プラグイン・ハイブリッドを新設定
刷新されたデザインだけでなく、2代目トヨタC-HRの開発チームは、動的特性の改善にも力を注いだという。基礎骨格をなすのは、カローラなどでおなじみのTNGA-Cプラットフォーム。最新モデルへ登用するに当たり、細かなアップデートが施されている。
【画像】ドラマチックなスタイリング 最新トヨタC-HR 同クラスのクロスオーバーと比較 全123枚
サスペンションの構成は、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式と従来どおり。それでも設計は見直され、中型サルーンのカムリや、SUVのRAV4に通じる技術が採用されたとか。
パワートレインの選択肢も広げられた。初代と同じく、欧州仕様には1.8Lエンジンと2.0Lエンジンのトヨタ・ハイブリッド・システムが用意されるが、新しく2.0L版にはプラグイン・ハイブリッドも選べるようになった。
システムとしては第5世代のものがベースで、自然吸気4気筒エンジンの最高出力は152ps。そこに163psの駆動用モーターが組み合わされ、システム総合で223psを叶えている。駆動用バッテリーの容量は、13.8kWhとなる。
他メーカーのプラグイン・ハイブリッドと同じく、EVモードを指定することも可能。内燃エンジンを回さず、駆動用バッテリーの充電量だけで走れる距離は、最長66kmがうたわれる。試乗時には、約48kmへ届いた。
カーナビのマップデータを利用し、ゼロエミッション・ゾーンなどに備え、駆動用バッテリーの充電量を自動的に温存させることもできる。回生ブレーキの強さも調整でき、ブレーキペダルを踏まずに済む、ワンペダルドライブへ近いBモードも好印象だった。
結果として表れている動的特性の改善
今回の試乗では、都市部から郊外まで様々なルートを運転させていただいたが、トヨタが2代目C-HRで目指した動的特性の改善は結果として表れている。路面が荒れたルートでは落ち着きを乱さず、高速道路では安定性が高い。
コンパクト・クロスオーバーだから、ホットハッチのようにダイナミックな印象までは与えない。しかし、運転する楽しさが伴わないわけではない。
プラグイン・ハイブリッドのパワートレインはしっかり調律されており、エンジンと駆動用モーターとの引き継ぎはシームレス。EVモード時の加速は鋭く、ハイブリッド・モード時のレスポンスも良好。
中間加速の勢いにも、不満は出ないだろう。システム総合での最大トルクは、40.4kg-mもある。
システムが放つサウンドは、そんな洗練された体験と少々一致しない。一昔前のハイブリッドのように、耳障りなエンジン音が不意に高まることはないものの、稀に音量が増す時がある。活発に運転しても、聴覚的に気持ちを刺激されることはなさそうだ。
プラグイン・ハイブリッドのC-HRでは、ブレーキに2ポットキャリパーが採用される。また、ZF社製の周波数感応型ダンパーは、路面からの入力に応じて減衰力を随時変化。細かく鋭い入力は滑らかにいなしつつ、カーブでのボディロールを巧みに抑えていた。
従来の弱点を丁寧に改善 更なる成功を掴むか
C-HRでは、プラグイン・ハイブリッドと通常のハイブリッドとの動力性能の差は限定的。0-100km/h加速を7.3秒でこなし、0.8秒縮めるに過ぎない。英国では一般的な、会社の貸与車両として乗る場合は、現物給付税率が下がる前者の方が有利といえるが。
英国価格は、まだ発表されていない。ハイブリッドで3万5000ポンド(約633万円)前後、プラグイン・ハイブリッドは4万ポンド(約724万円)前後が予想されている。
ベーシックなハイブリッド版の試乗はこれからで、費用対効果も明らかではない。それでも、欧州市場に軸足を置いた2代目C-HRの仕上がりは、間違いなく良さそうだ。従来の弱点を丁寧に改善することで、更なる成功を掴もうとしているように感じた。
トヨタC-HR プラグイン・ハイブリッド(欧州仕様)のスペック
英国価格:3万8000ポンド(約687万円)
全長:4360mm
全幅:1830mm
全高:1570mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:7.3秒
燃費:92.4-104.1km/L
CO2排出量:19-20g/km
車両重量:−kg
パワートレイン:直列4気筒1987cc自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:13.8kWh
最高出力:223ps(システム総合)
最大トルク:40.4kg-m(システム総合)
ギアボックス:e-CVT/前輪駆動
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