積算1万9511km 意外と積めるM5
text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
身長近くある高さの雑誌の平置きを想像して欲しい。その9つぶんがM5に詰める雑誌の量。トランクの他にリアシートと助手席。シートの足元にまで詰め込んだ場合。
恐らく500kgは超えていたと思う。重さでサスペンションは縮んでいたけれど、調子よく走れた。
積算1万9915km 後輪だけ減りが早いタイヤ
タイヤの情報通からのありがたい話。M5のタイヤのバルブは少しかっこいい。だが数年立つと腐食してホイールにも悪影響を及ぼすらしい。そうなると交換も大変だとか。
リアタイヤだけ新しいピレリPゼロを準備することになった。基本は4輪駆動でも後輪駆動モードが付いているから、減りが早いのだ。
積算2万4111km スーパーカーの速さと高級サルーンの快適性
スーパーカーに乗ったらどれだけ速いのか。高級サルーンはどれだけ快適なのか。この質問に同時に答えることができるのが、BMW M5に乗った時の感想だ。
これまでの長期テストで、約1万6000kmをともにしてきた。600psの最高出力を持つBMW M5だが、スーパーカーらしくはないと考えるかもしれない。
M5は目立った整備も必要とせず、何か部品が外れることはなかった。スピードを抑える道路の起伏でバンパーをこすることもなかったし、赤信号でレースを挑まれることもなかった。向こう見ずなスピードで走行できるクルマだが、傷つくような陰口をされることもなかった。
10万ポンド(1400万円)ほどする長期テスト車のM5は、0-96km/h加速3.3秒という俊足の持ち主。積極的に走り込んだ割に悪くない、M5らしい結果だったと思う。
ムルシエラゴを超えるラップタイム
今回のBMW M5は、記憶の中で最も多くの写真やビデオ撮影に用いられた。英国の西部でM5を受け取り、そのままアングルシー島でサーキット走行を短くこなし、すぐに続いてライバルモデルとのグループテストを実施した。その結果はM5の勝利。
さらに英国の自動車研究開発センター、MIRAに持ち込んでロードテストを実施した。ここでは0-96km/h加速時間を計測し、161km/hへは7.5秒で到達。0-400mは11.5秒で走った。0-1000mに要する時間も20.8秒でしかなかった。
ハンドリングが試されるサーキットでは、ウェットコンディションながら1分14.5秒で周回。このタイムはランボルギーニ・ムルシエラゴが、ドライコンディションで走った時間よりも速いもの。スーパーカー並みに速いのだ。
600ps級を含む、何台かのライバルとの直線加速テストも繰り広げた。アルピナB5との比較テストも思い出深い。テスターの中には、よりしなやかな雰囲気を持つアルピナB5の方が好みだという人も数名いた。実際、多くの場面でわたしもそう感じることがあったことは事実。
エグゼクティブ・サルーンとしてBMW 5シリーズの完成度は高く、AUTOCARの姉妹誌では、選ぶべきラグジュアリー・カーだと評価されている。でもわたしは、M5は単にラグジュアリーなクルマだとは思わない。
価格は間違いなくラグジュアリーだ。基本価格は8万8000ポンド(1232万円)で、1万4000ポンド(196万円)ぶんものオプションが付いている。しかし乗り心地は高級感というより、操縦性に軸が振ってある。上質で静かで快適だから、素晴らしいエグゼクティブカーには違いないが、高級とはいい難い。
マクラーレンと同じリアタイヤのサイズ
7495ポンド(104万円)のカーボンセラミック・ブレーキは、砂利が挟まってしまったような悲鳴を聞かないために、時々準備運動を要する。思いっきりブレーキを強く効かせる必要がある。
後輪駆動モードで楽しみすぎると、当然ながら76.3kg-mという太いトルクでリアタイヤを消耗させてしまう。交換には400ポンド(5万6000円)ほどが必要になることは、いい勉強代だった。
BMWはピレリと協力して、M5の専用タイヤを履かせている。残り溝がなくなって、馴染みのタイヤショップに電話をしたところ、M5に合うPゼロもすぐに手配できると話してくれた。以前、キア・スティンガー用のタイヤを1時間で調達できたこともあり、疑わなかった。
しかし実際はちょっと違っていた。マクラーレンとBMW M5は同じサイズのタイヤを履いているが、M5のものにはサイドウォールに星のマークが記してある。結局ピレリから直接注文する必要があった。
タイヤの入荷までに数日を要した。フロントタイヤは2万4000kmを走ってもまだまだ使える状態なのだから、賢い運転は重要ということでもある。
他に目立った問題はなし。燃料ポンプのソフトウェア更新のリコールに対応くらいだ。実際に、その不具合が出たM5を私は知っている。ディーラーはテスト中にクルマを引き戻してソフトウエアを書き換えた。ハード的には変更はない。もし初期のF90型M5をお持ちで、ディーラーでの対応を受けていないなら、確認した方が良いだろう。
M5と同じことをこなせるクルマは少ない
長距離ドライブも快適なM5を止めるのは、給油の時くらい。燃費は平均で8.1km/Lで、560km位は無給油で走行できる。穏やかに高速道路を走らせれば燃費は9.9km/Lにまで伸び、600kmほどに距離は伸ばせる。
4.4LのV8ツインターボ・エンジンは、特にパワーを求めずとも、本物のエグゼクティブカーのように上質。M5と同じことをこなせるクルマは、ほかに殆ど見当たらない。
セカンド・オピニオン
BMW M5に別れを告げるのは残念。なんと印象的で多彩なクルマだったのだろう。高速巡航は快適で、郊外のチャレンジングな道では最高のマシンになった。
低速域での乗り心地は良くなかったが、大部分はとても快適だった。濡れた路面でも、0-96km/h加速は3.3秒を叩き出した。(サイモン・デイビス)
テストデータ
気に入っているトコロ
実用性:530Lの容量の荷室は、後席の背もたれを分割して折り畳めば、さらに広がる。
ブレーキ:カーボンセラミックブレーキは、ディスクもパッドも減らない。しかも制動力は素晴らしい。
ドライビングポジション:調整幅の大きいシートには、ポジションを記憶してくれる機能もあり便利。
気に入らないトコロ
巨大なキー:とても知的なキーで、ガソリンの残量などを教えてくれるが、乗ればわかることでもある。
大きな全幅:5シリーズの全幅はかなり広い。パーキングカメラにはドアの開口部分も教えてくれるから、便利ではある。
走行距離
テスト開始時積算距離:8326km
テスト終了時積算距離:2万4111km
価格
新車価格:8万7940ポンド(1231万円)
現行価格:8万9705ポンド(1255万円)
テスト車の価格:10万1900ポンド(1426万円)
ディーラー評価額:9万1000ポンド(1274万円)
個人評価額:8万9000ポンド(1246万円)
市場流通価格:8万7000ポンド(1218万円)
オプション装備
プレミアム・パッケージ:1995ポンド(29万円)
コンフォート・パッケージ:1195ポンド(17万円)
カーボンセラミック・ブレーキ:7495ポンド(109万円)
Mスポーツ・エグゾースト:1100ポンド(16万円)
カーボンファイバー・エンジンカバー:1025ポンド(15万円)
Mシートベルト:260ポンド(3万8000円)
カーボンファイバー/アルミトリム:495ポンド(7万2000円)
アップル・カープレイ:235ポンド(3万4000円)
オンライン・エンターテインメント:160ポンド(2万3000円)
燃費&航続距離
カタログ燃費:9.2km/L
タンク容量:68L
平均燃費:8.1km/L
最高燃費:10.5km/L
最低燃費:2.6km/L
航続可能距離:555km
主要諸元
0-100km/h加速:3.3秒
最高速度:305km/h
エンジン:V型8気筒4395ccツイン・ターボチャージャー
最高出力:600ps/5600-6700rpm
最大トルク:76.3kg-m/1800-5600rpm
トランスミッション:8速オートマティック
トランク容量:530L
ホイールサイズ:20inch 9.5J(フロント)/20inch 10.5J(リア)
タイヤ:275/35 ZR20(フロント)/285/35 ZR20(リア)
乾燥重量:1930kg
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:1000ポンド(14万円/1カ月)
CO2 排出量:241g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:リアタイヤ 450ポンド(6万3000円)
燃料コスト:1501ポンド(21万円)
燃料含めたランニングコスト:1951ポンド(27万3000円)
1マイル当りコスト:20ペンス(28円)
減価償却費:1万2900ポンド(180万円)
減価償却含めた1マイル当りコスト:151ペンス(214円)
不具合:ECUアップデート
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