■当初は予定されていなかった「カムリ」のAWD化はなぜ実現した?
北米トヨタは、「カムリ」と「アバロン」に、北米専用のAWDモデル(全輪駆動)を追加すると発表しました。
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近年、SUVやクロスオーバータイプのモデルが増えており、AWDを搭載したモデルも増加しています。一方で、ミドルサイズセダンではAWDの選択肢が少ないという状況です。
カムリやアバロンは、当初AWDを搭載する予定はなかったといいますが、トヨタモーターノースアメリカリサーチアンドデベロップメントのエンジニアは次のように説明します。
「カムリは、アメリカでもっとも売れているセダンとして人気があります。アバロンはフラッグシップモデルであることから、ユーザーやトヨタ販売店からAWDモデルを望む声が多く聞かれたため、今回のAWDモデル追加に至りました。
近年トヨタが取り入れている『TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)』の柔軟性とコンポーネンツにより、社内で独自に開発することができました」
アバロンにAWDが搭載されるのは初めてですが、1988年から1991年にかけて、カムリには「オールトラック」というAWDモデルが設定されていました。なお、日本仕様の現行カムリのハイブリッド車には、電気式四輪駆動の「E-Four」が設定されています。
AWDと呼ばれる四駆システムにはさまざまなタイプがありますが、カムリとアバロンには、新型「RAV4」に採用されている「ダイナミックトルクコントロールAWD」が搭載されます。
ダイナミックトルクコントロールAWDは、前輪駆動の状態と四輪駆動の状態を自動的に電子制御するというものです。
通常時は前輪駆動状態で燃費効率の良い走りを実現し、発進時や滑りやすい路面を走行するときは、車両の状態に合わせて適切なトルクを後輪に配分します。
カムリ、アバロンとRAV4は、いずれも「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」に基づいて設計されているため、機構を共有することが容易になったといいます。
カムリ、アバロンのアッパーボディとRAV4のエンジンやトランスミッション、トランスファーケース、リアディファレンシャルを組み合わせました。
RAV4用にセッティングされていたマルチリンクリアサスペンションは、セダンに合うように調整されていますが、プロペラシャフトは、新型「ハイランダー」に装着されているものを部分的に変更して適合させています。
TNGAは、車両のプラットフォームという枠を超えて、設計や生産、材料などの新しいアプローチをもたらしました。今回、北米でAWDモデルを独自に開発したように、TNGAによってそれぞれの仕向け地で、現地のニーズに合わせた車両を開発できるようになりました。
カムリAWDとアバロンAWDのパワートレインは、2.5リッター4気筒エンジンと8速AT(ダイレクトシフトオートマチックトランスミッション)が組み合わされます。最高出力は202馬力を発生しますが、一部のグレードはデュアルエキゾースト仕様となり、205馬力を発生します。
※ ※ ※
カムリとアバロンのAWDモデルは、雪道などで使用されることを考慮して、寒冷地パッケージが用意されています。
カムリAWDは、全車にヒートシーターやヒーター内蔵ドアミラー、ハンドルヒーターなどを含む寒冷地パッケージがオプション設定されます(グレードにより装備内容が異なる)。その他の装備やオプションなどは、前輪駆動モデルと同様のものが装備されます。
アバロンAWDも装備などは前輪駆動モデルと同様ですが、XLEとリミテッドAWDグレードではステアリングヒーターが標準装備されます。
発売は、カムリAWDが2020年の春ごろ、アバロンAWDは2020年秋ごろの予定とされています。
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