ルノーの小型MPV「カングー」に、400台限定のディーゼル・モデルが設定された。早速試乗した小川フミオの印象は?
素敵な“道具感”
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2021年7月8日から販売が始まるカングー・リミテッド・ディーゼルMTは、いわゆる“ガイシャ感”が強いモデルだった。日本のメーカーではなかなか作れない実用車であり、かつ、乗るとよく出来ている。正規輸入モデルとしては日本初導入のクリーンディーゼルは力があるし、乗り心地もよく、意外なほど快適性も高い。
フランス生まれのカングーは、これまでにも日本に多くのファンを生んできた。多くの、というと、ドイツ車にはかなわないものの、少なくともルノー車のラインナップではベストセラーだ。
1810mmもある全高と2700mmのホイールベースを活かした広い室内。それに、660リッターという容量を持つ荷室の組合せは、すぐれた道具感に満ちあふれている。
おとなが3人座っていられる後席を含めて、使ってなんぼの機能主義的設計が、日本車にはないエキゾチックさ、と、とらえることも出来るし、実際に使い勝手もよく、ファンには高く評価されてきたのもよくわかる。
今回発売されたのは、85kW(116ps)の最高出力と、260Nmの最大トルクを発揮する1460cc直列4気筒ディーゼルターボ・エンジン搭載モデルだ。メーカー発表の燃費はリッターあたり19km(WLTCモード)と、このクルマの大きさを考えても、すぐれている。
ちょっと異色なのは、変速機だ。今回は6段マニュアルのみの設定である。ハンドル位置は右であるものの、このディーゼルと前輪駆動の組合せには、本国ではマニュアル変速機(MT)しかない、というのが理由なのだ。ところが、これがなかなかよい。
6MT+ディーゼル=最高!
シフトフィールは剛性感がある。ゲートを間違えることなく、きちんとシフト出来るのが、この6段MTについて、まず褒めたい点だ。かつ、クラッチペダルの踏力はやや重めでも、つながりかたが自然で、2000rpmから最大トルクを発揮する設定のディーゼルエンジンによく合っている。このところMTとごぶさた続きというひとでも、すぐ慣れるはずだ。
欧州の実用車のMTは、あちらでの使い方からして2速と3速のギア比を離し、信号も少ないので、2速までが発進と街なかでの加速用、そのうえのギアは巡航用、という設定が少なくない。これが日本の道路に合わなくて、イライラするケースが多々あった。しかし、カングーの場合、1速からトップギアの6速までシフトアップしていくときのつながりはスムーズなのだ。
6段MTのギア比は高め。4速でオーバードライブに入る。それでも日本の高速道路で6速に入れたまま、80km/hで走るのにもかったるさはない。意外なほど”ねばる”エンジンで、回転計のなかに「ECO」と書かれた2000rpmを維持するように走っていれば、とっさの急加速でもダッシュ力がちゃんと得られるのだ。
個人的には、ディーゼルエンジンと6段MTという今回のドライブトレインは好みだ。中途半端なSUVを買うぐらいなら、282万円のこのカングー・ディーゼルにしたほうが満足度は高いかもしれないのでは? と、思うぐらいである。
ルノー車のよさは、ほかのフランス車より格段に、ステアリングの正確さを感じられるところにある。
カングーも例外でなく、中立付近でステアリング・ホイールを操舵したさいの車体の応答性は高く、それが操縦にダイレクト感をもたらしてくれるため、鈍いクルマよりはるかに疲労度すくなくドライブが続けられるのだ。
限定400台は売り切れ必至
さすがにカーナビゲーションは小さな社外品の後付けになるし、Apple CarPlayもAndroid Autoも使えない(USB端子を使ってスマートフォンの音源を聴けるし、USBのなかにいれた音源を楽しむことはできる)。
それでも、標準装備である無名のカーオーディオは高音から低音までのダイナミックな領域はともかく、中音の再生にすぐれる。昨今のトレンドともいえる女性シンガーソングライターを聴くのにもよく合う。
装備は、ルノーでいえば「ルーテシア」や「キャプチャー」にとてもかなわないものの、逆に上がりが見えない“ハイテクすごろく”に付き合わされる心配がないのは長所ととらえることも出来るだろう。マイナーチェンジごとに装備レベルが上がるのを見てやきもきする“テクノストレス”とは無縁だ。
ただし、登場が噂されている次期カングーは、ピュアEVで登場したメルセデス・ベンツ「EQT」とプラットフォームを共用ともいうぐらいで、インフォテインメントや運転支援システムのさらなる搭載があっても不思議ではない。
これまでカングーは、かつての「4L」(1961年から1992年)のように、商用がメインで、あとは南欧の田舎などで使われてきたという。
つまり日本での扱われかたは想定外だったのだ。日本で、欧州とは異なる成功をおさめたのをみてきたルノー本社では、次世代はあたらしいコンセプトへの脱皮を考えているともいわれている。
このモデル専用の装備としては「ブラックフロントバンパー」「ブラックリアバンパー」「ブラックドアミラー」「ボディ同色フロントグリルブレード(ソリッドカラーの車体色の場合のみ)」、「ブラックのホイールセンターキャップとホイールボルトカバー」「LIMITEDの専用バッジ」「LEDデイタイムラニングライト」「バックソナー」がある。ボディ色は今回の試乗車の「ブルーエトワールメタリック」をはじめ全6色が用意される。
大変魅力あるディーゼルモデルであるものの、わずか400台しか日本へ導入されない。しかも、新型の登場も控えている。もしかすると、すぐ売り切れてしまうかもしれないので気になる人は早めにディーラーへ足を運ぶと良い。
文・小川フミオ 写真・田村翔
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