鈴鹿テストでKCMGの18号車をシェアする関口雄飛と福住仁嶺。SFを代表する実力者ふたりは競わされているのか？「彼らは“意識”はしている」

　鈴鹿サーキットで行なわれているオフシーズン恒例のスーパーフォーミュラ合同／ルーキーテスト。ホンダ陣営からトヨタ陣営への移籍が噂されていた福住仁嶺は、今回のテストでトヨタ陣営のKids com Team KCMGから参加し、18号車をドライブしているが、この18号車は関口雄飛とシェアする形になっている。

　トヨタ陣営のその他のチームにおいては、ルーキー限定枠の3日目だけ別のドライバーを走らせるというケースはあれど、レギュラードライバー枠の初日、2日目にそれぞれ別のドライバーを走らせるというのは、KCMGの18号車だけ。そのため、KCMGの18号車のドライバーはまだ決定しておらず、関口と福住を天秤にかけているのではないかという噂がパドックでも持ち上がっている。実際、関口も福住も積極的にタイムを出しに行くシーンが多く、自身をアピールする意気込みを感じさせた。

　これについてKCMGのチーム代表である土居隆二氏は、正式な体制発表前ということもあり多くを語ることはなかったが、ふたりのドライバーは「見られる」立場にあるという意識はあるだろうと言及した。

　今回のテストは、福住と関口のオーディション的意味合いがあるのかと尋ねると、土居代表は次のように語った。

「彼らは2日間のプログラムを1日に詰めないといけないので、赤旗などでアタックが台無しにならないように、早め早めのアタックになると思います。（どんどんタイムを）出しにいくというよりは、普通のプロセスで進めていますし、何も特別なことはしていません」

「福住選手は初めてのトヨタエンジンということで、ホンダエンジンとの違いなど、色々と慣れることが必要でしたが、最初から良い順位にいますし、極めて落ち着いて良いコメントをしてくれていて、クルマ（の違い）も感じてくれています。関口選手も午前中から攻めていましたが、（マシンとセットアップが）乗りやすいということもあったと思います」

「当然、意識はしています。たくさんの人に見られていると。だからこそ、悔いのないように走ろうと思っているところは絶対にあると思いますね」

　関口と福住は、共にスーパーフォーミュラで実績を残したドライバーでありながら、今季は共に苦戦した。2021年のランキング2位でもある福住は昨年にThreeBondに加入して以降は苦しみ、今季もランキング16位。SF通算7勝を誇る関口に至っては無得点に終わった。しかし今回ふたりは18号車に乗って、自分が今季乗ったマシンとは違ったフィーリングを感じたという。

「まずはこのテストの機会をもらえたことに感謝です。今年1年全然結果が出なかったですが、それが本来の自分じゃないということを示せたので、すごく良い日になりました」

　そう語るのは、初日の走行を担当した関口。インタビュー中も、いつも以上に笑顔が多いように見受けられた。

「（今季乗ったIMPULのマシンとはフィーリングが）全然違います。セッティングの感度も違いましたね」

　初のトヨタエンジン車ということで、様々なアジャストにも苦労したと語る福住は、チームメイトの小林可夢偉にタイムが届かず2番手でテスト2日目を終えたことについて悔しいと語った。

「今まで乗ってきたのとは全然違うし、その特性を掴む上でも午前中はちょっと時間がかかりました。エンジンの感覚も違うし、何もかも新しいなという感じです。色々経験することもできたので、今後の自分のレースキャリアにおいて経験を活かせればと思います」

「来年のことはまだまだわからないですが、最終的にはまずまずのタイムを出すことができました。ただ、もう少しドライビングの部分が良ければトップタイムが出せたと思うので、そこは悔しい1日でした」