が20分繰り下げられた。
■今年のF1カタールGPも、タイヤにとってはピンチ! 金曜日走行後にトラブルの兆候発覚。追加で10分の練習走行が決定……スプリントシュートアウトは20分後ろ倒しに
現地時間は夕刻16時。気温は36度、路面温度は43度というコンディションだった。
スプリント・シュートアウトはSQ1、SQ2、SQ3のノックアウト方式で行なわれるが、通常の予選とは異なりSQ1とSQ2は新品のミディアムタイヤ、SQ3はソフトタイヤを使うことが義務付けられた。
■SQ1:角田裕毅、トラックリミットの餌食に
12分のSQ1が開始されると、まずフェラーリ勢を先頭にコースイン。カルロス・サインツJr.は1分29秒台と低調なペースだったが、チームメイトのルクレールが1分26秒955でとりあえずのトップタイムを記録した。ただこのタイムは次々に塗り替えられ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が1分25秒510で首位になった。
アルファタウリやハース、ウイリアムズやフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)らはコースインのタイミングを遅らせる戦略に出た。
また金曜日に行なわれた決勝用の予選と同様に、この日もトラックリミット違反が多数発生。上位につけていたピエール・ガスリー(アルピーヌ)やルクレール、ルイス・ハミルトン(メルセデス)らがタイム抹消の処分を受けた。
フェルスタッペンは早めにピットに戻って静観。一方で他の各車がタイムアタックを重ねた。
そんな中メルセデスのジョージ・ラッセルが、フェルスタッペンを上回る1分25秒413を記録して首位に浮上。そのままSQ1をトップで終えた。
2番手には前半首位に立っていたフェルスタッペン、3番手にはマクラーレンのランド・ノリスが続いた。
角田裕毅(アルファタウリ)は最後のアタックでなんとか15番手に入り、 SQ2に進出できたかと思われたが、トラックリミット違反を取られてタイム抹消。18番手でSQ2敗退となった。
角田の他ランス・ストロール(アストンマーチン)、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、ケビン・マグヌッセン(ハース)、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)がここで脱落となった。
なおラッセル、ハミルトン、ガスリー、リアム・ローソン(アルファタウリ)、角田、ストロール、アルボンは、規定されているピットインラップの最大タイムを違反したとして、セッション後に審議されることになることが決まった。
■SQ2:ハミルトンがトラックリミットに苦しむ
SQ2は10分間。このセッションはメルセデス勢とフェラーリ勢からコースインし、ペレスやピアストリもこれに続いた。アルピーヌ勢とアルファロメオ勢、そしてアロンソは、コースインを遅らせる戦略である。
最初のアタックではフェルスタッペンが首位かと思われたが、セクター1と3で全体ベストを計測したノリスが唯一1分25秒を切る1分24秒947を記録し、首位で折り返した。トップ4をマクラーレンとレッドブルが分け合う、そんな順位だった。
ノリスとフェルスタッペンは、これでSQ2突破は十分と判断したか、早めにピットに戻ってやはり静観。ペレスやヒュルケンベルグは、一度ピットに戻った後、再びコースインした。
2度目のアタックでは、ラッセルとペレスがノリスとフェルスタッペンの間に割って入った。アロンソがそれに続く5番手、フェラーリ勢、ピアストリに続いて、ヒュルケンベルグ、エステバン・オコン(アルピーヌ)までがSQ3進出を決めた。
ガスリー、ハミルトン、ボッタス、リアム・ローソン(アルファタウリ)、周冠宇(アルファロメオ)がここで脱落。ハミルトンは2回、周は3回トラックリミット違反を取られたことに苦しめられた。
このSQ2ではラッセルとガスリーがピットインラップの最大タイムを違反している。
■SQ3:新人ドライバーの驚異的な走り。ピアストリPP
SQ3では、フェルスタッペンが先頭でコースイン。1分24秒543という圧倒的なタイムを記録してみせた。しかしこのアタックは、ターン5でトラックリミット違反があったとしてタイム抹消。再びアタックに挑まなければならなくなった。
そんな中でマクラーレン勢が速さを見せる。ピアストリが1分24秒575を記録して首位に立つと、そのチームメイトであるノリスが1分24秒536で首位。ペレスが3番手に続いたが、ノリスには0.8秒の差をつけられた。
フェルスタッペンは怒りのアタックを見せ、セクター1で全体ベストを記録したが、その後のセクターでまとめられず、タイムはマクラーレンの2台に届かなかった。
マクラーレンはここでフロントロウ独占を決めたが、ピアストリもノリスもその手綱を緩めない。ピアストリがまず1分24秒454を記録し、先輩ノリスを上回って、暫定首位に立った。ただノリスは素晴らしいアタックでセクター1とセクター2を駆け抜け、ピアストリから首位を奪い取るかに思われた。しかしそのノリスは、最終コーナーで痛恨のミスを犯してしまい、トップタイム更新となはらなかった。
この結果、脅威の新人ピアストリが、スプリント・シュートアウトで初のポールポジションを獲得した。2番手はノリスで、マクラーレンがフロントロウ独占した。
フェルスタッペンは3番手。マクラーレン勢の速さの前に屈した格好だ。ラッセルが4番手、アロンソが5番手となるはずだったが、アロンソはターン14でトラックリミット違反があったとしてタイム抹消。結局ノータイムの10番手となった。
レッドブルのもう1台であるペレスは9番手。フェルスタッペンが3番グリッドからスタートすることを考えると、この後行なわれるF1スプリントで2023年のF1ドライバーズタイトル獲得をフェルスタッペンが決める可能性が高まった。
F1スプリントは、この後日本時間10月8日(日)2:30にスタートする。
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