カスタムベース車としても人気があった2代目オデッセイ
初代モデルが大ヒットとなった経緯もあり、キープコンセプトとした2代目は1999年12月に登場した。搭載エンジンは先代と同様、2.3L直列4気筒VTECと3L V型6気筒VTECの2種類を用意し、前者は4速AT、後者には新開発の5速ATを搭載。全モデルでFFと4WDをラインアップし、用途に応じた仕様から選択することができた。デザインは初代を引き継ぎ、低重心を基本に力強さと空力性能を追求。上質感と安定感を向上させていた。 インテリアではスペアタイヤを床下収納式とし、3列目シートもヘッドレストを取り外すことなく収納できるなど、快適性と使い勝手を向上。さらにフロントのストラットタワーバーやリヤのクロスメンバーの強化により、安心感のある走りも誇った。
トヨタも日産も「右へならえ」! 時代の流れを変えた「初代オデッセイ」の衝撃
2001年のマイナーチェンジでは、ローダウン化と17インチホイールを採用したアブソルートを追加ラインアップ。走行性能を向上させたスポーティなアブソルートは、カスタムベースでも大人気となり、3代目以降も継承された。 初代モデルと同様に、7人乗り(ベンチシート)と6人乗り(キャプテンシート)仕様を用意。2000年度の販売台数は12万台以上を記録するなど、1999年12月の発売から2003年5月の販売終了まで累計27万台という大人気モデルとなった。初出:ワゴニスト2021年10月号
ミニバンカスタムの礎を2代目オデッセイが築く
初代のイメージを引き継ぎ登場した2代目オデッセイ(RA6~9型)。このモデルの登場でカスタマイズはさらに盛り上がり、今のカスタマイズの基礎を作り上げた。
初代の人気を引き継いで、キープコンセプトで作られているが、それに合わせてカスタマイズ熱もどんどん盛り上がり、ヨーロピアン/アメリカン/VIP/アウトローを中心にカスタマイズ市場はどんどん膨らんでいった。 なかでもセダンのイメージを思わせるVIPと、アメリカンをさらにワルっぽくしたアウトロースタイルは、その迫力と量感から大人気に。モデル後期からはVIPやアウトローに変わってシンプル系、そしてラグジュアリー系にドレスアップの嗜好が移り変わっていった。 また、量感を絞って車高を極限まで落とすスタイルへと進化し、ディープリムや鬼キャンなどはこの時代から主流に。ほかにも斬新なカスタマイズが次々とデビューし、今のカスタマイズの礎はこの時代に築いたといっても過言ではない。
当時の3大カスタムスタイルをクローズアップ!
【VIPスタイル】大型バンパーでリムも深く!
前方に極限まで伸ばした量感あふれるスタイルが目を惹いたVIPメイク。フォグをセットするのが定番で、それがまた高級感を演出した。またオーバフェンダーやネガキャン(ネガティブキャンバー)などスタイリングはどんどん加速。オールペンのみならずエアロの延長や短縮、フォグ変更などのエアロ加工で個性化を図るユーザーも多かった。
【OUTLAWスタイル】アメリカンスタイルがワルに深化!
アメリカンスタイルを過激に進化させたアウトローフォルム。ビレットグリルや流線型のエアロ、オデッセイの原型を大きく変更するスタイリングなど、カスタマイズ熱はさらに高まった。VIPと融合したボリューム感たっぷりな迫力系エアロも登場し、一大ブームに。ファミリーカーをワルっぽい姿に変えられる醍醐味が爽快だった。
【SIMPLE&LUXURYスタイル】量感を絞って究極まで車高を低くが信条!
後期モデルあたりからどんどん勢力が広がってきたシンプルスタイル。エアロの量感を抑えることで、車高をより落とせるようになったのがポイントだ。これに派生して、メッキのホイールで高級感たっぷりに仕立てるラグジュアリースタイルも流行。シンプル系はセダンカスタマイズの思想、ラグジュアリーはアメリカからの流れだった。
当時大流行のVIP系スタイルはシンプルスタイルに進化
大型バンパーのVIP系が大流行していた流れから、バンパーの丈を詰めたシンプル系に徐々に移行。バンパーで低さを競うのでなくボディをドシンと落として低さを強調した。 ユーザーカーをクローズアップした人気企画「街のワゴニスト」でも、シンプル系やラグジュアリー系が大流行り。シャコタンを突きつめた数多くの車両が誌面を賑わせた。今見てもそのクオリティと完成度が高い!
2代目オデッセイの流行りワザを振り返る!
【バルカンライト】
日産シーマの純正ヘッドライトを分解して内部に移植するこの技。半球体の7つのレンズが目力アップに大きく貢献した。
【ダッシュマット】
ダッシュボードをレザーで覆いつくし、内装の雰囲気を高めるダッシュマット。ウッドパネルもこのころに大流行した。
【フォグ変更】
エアロを個性化するにおいて、フォグの変更は必須のワンオフメニューだった。ダブルフォグ、メルセデス・ベンツのフォグ移植など多彩に流行った。
【ウッドフロア】
2列のシートを取っ払ってリムジン化するのが大流行り。こうすることで広々室内で快適な空間が生まれる。自分で施工するユーザーも多かった。
【ヘッドレストモニター】
ヘッドレストの後側にモニターをインストールするのがこのころの定番。果てはピラーやインパネにも埋め込む。後ろからの眺めは壮観だ!
【フロントテーブル】
助手席の前に利便性を追究したフロントテーブルは、いまだに売れ続ける大ヒット作。実用性と見た目が両立した魅力的アイテムだ。
【間接照明】
内装のピラー上部に間接照明を仕込むのがこのころ流行っていた。夜間に天井がほんのり照らされ、雰囲気も最高だった。
【ディープリム&オーバーフェンダー】
スライドドアではなかったオデッセイ。そのためオーバーフェンダー化も自由自在で、セダンにも負けないディープリムを求める達人ユーザーもいたほど。
ミニバンカスタムのキーパーソンが当時を振り返る
ミニバンのドレスアップが爆発的に大流行するなかで、ブームを牽引していったD.A.D(ディーエーディー)。当時、ドレスアップシーンで何が起きていたのかを知る、時代の証人である桑山大介さんに2代目オデッセイのカスタマイズシーンを振り返っていただいた。
「当時は5ブランド(D.A.D/CROSS OVER PRESTIGE/BLACK MAFIA/GERAID GT/GERAID)をラインアップしていました。開発車両も2~3台用意し、内外装の製品開発を同時進行させるなど当社にとって主力車種でした。当時のマーケットはVIP中心でしたが、エアロが大きく走りにくいという声を聞き、開発したのがラグジュアリーブランドの「D.A.D」です。低車高で走れる新しい提案は画期的で、プロモーションにも力が入りました。またハイブランドが流行ったこの時代、その息吹を感じさせる内装パーツを開発し、長く楽しめるようにプロジェクトをスタートさせたことを覚えています」と桑山さん。 ミニバンのドレスアップが発展途上であった創生期にユーザーニーズにいち早く反応し、意匠の異なる5ブランドを展開するなど、カスタマイズの多様性を提案したその功績は偉大であった。
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