■発表直後に大人気となったトヨタ「C-HR」と「クラウン」
2019年1月から7月までの販売統計を見ると、日本で販売されたクルマの30%がトヨタ車でした。登録車(小型/普通車)に限ると、トヨタの比率は45%に高まります。
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いまは、新車として売られるクルマの37%が軽自動車なので、国内市場全体で捉えるか、登録車に限るかにより、トヨタ比率も大幅に変わります。それにしても、登録車の半数近くがトヨタ車になるとは、相当な人気ぶりです。
ただし、トヨタ車のすべてが好調に売れているわけではありません。車種によっては大幅に販売台数を下げています。それは、登場時に注目を集めた「C-HR」と、伝統的な主力商品「クラウン」です。
C-HRは、2016年12月に発売されました。発売から1か月後の2017年1月にトヨタは、「C-HRの1か月後の受注が4万8000台に達した」と発表しています。1か月の販売目標は6000台なので、目標台数の8倍に相当する受注を得ました。
2017年上半期(1月から6月)におけるC-HRの登録台数は7万9303台で、軽自動車を除いた登録車販売ランキングの順位は、トヨタ「プリウス」と日産「ノート」に次ぐ3位でした。2017年の暦年(1月から12月)も、プリウス、ノート、アクアに次ぐ4位にランクインしています。
ところが2018年の暦年は、C-HRの登録台数が大幅に下がり、2017年に比べて35%減少。登録車の販売ランキング順位は12位まで後退しています。
その後の販売台数を見ると、C-HRは、2019年上半期に3万2221台を販売したので、2017年上半期の約4割です。わずか2年ほどの間に、C-HRの売れ行きは半数以下に減少。2019年上半期の1か月平均は5370台なので、1か月の販売目標とされていた6000台を下まわり、売れ行きが急降下したことがわかります。
一方のクラウンは、2018年6月にフルモデルチェンジをし、現行モデルとなる15代目が登場しました。1か月の販売目標は4500台ですが、発売1か月後の受注台数は3万台と発表され、目標台数の7倍に相当しました。
2018年の後半は、月別登録台数の対前年比が300%前後(2017年同月の3倍前後)に達しています。
しかし2019年に入ると、早くも売れ行きが陰りを見せ始めます。300%前後だった対前年比が、200%前後に下がってきました。
そして発売から1年を経過した2019年6月は、2018年6月に比べて35%減っています。さらに7月は66%の大幅な減少で、前年のわずか34%しか登録されていません。
C-HRとクラウンに共通するのは、発売から1か月後には月販目標の7倍から8倍を受注しながら、その後は急速に登録台数が下がり、C-HRは1年後にはマイナス35%、クラウンは35%から66%も減ったことです。
このような販売推移を辿った背景には、複数の理由があります。
まず考えられるのは、発売から1か月後の膨大な受注台数が、一種の演出であるためです。C-HRの発売は2016年12月ですが、プロトタイプは、約1年前の2015年に開催された東京モーターショー2015などで披露されていました。
日本仕様は、2016年9月に発表されて受注を募り、11月に入るとメーカーへ発注できるようになりました。
つまり正式な発売はしていなくても、2016年9月以降は受注を溜めていたため、月販目標の8倍に相当する4万8000台を獲得できたのです。表向きは「発売後1か月」と表現していますが、正味1か月間でこれだけの受注を集めたわけではありません。
クラウンの状況も似ています。2017年に開催された東京モーターショー2017に、ほぼ市販車に近い形状の「クラウンコンセプト」が出品されました。そして2018年に入ると、4月下旬から予約受注を開始して、2018年6月の正式発表時点ではすでに約2万台の受注を獲得していたのです。
つまり発売後1か月の受注が3万台と発表されたうちの2万台は、発売時点ですでに達成されていたことになります。同様のことは他メーカーもおこなっており、いまでは発売日の解釈を変える必要があるでしょう。
トヨタ店のセールスマンは、次のようにコメントしています。
「発売日の意味は、一般的には販売を開始した日ですが、クルマの場合は違います。納車が可能になった日程と考えるのが良いでしょう」
■C-HRやクラウンを検討する人がほかのトヨタ車に移っている
ふたつ目の理由は、C-HRとクラウンの商品特性です。C-HRはモーターショーのコンセプトカーをそのまま市販するようなボディスタイルで、流行のSUVに属するため、発売時点では注目を集めました。
クラウンも同様に、歴代モデルは保守性の強いフルモデルチェンジを繰り返しましたが、現行モデルは路線を変えています。
外観は、サイドウインドウが3分割された「6ライト」のデザインで、リアウインドウを寝かせたサイドビューは、セダンというより5ドアハッチバック風に見えます。
グレード構成は、40年以上の伝統がある「ロイヤルサルーン」を廃止して、スポーティな「RS」を主力に据えました。従来はスポーティグレードの「アスリート」がありましたが、これも廃止しています。
C-HR、クラウンともにスポーツ指向を強めたので、好みに合うユーザーは購買意欲を刺激されます。「カッコイイ」「欲しい」となり、愛車の車検期間が残っていても乗り替えます。かつてのスポーツカーも、発売直後には売れ行きを一気に伸ばしたものでした。
その代わり、欲しいユーザーには短期間で行き渡るため、需要は長続きしません。先に述べた早期の受注開始もあり、発売後の短期間に集中して登録されるため、初期の伸びとその後の減少がますます激しくなりました。
C-HRとクラウンの売れ行きが伸び悩む理由に、ほかのトヨタ車が好調に売れているということもあります。
トヨタカローラ店のセールスマンは、次のように述べています。
「2019年4月に新型『RAV4』が発売されて、C-HRが影響を受けました。C-HRを検討したお客様が、後席や荷室の広さに不満を感じた場合、以前のトヨタ車では主に『ハリアー』が検討対象になりました。
ただし、ハリアーはC-HRに比べると価格が高く、雰囲気も豪華なので、C-HRを検討するユーザーにマッチしないことがあったのです。
ところがRAV4であれば、C-HRと雰囲気が似ていて、価格もハリアーほど高くありません。実際にC-HRからRAV4に購入対象を切り替えた方もいました。
また販売店に来る前の段階で、C-HRではなくRAV4を選んだお客様もたくさんいるでしょう」
クラウンを販売するトヨタ店では、このようにいいます。
「いまのクラウンにとって、一番の強敵は『アルファード』です。法人のお客様を含めて、アルファードを以前のクラウンのように使用するケースが増えました。
TVのニュースなどを見ると、政治家や企業の重役がVIPカーとしてアルファードを使っています。そこでクラウンからアルファードに乗り替えるお客様も増えました」
このほか「クラウンがRSを主力に据えて、メルセデス・ベンツ『Cクラス』などと比較されているかも知れません」という見方もあります。
以前のクラウンは「日本の高級車」を強く表現して、類似車種のない独立した存在でしたが、今はCクラスやBMW「3シリーズ」などの輸入車と同じ土俵に上がった印象があります。そうなると比較されやすく「クラウンよりもベンツ」という判断も成り立つでしょう。
そして売れ行きが下がるのは、ユーザーがその車種の商品力に満足していないからです。クラウンは従来のロイヤルサルーンに相当するような、落ち着いた雰囲気の上質グレードを用意する必要があります。
C-HRの登録台数も、最近は発売から5年以上を経過したヴェゼルを下まわります。ヴェゼルは1.5リッターターボなど新しいグレードを加えているので、C-HRにも魅力を高める工夫が求められます。
※ ※ ※
以前のトヨタは、好調に売れるライバル車を許さず、必ず対策を立てて販売面で上回る商品を投入してきたものです。
しかし最近は、このようなトヨタの厳しい姿勢が失われがちです。海外に重点を置くようになった結果かも知れませんが、トヨタが緩くなると、ほかのメーカーも緊張感を持ちにくくなります。
トヨタには意地を見せてほしいものです。C-HRとクラウンのテコ入れに期待しましょう。
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