日産の新型軽自動車「ルークス」が2020年3月19日より発売開始となり、納期がすでに3カ月待ちとなるなど、早くもその人気ぶりを伝える情報が入ってきた。
しかし、ルークスが属している「軽スーパーハイトワゴン」には王者「N-BOX」、そのほかにも「タント」「スペーシア」という強力なライバルが顔をそろえる。
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日産期待の新型車として登場した新型ルークスは、独走を続けるN-BOXをとらえることができるのか? 最新の納期情報と、日産のみならずライバルメーカーの販売現場も取材してわかった勢力予想図を、流通ジャーナリストの遠藤徹氏がお伝えする。
文/遠藤徹
写真/編集部、DAIHATSU、HONDA
【画像ギャラリー】N-BOXから軽自動車の販売台数首位奪還に燃える「新型ルークス」を細部までチェック!!
■好調な滑り出しを見せた新型ルークス
日産が2020年2月25日に発表、3月19日に発売した軽スーパーハイトワゴンの「新型ルークス」が好調な滑り出しを見せている。
月販目標を1万台に設定したのに対して、4月12日現在の納期は約3カ月待ちの6月末以降となっている。推定受注累計台数は約3万台で、今後さらに勢いがつき大幅に上乗せされる傾向にある。
車名を変更した「新型ルークス」(写真はハイウェイスター)。フルモデルチェンジ前から日産のラインナップのなかでは人気車だったが、新型になってその勢いを増した。NA、ターボともにマイルドハイブリッドの「S-HYBRID」を搭載している
3月の届出台数は2週間弱で7633台だった。1カ月換算だと1万7000台以上に匹敵する。同月のライバル他車の実績はホンダ「N-BOX」が2万2078台、ダイハツ「タント」1万7370台、スズキ「スペーシア」1万6077台となっているので、今後の新型ルークスの追い上げ次第では、3強の争いに割って入る可能性は十分にある。
現行モデルの発表年月はN-BOXが2017年8月31日、タントが2019年7月9日、スペーシアが2017年12月14日となっているので、現在、新型ルークスが最も新しく、勢いがあると言える。
新型ルークスの強みは、プラットフォーム、エンジン、駆動系、足回りなどを刷新したことで、走り、クオリティ、室内の広さ、使い勝手などを万全に進化させたことだ。さらに、安全対策、自動運転支援のプロパイロット、ハンズフリーオープナーの両側スライドドアなど、ライバル他車にない装備を装着していることである。
販売態勢も4メーカー系列店中最強クラスといえる。2019年末現在の推定営業態勢は日産が123販社、2100店舗、全従業員数3万8000人にとなっている。対するホンダは680販社、2200店舗、4万2000人、ダイハツは59社、750店舗、2万人、スズキは268社、1100店舗、1万8000人となっている。
ただし、ダイハツとスズキはこのほか小規模な協力店である業販売りが多く、その比率は軽自動車だと70~80%もあるといわれるので、一概に比較しにくいという側面がある。
■売るクルマが少ないのが逆にセールスパワーを集中できる有利な要因に…
このほかの要因として加える必要があるのは、これら主軸の軽スーパーハイトワゴンにかけられるセールスパワーの余力である。
日産は新型ルークスに最も力を入れやすい状況にある。登録車は軒並み古いモデルばかりだから、大幅値引きしないと販売台数を稼ぎにくい。軽自動車は乗用車系だとルークスとデイズだけであり、最も売りやすい新型のルークスは効率よく売れる状況にある。
ホンダはN-BOXのほか、軽自動車だと「N-WGN」「N-ONE」があり、N-WGNは2019年7月18日にフルモデルチェンジした。ところが、直後に電子制御駐車ブレーキに不具合が見つかり、一時生産をストップさせた。対応策を終えて生産を再開したのは2020年1月下旬のこと。それまでの約5カ月間の休止中にも受注活動は継続していたので、3万台以上のバックオーダーを抱えており、現在その対応に追われフル生産状態にある。
N-ONEは、2020年11月頃のフルモデルチェンジが予想される。新型車効果によって、その後は好調な販売が予想され、こちらもフル生産になる見通しとなっている。こうなると3車種のなかで最もモデルが古くなるN-BOXは、今後ホンダカーズ店でのセールスパワーは相対的にトーンダウンせざるを得ない状況が考えられる。
新型N-ONE(予想CG)。見た目こそキープコンセプトながら、中身は2017年登場のN-BOXをベースとし、大幅に刷新される
タントはどうか? N-BOXよりも状況は厳しくなっている。2020年7月以降は現行モデル発売後2年目に入り、需要一巡で新型車効果が頭打ちになる可能性がある。
乗用車系モデルは「ムーヴ」「ムーヴキャンバス」「ウェイク」「ミライース」「キャスト」と多数あり、タントばかりに力を入れるわけにはいかない事情がある。2020年6月10日には新型SUVの「タフト」が発売になるのでこちらに需要がシフトする可能性がある。さらに両側スライドドア仕様はムーヴキャンバス、ウェイクがあるので、これらと需要が重なり、タントの販売にとって難しいかじ取りが必要になっている。
2019年7月9日にフルモデルチェンジしたダイハツ「タント」。2019年11月の軽自動車 車名別新車販売台数ランキングで、王者N-BOXから2年3カ月ぶりに首位を奪い返した(12月以降は再逆転を許す)
ダイハツと軽自動車販売でトップ争いを展開しているスズキも事情は同じである。ほかの軽自動車ラインアップは乗用車系モデルで「ワゴンR」「アルト」「アルトラパン」「ハスラー」「ジムニー」などがあるので、これらの販売にも力を入れる必要があり、スペーシアばかりに力をさくわけにはいかない状況となっている。
2017年11月にフルモデルチェンジした「スペーシア」。2018年12月に新設定されたSUVテイストの「スペーシアギア」が人気となっている
■日産有利でも油断できないライバルメーカーの次の一手
それでは新型ルークスにとって態勢は万全で、ビッグ3への追い上げにますます加速がつく状況かというと必ずしもそうではない。3強のさらなる引き離し策も着々と進んでいる側面もある。
まずN-BOXは、2020年10月にも3年ぶりにビッグマイナーチェンジする。これによって、軽自動車だけでなく登録車も含めた銘柄別新車販売トップの足固めをさらに強固にする構えである。
登録車を含め、最も好調な日本車であるN-BOX。その人気は、留まるところを知らない
タントは2020年7月で現行モデル発売後1年が経過するので、販売頭打ちをカバーするために、一部改良ないしは買い得の特別仕様車を設定するなどして、商品ラインアップを強化する方向にある。
スペーシアは、2020年12月で現行モデル発売後3年が経過するので、やはりビッグマイナーチェンジで商品ラインアップを強化する方向にある。
生産するメーカー各社にとって当面はやっかいな問題がある。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で部品の供給がスムーズに行かず、組み立てが時々ストップし、供給遅れで納期が長引いていることである。いずれも2カ月以上の納車待ちになっており、これが各社間のシェア争いの行方に微妙な影響を与えている状況にある。
■ライバルメーカー4社が読む これからの戦いのポイント
●証言1:首都圏日産店営業担当者
新型ルークスは、現在の扱い車のなかで最も期待ができる新型車であり、生産が追い付かない状況にある。納車次第でN-BOX、タント、スペーシアに追い付くことは可能だ。特に販売の60%以上を占めるハイウェイスターに期待している。
●証言2:首都圏ホンダカーズ店営業担当者
N-BOXはこれまでもライバル他車を大きく引き離してトップを走って来たので、今後も今のポジションを維持できると確信している。2020年秋実施するビッグマイナーチェンジでさらに足固めを目指すことになる。
●証言3:首都圏ダイハツ店営業担当者
両側スライドドア車は乗用車系モデルだとタントのほかムーヴキャンバス、ウェイクを合わせて3車種あるので、これらの合計台数で他社とのシェア争いの行方を考慮している。
●証言4:首都圏スズキ店営業担当者
スペーシアは同ジャンルではN-BOX、タントに次いで3番手になっているが、最近はタントを追い抜く月も出始めている。今後の商品ラインアップの強化でとりあえず2番手奪取を目指したいところだ。
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みんなのコメント
コンプレックスのカタマリはどーせこれを白に変えるんやろ笑
おまいら全員バレとるでぇ笑笑