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ロンドン大気汚染対策に真っ向から反対 「不公正」な政治にNOを突きつける運動家を直撃

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ロンドン大気汚染対策に真っ向から反対 「不公正」な政治にNOを突きつける運動家を直撃

大気汚染対策への抗議運動

彼は “キャット・ハーダー “と呼ばれている。異なる方向に向かっている人々を、基本的には同じ目的を共有する者としてまとめる人物だ。

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今年8月、超低排出ガスゾーン(ULEZ)が英首都ロンドン全域に拡大されるまでの数日間、フィル・エリオットさんは大規模な抗議活動を展開していた。

彼は、「不当で非民主的で不必要な政治的干渉に反対するため、英国中のできるだけ多くの人々を団結させる」ことを目的とするキャンペーン・グループ、UK Unitesの創設者である。そのメンバーは3000人に上る。

エリオットさんと初めて会ったのは、英サリー州ドーキング近くにあるライカスというカフェだった。そこはバイカーに人気のカフェで、わたし(筆者)はマシンを眺めながらコーヒーを楽しんでいた。

その日は驚いたことに、いつものバイカーの集まりではなく、何百人の群衆が古いロンドンバスの前に集まっていた。その理由はすぐにわかった。バスの側面には、「Stop ULEZ」、「Stop Khan(カーン市長を止めろ)」、「No 2 ULEZ」、「Our Roads, Our Freedom」といった横断幕や看板が掲げられていたのだ。

駐輪場周辺には、このような政治的スローガンで覆われたバンが12台並んでいた。そのうちの1台の屋根には現ロンドン市長を名指しする「Khan」と書かれた棺があり、棺の片側にはメッセージ付きのミサイルの絵が貼られている。「サディク・カーンとBBCへ、反ULEZグループより愛を込めて」

群衆を掻き立てるミーティング

バスの後方にいるグループが群衆に呼びかけた。その中には、リフォームUK党(旧称:ブレグジット党)のロンドン市長候補であるハワード・コックス氏の姿もあり、彼は集まったバイカーたちに、ロンドンを「世界で最もバイクに優しい都市」にすると宣言した。また、元自由民主党議員で現在はモーターサイクル・アクション・グループ(バイカーの権利団体)の広報担当者であるレンビット・エピック氏は、カーン市長とULEZ拡大への攻撃で群衆をさらに煽った。

「彼を止めるには、ここにいる何千人もの人々にかかっている」とエピック氏が言うと、群衆は再び賛同の声を上げた。バイクは2007年から施行されている排ガス規制ユーロ3に適合していなければ、ロンドン通行時に12.50ポンドが課される。乗用車のガソリン車は2005年から施行されているユーロ4以上、ディーゼル車は2015年以降のユーロ6以上を満たさなければならない。

スピーチの後、コックス氏がマイクを握り、安全ベストを着て並んで立っていた男性に感謝の言葉を述べた。「今日のミーティングと、それにつながるミーティングをM25の他の場所で企画した “リスキー “フィルに感謝したい」

“リスキー “フィルことフィル・エリオットさんは、その場にいた全員に「良い戦いを続けよう」と呼びかけ、バスを降りて群衆の中に消えた。

わたしは彼が、先ほど駐車場まで手を振ってくれたうちの1人だとわかった。市長志望者や元国会議員はさておき、エリオットさんは反ULEZ運動や、不満を持つドライバーやバイカーを代表して長年戦ってきた真の権力者だったのだろうか?

なぜロンドンULEZに反対するのか

数日後、わたしはエリオットさんの家を訪ねた。彼の話を聞く前に、ロンドンから遠く離れた場所に住んでいる彼が、なぜULEZについてこれほどまでに思い悩んでいるのかを知りたかった。

「それは、ここに住んでいて、ULEZの規制には適合していないけれども、仕事や友人や家族に会うためにロンドンにクルマを走らせる人たちが、TfL(ロンドン交通局)からこの制度が実施されること、そして、もし(対象区域の)拡大後にこのゾーンに入ったら、課金されることを警告する手紙を受け取ったとわたしに教えてくれたからです」

「TfLが人々を追跡し、税金を無駄遣いして手紙を書くなど言語道断です」

その後、TfLの広報担当者は、2月から7月までの間に、グレーター・ロンドンで非適合者を運転しているドライバーに対して、100万通以上の警告書を送ったことを確認した。しかし、TfLは警告書を投函したDVLA(運転免許庁)にとって “商業上の機密事項 “であるという理由で、どの程度の費用がかかったのかは明らかにしなかった。

自身をはじめ、さまざまな人々の生活を妨害していると考える政治家たちに対するエリオットさんの反対運動は、ディーゼル商用車を一掃するためにロンドンのLEZ(低排出ガスゾーン)が導入された2008年にさかのぼる。

「わたしはロンドンに住み、トラックで回収業を営んでいました。新しい規制がわたしの仕事を脅かしたのです。わたしは抵抗しようとしましたが、誰も耳を貸さず、結局、トラックをアップグレードする余裕がなかったため、わたしのビジネスは最終的に潰れてしまいました」

止められなかったULEZ拡大

この経験から、エリオットさんは、人々の生活と生計に介入してくる “お節介な政治家たち “に抵抗する決意を固めた。しかし、そんな彼(と仲間)を動揺させたのは、ULEZの対象区域拡大と、自動車物品税や燃料税の代わりに走行距離あたりで加算される料金の脅威だった。

名前を出さないという条件で、彼はWhatsAppグループを共有している人々のリストを見せてくれた。主にソーシャルメディア上で人気のある人物や、モータースポーツやその関連分野の運動家たち、それに政治家も数名参加している。

その目的は、情報やアイデアを共有することにあるようだ。極端なものではないが、陰謀論者のにおいがするメンバーもいた。これはエリオットさんの主張の一面であり、少々辟易させられるところもあるが、彼は弁解はしない。

「陰謀論と現実の差は6か月。一方は常に他方に続くものです。ULEZは資金集めのためのものです。道路から古いクルマをなくしたら、彼らがやめると思いますか? ガソリン車はユーロ5以上、ディーゼル車はユーロ7以上でなければならないようにハードルを上げるだけです」

エリオットさんは知的で明晰、天性のオーガナイザーであり(「わたしは人々を集め、共通点を見つける」という)、繊細でもある。

例えば、障害のある息子を持つ父親が、ULEZ非適合の商用バンから、適合していると思っていた新型のバンに買い換えたところ、実は適合していないことが判明したという話が出てきた。「新しいバンは値下がりし、彼には大きな借金が残った」とエリオットさんは心から心配している。

しかし、彼の抗議はすべて時間の無駄ではなかったのだろうか? ULEZの拡大は実現しつつあり、RAC(王立自動車クラブ)でさえ、ULEZの標識の設置に抵抗しているロンドンの自治区に対し、ドライバーに十分な警告を与えるために「譲歩」するよう助言していた。

「無駄だなんて、とんでもない」とエリオットさんは主張する。「カーンは永遠に市長でいられるわけではないし、わたしがタイタニック・モーメントと呼んでいる(映画で船長が自分の船が不沈ではなかったことに気づく)瞬間は、もうすぐそこまで来ています。ロンドン市民も、ULEZに入る人も、タイタニック・モーメントを迎えようとしているのです」

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