世代によって異なると思うが、若い世代であれば“2ドア”と聞くとクーペを思い浮かべるかもしれない。しかし、過去には2ドアセダンが主流の時代が続いていた。ではなぜ2ドアセダンが生まれ、そして消えていったのか、モータージャーナリストの片岡英明氏に聞いた。
SEDANの本来の意味は運転席と後席を仕切っていない箱型の乗用車のこと。しかし、現代におけるセダンは、エンジンルームと居住スペース、トランクルームの3つで構成される3ボックス型の乗用車を指すことがほとんどだ。さらにいえば、4ドアのクルマを思い浮かべる人も多いのではないか。
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ただ、1960年代より以前の日本で、軽自動車とコンパクトクラスのほとんどは2ドアセダンだった。その理由のひとつはボディサイズだ。スバル360に代表される軽乗用車は3mに満たない全長のためドアを4枚設定できなかった。
もうひとつの理由はコストだ。ドア枚数を増やせばヒンジやボディ補強のための部品点数が増え、車両価格も高くなってしまう。だから当時の4ドアモデルは2ドアモデルより高価で、高嶺の花だったのである。
人気のあったトヨタ パブリカや三菱 コルト600は2ドアのセダンだったし、マツダ ファミリアやダイハツ コンパーノベルリーナも2ドアの商用車(バン)ベースの2ドアセダンからスタートしたモデルだ。
タクシー需要の多かったミドルクラス(ブルーバードやコロナなど)より上位クラスであれば4ドアセダンも設定されていたものの、それでも売れ筋は2ドアモデルだった。
そして1966年に日産 サニーとトヨタ カローラが相次いで登場し、マイカー時代の幕開けとともに2ドアセダン一強の状況が変化しはじめた。この両車とも発売当初は2ドアだけの設定だったものの、その翌年に相次いで4ドアセダンを追加。ドアが多ければ乗り降りしやすいし、高級感もアピールできることから徐々にユーザーの人気を得て増えていくことに。
1970年代はコンパクトカーでも3BOXデザインが主流だったが、1980年代にはその役割を3ドアハッチバックに取って代わられてしまったわけだ。
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