現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > やはりEVもクルマ屋さんがつくるべし! ジャガーI-PACEは圧巻の走り〈JAGUAR I-PACE インプレッション〉

ここから本文です

やはりEVもクルマ屋さんがつくるべし! ジャガーI-PACEは圧巻の走り〈JAGUAR I-PACE インプレッション〉

掲載 更新
やはりEVもクルマ屋さんがつくるべし! ジャガーI-PACEは圧巻の走り〈JAGUAR I-PACE インプレッション〉

ジャガーの100%ピュアEVスポーツ、I-PACE(アイペイス)がついに日本の路上を走り始めた。ジャガーがEV? ネコ足はどうなった? EVなんて誰がつくったって同じだろう……さまざまなクエスチョンマークが頭に浮かんでいる人が多いに違いない。だが結論からお伝えしよう。ジャガーは見事にやり遂げた。ジャガーは彼らなりのEV像を、このI-PACEで見事に具現化したのである。REPORT&PHOTO●小泉建治(KOIZUMI Kenji)

EVらしさとジャガーらしさの両立

新型三菱eKワゴン&eK X デザイナーインタビュー「三菱はSUVのアクティブ路線で行こうと、日産デイズとのバランスを取りながら独自路線でデザイン」

 よくぞここまでドライビングプレジャーに振ったものだ。

 試乗を終えた直後に抱いた率直な気持ちである。とにもかくにもこれまでのEVとはまったく違うし、これまでのジャガーとは少しも変わらない。ジャガーがつくったからこうなったのだし、ジャガーがEVをつくった意味をまざまざと見せつけられたのである。

 I-PACEはご存知のとおりEV専用モデルであり、内燃機関の搭載は考慮していない。そのおかげでデザインの自由度が飛躍的に高まった。エンジンや駆動系などのレイアウトに左右されないのだから当然だ。SUV風スタイルを与えられたのは、「顧客の嗜好」と「新しいスポーツカー像を描くブランドとしての戦略」を反映したものだろう。

 ジャガーと言えばロングノーズショートデッキのFRらしいプロポーションが特徴的だった。しかしエンジンをノーズに収める必要のないI-PACEは、一転してキャブフォワードなシルエットを見せる。ジャガーらしさとは正反対のアプローチとなったのはもちろん計算ずみで、キャブフォワードでEVらしさ───つまり新しさ───を表現しつつ、盛り上がったショルダーラインと天地に狭いグラスエリア、そしてショートノーズに見えないフロントまわりの造形によって、ひと目でジャガーとわかるスポーツカーらしいエクステリアを実現したのである。

 それでいてEVながら500mm(エアサスペンション装着車)もの渡河水深を確保しているのは驚きだ。

 走り出してみると、当たり前だがとても静かで、駐車場から出るタイミングを図っている際にも、通りを走っているトラックなどの音がやけにうるさく、そして古臭く感じてしまう。ちなみにこの日、筆者が13年間も愛用している古臭い大衆車で試乗会場に乗り付けたことは別の話だ。

 そしてEVの例に漏れず、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間から凄まじいトルクが立ち上がる。そして、アクセルペダルを深く踏むと、やけに勇ましいモーター音が聞こえてくる。

 これは人工的につくりだされた音をスピーカーから着させる「アクティブ・サウンド・デザイン」なる演出である。

 筆者はこれまで、人工的なエキゾーストサウンドをスピーカーから聞かせるシステムには否定的だった。なんだか子供じみているし、違和感が強いものが多かった。

 しかし、電気モーター音であればそもそも最初から人工的であり、それを加工したところで違和感などまったくない。それどころか、まるで地鳴りのように腹の底に響く加工ずみモーター音に、快感すら覚えてしまう。不覚にも「これはおおいにアリ!」と膝を打ってしまった。もちろんこの機能は調整可能で、オフにすることもできる。

本気のダイナミクスと新しい魅力に溢れている

 EVならではの凄まじい加速にも、アクセル操作にリニアに反応するマナーを備えているのがジャガーらしい。そしてBMW i3や日産リーフと同様に、アクセルを離すだけで高い回生ブレーキを得られ、ほとんどブレーキペダルを操作することなく運転することが可能だ。

 アクセルオフで得られる回生ブレーキによる減速Gは0.2Gで、ブレーキペダルを踏み込めばさらに0.2G、合計0.4Gのエネルギーを回生する。この回生ブレーキの強さはドライバーの好みで調整することもできる。

 さらにはクリープの発生も好みで選ぶことができる。

 一般的な内燃機関+ステップATに最も近い感覚で運転できるのは「クリープあり」「回生弱め」の組み合わせだが、慣れれば是非とも「クリープなし」「回生強め」を選んでいただきたい。そのほうがよりEVらしく、新感覚のスポーツドライブを楽しめるからだ。

 そして白眉は、SUVらしからぬコーナリングである。I-PACEはフロントとリヤに独立したモーターを備えたAWDであり、EVだけにトルク配分は自由自在だ。そしてブレーキによるベクタリングも行っている。

 加えて前述の強力な回生ブレーキも相まって、減速からターンイン、そしてアクセルオンから脱出という一連の流れを、至極スムーズかつ軽快にこなすことができる。とても車両重量2tのSUVとは思えない動きである。

 バッテリーを床面に敷くことによる低重心化と、前後重量配分50:50というスポーツカーのような車体構成ももちろん貢献しているはずだ。ミズスマシのように右へ左へと瞬時に車線変更できるサマは、まるでロータス・エリーゼの如しである。

 これだけ理想的な重量配分が可能となると、内燃機関危うし、という心配も浮かび上がる。やっぱり自分、内燃機関が好きですから。

 こうして短時間ではあったが試乗を終えてみて感じたのは、I-PACEにはもはやエコやら環境がどうしたやらという形容詞は必要ない、ということ。クルマとして、スポーツカーとして、本気のダイナミクスと新しい魅力に溢れた一台なのだ。

 あまり他ブランドのクルマを引き合いに出すのは適切ではないかも知れないが、やはりEVはクルマ屋さんにつくっていただきたい。シリコンバレーで人気のプレミアムEVブランドとは比べものにならないくらいI-PACEには「ファントゥドライブ」がある。名門ジャガー、あっぱれだ。

 ごく個人的な話で恐縮だが、I-PACEは自分で買いたいと思った初めてのEVである。オマエの収入で買えるはずないだろう、という無粋な指摘は受け付けておりません……。

ジャガー I-PACE ファーストエディション
全長×全幅×全高:4695×1895×1565mm ホイールベース:2990mm 車両重量:2240kg 最高出力:294kW(400ps)/4250-5000rpm 最大トルク:696Nm/1000-4000rpm フロントサスペンション形式:ダブルウィッシュボーン リヤサスペンション形式:インテグラルリンク 乗車定員:5名 タイヤサイズ:245/50R20(試乗車両はオプション設定の22インチを装着) WLTCモード航続距離:438km 0-100km/h加速:4.8秒 最高速度:200km/h 車両価格:1312万円

こんな記事も読まれています

DSの新コレクション、「サン=テグジュペリ」の映像公開…「旅は芸術」のビジョンを表現
DSの新コレクション、「サン=テグジュペリ」の映像公開…「旅は芸術」のビジョンを表現
レスポンス
ベントレーが黒をアクセントに採用した日本限定モデル「コンチネンタルGTアズール ラスト・オブ・ライン コレクション」を発売
ベントレーが黒をアクセントに採用した日本限定モデル「コンチネンタルGTアズール ラスト・オブ・ライン コレクション」を発売
@DIME
ポルシェ911カレラのようなホットハッチ──新型GRヤリスGR-DATモデル試乗記
ポルシェ911カレラのようなホットハッチ──新型GRヤリスGR-DATモデル試乗記
GQ JAPAN
ホンダが斬新な「小型SUV風ミニバン」初公開! ゴツい“タフ顔”に「3列シート」搭載!「新型フリードクロスター」の魅力とは!
ホンダが斬新な「小型SUV風ミニバン」初公開! ゴツい“タフ顔”に「3列シート」搭載!「新型フリードクロスター」の魅力とは!
くるまのニュース
ドライブスルー中古車査定が登場…強みは「スピードと会話の短縮」
ドライブスルー中古車査定が登場…強みは「スピードと会話の短縮」
レスポンス
【MotoGP】スピードはあるのになぁ……ドゥカティシート争いで蚊帳の外なバスティアニーニ、ぼやく
【MotoGP】スピードはあるのになぁ……ドゥカティシート争いで蚊帳の外なバスティアニーニ、ぼやく
motorsport.com 日本版
2024スーパーGT第3戦『SUZUKA GT 3Hours RACE』参加条件
2024スーパーGT第3戦『SUZUKA GT 3Hours RACE』参加条件
AUTOSPORT web
ホンダのスクーター第2弾「ジュノオM型」は「E-クラッチ」の元祖? 世界GP初優勝の年に市販した変速機の革命
ホンダのスクーター第2弾「ジュノオM型」は「E-クラッチ」の元祖? 世界GP初優勝の年に市販した変速機の革命
バイクのニュース
トヨタ『シエンタ』対応の「車中泊キット」一般販売開始
トヨタ『シエンタ』対応の「車中泊キット」一般販売開始
レスポンス
【MotoGP】ヤマハのカル・クラッチロー、イタリアGPのワイルドカード参戦取りやめ。残る予定はイギリスGPとサンマリノGP
【MotoGP】ヤマハのカル・クラッチロー、イタリアGPのワイルドカード参戦取りやめ。残る予定はイギリスGPとサンマリノGP
motorsport.com 日本版
RBの今季マシンVCARB01の弱点は”トラフィック”。リカルド「僕とユウキがスタートで順位をキープできれば、違うレースになっていたはず」
RBの今季マシンVCARB01の弱点は”トラフィック”。リカルド「僕とユウキがスタートで順位をキープできれば、違うレースになっていたはず」
motorsport.com 日本版
ポルシェ『カイエン』に「ターボナイト」の内外装が登場…米2025年型
ポルシェ『カイエン』に「ターボナイト」の内外装が登場…米2025年型
レスポンス
DSオートモビル、DS4の特別仕様車を発売 車体色はひなげしをイメージ
DSオートモビル、DS4の特別仕様車を発売 車体色はひなげしをイメージ
日刊自動車新聞
全長5.1m! 新型「最上級6人乗りミニバン」発売! “クラス最高峰”の「超豪華リアシート」がスゴい! レクサス「新型LM」のインテリアとは
全長5.1m! 新型「最上級6人乗りミニバン」発売! “クラス最高峰”の「超豪華リアシート」がスゴい! レクサス「新型LM」のインテリアとは
くるまのニュース
メルセデスAMG「GT43クーペ」欧州で注文開始 後輪駆動の2ドアクーペは421馬力の2リッターエンジン搭載
メルセデスAMG「GT43クーペ」欧州で注文開始 後輪駆動の2ドアクーペは421馬力の2リッターエンジン搭載
VAGUE
【人とくるまのテクノロジー展2024】日産 電動化技術と知能化技術を中心に出展
【人とくるまのテクノロジー展2024】日産 電動化技術と知能化技術を中心に出展
Auto Prove
新車の慣らし運転は不要!? メーカーとエンジンチューナーとでどうして見解が食い違うのか。長く乗るならやっておいたほうが無難
新車の慣らし運転は不要!? メーカーとエンジンチューナーとでどうして見解が食い違うのか。長く乗るならやっておいたほうが無難
Auto Messe Web
フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」がよりたくましく変身!最高出力20psアップの256psに
フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」がよりたくましく変身!最高出力20psアップの256psに
Webモーターマガジン

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1517.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

345.01050.0万円

中古車を検索
I-PACEの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1517.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

345.01050.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村