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新たなる4シーター「FF & GTC4ルッソ」(2011-2016)【フェラーリ名鑑】

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新たなる4シーター「FF & GTC4ルッソ」(2011-2016)【フェラーリ名鑑】

斬新なシューティング ブレークで登場した「FF」

2011年に、それまでのフルサイズ2+2GT、612スカリエッティの生産が終了すると、フェラーリはさほど長い時間を必要とすることなく、その後継車の発表を行った。それまでのピニンファリーナによる流麗なボディスタイリングからは一転、シューティング ブレークのスタイルにも通じるシルエットは、そのモデルがいかに機能性に富むモデルであるのかを主張するだけの説得力に満ち溢れたものだった。その車名は「FF(フェラーリ・フォー)」。それが正式なネーミングであるから、フェラーリFF(エフ・エフ)と呼ぶのは間違いである。

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V12自然吸気エンジン&4WDシステム

FFには、それまでのフェラーリにはなかった、さまざまな試みが採用されていた。それを象徴するアルファベットこそが「F」であり、それはもちろん“Four=4”を意味する。4WDの“4”、4シーターの“4”、いち早くFFを購入したカスタマーは、過去のフェラーリにはない斬新さを高く評価した。

FFに搭載されるエンジンは、6262ccのV型12気筒DOHC(自然吸気式)。フロントに搭載されるこのエンジンから4輪にトルクを伝達する方法は比較的シンプルなもので、クランシャフトの後方から後輪向けのトルクが7速F1マチックに向けて、そして前方からは2速ギアボックスに向けて出力される仕組みである。ただし、4WDの走行モードに入るのは4速までと限られる。最高出力は660psとされ、アイドリングストップ等を行うHELEシステムも日本仕様などでは標準装備化されていた。

シートは2+2ではなくフル4シーター。後席の快適性は非常に高い。後席のさらに後方には450リットルほどのラゲッジルームが備わるが、後席を収納すれば約800リットルの容量まで拡大する。もちろん過去にはこのようなフェラーリなど存在しないことから、レジャーなどにも使えるはじめてのフェラーリとして話題となった。

30ps向上した「GTC4ルッソ」は2016年にデビュー

そして2016年2月になると、FFのビッグマイナーチェンジ版ともいえる「GTC4ルッソ」がデビューを飾る。GTCとはフェラーリがかつて250や330などで使用したネーミングだ。イタリア語で“高級”、あるいは“豪華”を意味するルッソもまた、250で人気のモデルだった。

GTC4ルッソは、一見するとFFと共通のボディを使用しているようにも見えるが、実はルーフラインからそのデザインは見直されている。柔らかな丸みを帯びたことで、より優雅なグランツーリスモ(GT)としてのキャラクターを感じられるようになった。

搭載されるエンジンは、FFと同様の6262ccの排気量をもつV型12気筒DOHC。最高出力はさらに30psのエクストラを得て690psを発揮する。FFで新採用された4WDシステムである4RMはそのままこのGTC4ルッソにも受け継がれているが、それに加えて新たに4輪操舵システムを採用。高速域での安定性と、低速域でのシャープなコーナリングを実現するほか、市街地などでは最小回転半径が縮小されたことにより、取り回しの良さが際立つようになったのも大きな特長だろう。

V8ツインターボを搭載する「GTC4ルッソT」

さらに2016年9月には、3855ccのV型8気筒ツインターボエンジンを搭載する「GTC4ルッソT」が追加設定される。これは、カリフォルニアTに搭載されて好評を博したV8ツインターボエンジンを移植したもので、後輪操舵システムを受け継ぎながらも駆動方式はシンプルなRWDにしたことなどから、V12モデルのGTC4ルッソより、ウエイトが50kgほど軽量になっていることが大きな特徴。4シーターとはいえ、魅力的なスポーツ走行が楽しめるようになった。

もちろん、ラゲッジルームの容量やシートのサイズ、そして装備の内容など、実用面では12気筒モデルから大きな変化はない。V8ツインターボが発揮する最高出力は610psと、12気筒のGTC4ルッソと比較して80psほど低い設定となるものの、それでもその走りはフェラーリ自ら“スポーツGT”と主張するほど運動性能は高く、0→100km/h加速3.5秒を実現する。

【SPECIFICATION】

フェラーリ FF

年式:2011年

エンジン:65度V型12気筒DOHC(4バルブ)

排気量:6262cc

最高出力:486kW(660ps)/8000rpm

最大トルク:683Nm/6000rpm

乾燥重量:1790kg

最高速度:335km/h

フェラーリ GTC4ルッソ

年式:2016年

エンジン:65度V型12気筒DOHC(4バルブ)

排気量:6262cc

最高出力:507kW(690ps)/8000rpm

最大トルク:697Nm/5750rpm

乾燥重量:1790kg

最高速度:335km/h

フェラーリ GTC4ルッソT

年式:2016年

エンジン:90度V型8気筒DOHCツインターボ(4バルブ)

排気量:3855cc

最高出力:449kW(610ps)/7500rpm

最大トルク:760Nm/3000 – 5250rpm

乾燥重量:1740kg

最高速度:320km/h

※すべてメーカー公表値



解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

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