ボルボとしては数10年ぶりの後輪駆動
ボルボXC40は間もなくモデルチェンジを受けるが、2023年の英国では、同社トップ2の販売数を稼ぎ出した。これを超える人気者は、XC60だ。
【画像】数10年ぶりの「後輪駆動」 ボルボXC40 リチャージ 増殖中 サイズが近い電動SUV 全135枚
ひと回り小さくお手頃なEX30も登場したとはいえ、近年の市場において、ブランドファンを構築した立役者といえば、XC40。コンパクトSUVが入り乱れる中で、発売のタイミングも絶好だった。
現代の成功モデルらしく、XC40はこれまでに多くのアップデートを受けている。当初は内燃エンジンのみの設定だったが、2019年にプラグイン・ハイブリッドが登場。2020年には、バッテリーEV仕様も投入された。
その後ラインナップが整理され、英国ではディーゼルエンジンが廃止に。2023年には、プラグイン・ハイブリッドも落とされた。
現在のグレートブリテン島で選べるXC40は、マイルド・ハイブリッドのガソリンエンジンと、バッテリーEVの「リチャージ」という2種類のみ。今回は、その後者へ試乗してみよう。
スタイリングは、フォーマルで落ち着いたXC60やXC90と比べると、斬新で若々しい。サイド面はフラットで、印象的でありつつ親しみやすい。
XC40 リチャージの場合、2023年にパワートレインの刷新が図られ、シングルモーターでは強力な永久磁石同期式を獲得。それまでフロント側に載っていた配置も、リア側へ変更され、ボルボとしては数10年ぶりの後輪駆動となった。
四輪駆動のリチャージ・ツインでは、非同期モーターをフロントに追加。駆動用バッテリーは、最大82kWhまで設定される。プラットフォームは、同社のCMAだ。
7年が過ぎても魅力的なインテリア
今回の試乗車は、シングルモーターのXC40 リチャージ・アルティメット。駆動用バッテリーは、66kWhのニッケル・マンガン・コバルト・タイプ。サスペンションはコイルスプリングで、フロントがマクファーソンストラット、リアはマルチリンク式だ。
ちなみに、内燃エンジン版には2.0L 4気筒ターボが載り、XC40 B3では163ps、B4では196psがうたわれる。基本的に、これは2017年から大きな変更はない。
登場から7年が過ぎるが、車内は今でも魅力的。肌触りの良い素材が多用され、硬質なプラスティック製部品も、風合いには気が配られている。ウールが混ぜられたシート・ファブリックのほか、ドアハンドルや送風口など、ディティールも好印象だ。
ダッシュボードはシンプル。バッテリーEVなだけに、エンジンスタートボタンはなく、キーを持って乗車し、ドライブを選べばシステムオン。ハンドブレーキは、自動で制御される。
タッチモニターが備わる一方、オーディオのボリュームやエアコンには実際に押せるハードスイッチが残る。それ以外の殆どの車載機能は、グーグルと共同開発された、インフォテインメント・システムを介する。
ホーム画面は見やすく、ショートカット・アイコンへ触れれば、運転支援システムの切り替えもスムーズ。音声操作システムが強みといえ、カーナビの目的地設定や、目的地の天気確認などへ対応する。
小さな見た目でも乗員空間は驚くほど広い
フロントシートは快適。角度の調整域は広く、長距離でも身体が痛くなることはなかった。見た目は小さくても、乗員空間は驚くほど広い。
リア側も、問題なく大人が長時間過ごせる。USB-Cポートが2つ備わり、試乗車にはヒーターも装備されていた。アームレストにはカップホルダーが仕込まれ、ドア側には小物入れもある。チャイルドシート用の、ISOFIXポイントも左右へ備わる。
荷室容量は452Lで、クラス最大とはいえないものの、形状は使いやすそうだ。床面は高さを調整でき、その下の容量を増やすこともできる。
充電用ケーブルは、フロント側のボンネット内にしまえる。惜しいのが、キーフォブにボンネットの解錠ボタンがないこと。毎回、運転席下部のボタンを押す必要がある。
さて、ボルボの内燃エンジンが高い評価を得たことは稀といえるが、電動パワートレインは違うようだ。リアアクスルを駆動するモーターは、238psと42.7kg-mを発揮し、滑りやすい路面でも力強く確実にボディを進める。
2023年のアップデートで、シングルモーター版の動力性能を高めたとボルボは主張するが、その結果は実際に体感できる。青信号での発進も、高速道路の追い越し車線でも、力不足を感じることはない。
アクセルペダルの角度へ漸進的に反応しつつ、トルクの発生は滑らかで、リラックスして扱える。しかも、走行中は静か。歩行者へ接近を知らせるため、人工のエンジン音が車外で再生されるが、車内では聞こえない。
安心感が高く扱いやすいクロスオーバー
回生ブレーキは、デフォルトの効きか、ワンペダルドライブ可能な強さを選べる。オートマティック・モードを選ぶと、交差点への接近時などに減速感が増す一方、それ以外のアクセルオフではスルスルと惰性で走る。
ステアリングホイール裏のパドルで強さを調整する、といったシステムはない。それでも動作は滑らかで、ブレーキペダルを踏んだ時の摩擦ブレーキとの協調もシームレス。ペダルの位置が中央寄りで、やや右足で踏みにくいようではあるが。
操縦性は、洗練された印象。66kWhの駆動用バッテリーを積んだ試乗車は、低速域での乗り心地が特に快適だった。速度抑制用のスピードバンプをしなやかにいなしつつ、カーブで不安定になるようなこともない。
郊外へ出れば、しっかりした姿勢制御を活かし、シャシーの能力を引き出せる。試乗車にはマッド&スノー・タイヤが履かされていたが、アスファルト上ではグリップに不足はなかった。
後輪駆動だとしても、ボルボらしく、コーナリングバランスは安定志向。ステアリングホイールの反応は正確で、重み付けも一定ながら、感触は殆ど伝わってこない。
技術面を共有するポールスター2のように、シャープな一体感が伴うわけではない。運転を楽しめるバッテリーEVではないにしろ、安心感が高く扱いやすいクロスオーバーだとはいえる。
複数の強みで充分な競争力を保持
XC40 リチャージの英国価格は、約4万5000ポンド(約837万円)から。ツインモーターを選ぶと、約5万5000ポンド(約1023万円)へ上昇する。どちらも、コストパフォーマンスに秀でるとはいえないだろう。
航続距離は、今回の冬場の試乗で290kmから320kmの間。期待したほど伸びなかった。急速充電能力は、DCで130kWまでだ。
2017年の登場以来、複数のアップデートを経て、複雑な進化を遂げてきたXC40。突出したデザインセンスと、ライバル以上の実用性、プレミアムなインテリアなどが相乗し、充分な競争力を2024年も保持できている。
2023年にリチャージへ施されたパワートレインの刷新は、フルモデルチェンジに近い進化だといっていい。今後さらに、自動車業界の変化のスピードは加速する可能性がある。だが本当のモデルチェンジまで、XC40の勢いは保てそうだ。
◯:時間の経過を感じさせない洗練されたデザイン 高級感のあるインテリア ボルボらしいリラックスした走り
△:後輪駆動ならではの操縦性が欲しい ライバルと比べてお高めの価格
ボルボXC40 リチャージ・アルティメット(英国仕様)のスペック
英国価格:5万6550ポンド(約1051万円)
全長:4440mm
全幅:1863mm
全高:1652mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:7.3秒
航続距離:434-474km
電費:5.4-5.9km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1959kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:66.0kWh(実容量)
急速充電能力:130kW(DC)
最高出力:238ps
最大トルク:42.7kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)
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ダメだって分かっててFFを発売しちゃうのって、どうなのうお?