旅好きが作った本格ツアラー
フルカウルのCBR400R、ネイキッドのCB400Fと共通のプラットフォームで’13年に登場したクロスオーバーモデル「400X」が、’19年型でフロントホイールを19インチ化するなどモデルチェンジを実施。クラス唯一のアドベンチャー、その走りはどう進化したか?
’19 ホンダ CB650R 試乗インプレッション【従順にしてエキサイティング。そのバランスが絶妙なバイク】〈動画あり〉
(◯)大らかな操安性に変化。未舗装路も怖くない!
フルカウルのCBR400R、ネイキッドのCB400Fと共通のプラットフォームで’13年に誕生したクロスオーバーモデル、それが400Xだ。’16年に外観を一新しつつスクリーンを大型化。翌’17年にはアンダーカウルを省略してサイレンサーを小型化するなど、徐々にアドベンチャーらしいスタイリングへと成長。そして、今回の’19年モデルでついに17インチだったフロントホイールをトレール車では一般的な19インチとした。
―― 【ホンダ 400X[2019]】主要諸元■全長2140 全幅825 全高1380 軸距1435 シート高800(各mm) 車重196kg ■水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ 399cc 46ps/9000rpm3.9kg-m/7500rpm 変速機6段リターン 燃料タンク容量17L ■ブレーキF=ディスクR=ディスク ■タイヤF=110/80R19 R=160/60R17 ●価格:81万1080円 ●色:黒/赤
―― 【クロスオーバー感をさらに強める】’13年にCBR400RやCB400Fとともにデビュー。’16年にフルモデルチェンジし、’17年にマフラーなどを変更。’18年にABSが標準装備に。なお、’19年型はマイナーチェンジという位置付けだ。写真は従来型の400X。
―― 【フロント17→19インチ、ディスクは小径に】フロントホイールは19インチに大径化され、リヤホイールも同デザインに。フロントのブレーキディスクはφ320→310mmに小径化され、さらにディスクハブ付きに。タイヤの速度レンジはWからHへ。
合わせてリヤのホイールトラベルを10mm増やしこともあり、新型のハンドリングは先代のオンロードモデル然としたものから、大らかで安定性を強調したアドベンチャーらしい雰囲気へと一変した。特に高速巡航時の乗り心地は秀逸で、ギャップを通過した後にフワッと挙動が落ち着く様は、リッタークラスのアドベンチャーに引けを取らないほどだ。
―― ハンドルはテーパー形状となり、ライザーも一新。メーターはギヤ段数やシフトアップインジケーター、水温計などの機能を追加した新型に。
その一方で、峠道でのハンドリングは400ccらしく軽快で、倒し込みの際にフロント19インチならではの手応えはあるものの、舵角が付いてからはスイッと気持ち良く向きを変える。標準装着タイヤの速度レンジと指定空気圧が下がったことも影響しているのか、フラットダートでの扱いやすさも増しており、まさに外観から受けるイメージどおりの走りを手に入れたと言えるだろう。
エンジンも非常にいい。180度クランク採用の399cc水冷並列2気筒はほぼ全てに改良の手が加えられており、3000~7000rpmでのトルクを3.4%向上させることに成功したという。数値上の違いはわずかだが、低~中回転域ではより粘り強く、レスポンスはより緻密になり、ドッグ形状の見直しでシフトフィーリングも良くなった。特筆すべきはクラッチレバーの操作力で、アシストスリッパークラッチの採用により45%も軽減された。これは多くの人に歓迎されるだろう。
―― 399ccの水冷パラツインは、バルタイをはじめインジェクターや吸排気系、FIセッティング、ミッションなど、ほぼ全てを見直す(左)。シュラウドを大型化するなど刷新されたフロントカウル。LEDヘッドライトは’16年から(右)。
防風効果のアップやABS制御の緻密化(エマージェンシーストップシグナルも追加)など、熟成という言葉では収まらないほどに進化した400X。間違いなく400ccクラスにおける最上位のツアラーだ。
―― 【スクリーンを約20mm長くし防風効果向上】よりアドベンチャーらしい造型を手に入れた新型400X。φ35mmの鋼管メインフレームや角断面のスイングアームなどは従来から変わらず、リヤのプロリンクサスはホイールトラベルを10mm長く設定。
―― シート高は5mmアップしたが、前側角部の形状をスリム化して足着き性を従来と同等に(左)。フロントフォークはφ41mm正立式。プリロード調整は’16年型から採用(右)。
―― リッタークラスのアドベンチャーよりもスリムでコンパクト。足着き性はご覧のとおり良好だ。優れた防風効果も新型400Xの美点だ(身長175cm 体重62kg)。
(△)純正アクセサリーに変更あり。ケースの装着を検討している方は要注意
以前から純正アクセサリーでパニアケースとトップケースが用意されているのだが、全く同じ商品が’19年型では同時装着不可に。フロント19インチ化によって操安性が変化したことによる対策だろうか? ケースを検討していた方はご注意あれ
(結論)こんな人におすすめ:不快要素を排除。旅好きが作った本格ツアラーだ
風切り音の少なさや熱風の当たりにくさなど、エアマネジメントは完璧。エンジンはフレキシブルかつ開けるほどに快感を伴い、ブレーキは未舗装路でもコントローラブル。これでNC750Xも19インチ化されればと個人的に強く願う。
●まとめ: 大屋雄一 ●写真: 山内潤也
※取材協力:本田技研工業
※ヤングマシン2019年10月号掲載記事をベースに再構成
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