欧州で売れる小型SUV サイズは?
text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
【画像】プジョー2008 荷室/シートレイアウト【3008/5008と比較】 全50枚
強豪がひしめくヨーロッパのスモール(Bセグメント)SUVマーケットで、2021年1~2月期にトップセールスを記録したのが、プジョー2008である。
2008は同社のCMPプラットフォームを採用し、ガソリン・モデルに加えフルEVモデルのe2008をラインナップに加えたことが特徴だ。
ボディサイズは全長4305×全幅1770×全高1550mmで、細い路地が多いヨーロッパの旧市街でも持て余すことなく、広いキャビンと荷室による使い勝手の良さから人気を集めている。
上位モデルの3008と比べると、全長が145mm短くなるが、ホイールベースは65mmの短縮に留まる。また、全幅は70mm狭いが、今や貴重な全幅アンダー1800mm車であることもポイントだ。
注目したいのは、全高が一般的な機械式駐車場に収まる1550mmであること。日本の都市部での使い勝手を確保したことは大きなセールスポイント。
パワートレインは、130psを発揮するガソリン1.2Lターボと、最高出力136psのフルEVという2タイプを用意した。
プジョーのSUVラインで最も小さい2008だが、新世代のデザインを採用し、未来的でアクティブな印象のスタイリングにより存在感は高い。
それではラゲッジ・スペースの確認に入ろう。
積み下ろしのしやすさが◯
プジョー2008の荷室容量は、カタログ値で434L(定員乗車、フロアボード下段、トノカバー使用時、VDA値)、ルーフまで使えば545Lまで増える。
後席バックレストを倒してルーフまでフルに使えば、3008の1482Lに遜色のない1467Lのスペースが出現。
後席の座面は沈まずバックレストだけが単純に倒れる構造のため、折り畳み時には前上がりとなりフルフラットにはならない。
しかし荷室部分の床はフラットであり、開口部は地上から720mmと低いので積み下ろしも楽だ。
荷室を実測してみると、定員乗車時は床面で前後800mm、左右1014mm、高さはルーフ後端で800mm、後席後端部分で740mmとなる。
後席を畳んだ2名乗車時は、前後長は前席シートバックまで1610mmあることを確認した。折り畳んだ後席部分の室内高は、シートバックが前上がりに倒れるため740mmとなる。
荷室内はスクエアな形状でフラットな床面にされており、積み込む際に邪魔になる出っ張りがないのは、ガッツリ積む実用性が求められるフランス車らしいクルマ作りといえる。
スーツケースを積んでみた
【どれだけ積める?】シリーズでは、単に荷室の寸法だけでは実感として理解しにくいため、実際の使い方を想定してスーツケースを積み込んで確かめている。
サンプルはいつも使っている大小のケースを使用。一番大きいLサイズのスーツケース(790×530×280mm:容量84L)、ひとまわり小さいMサイズのスーツケース(710×425×260mm:容量61L)を基本とする。ここに機内持ち込みサイズのボードケース(550×400×200mm)とパイロットケース(540×400×265mm)を加えて試している。
まず後席を使用しラゲッジシェルフを付けた状態で積み込んでみると、Lサイズのスーツケースが横に寝かせて収まり、さらにその横にボードケースが入ってしまった。
60:40分割の小さい側のバックレストを倒せば、Lサイズのスーツケースを起こして進行方向に積め、その後ろにはパイロットケースが入ってしまった。荷室の空いているスペースには、Mサイズのスーツケースを横に寝かせて積め、その上にボードケースを置くことができた。
後席をすべて倒せば1467Lのスペースを備えるとあって、すべてを楽々と飲み込んでしまう。撮影時は平面的に置いてあるが、起こして詰め込めばもっと入りそうだ。
バカンスのときは大荷物を積んで移動するフランスで鍛えられてきただけに、プジョー2008はコンパクトSUVといえどその収容力はひとクラス上に迫る。
使い勝手のよさ ボード/小物入れ
荷室のフロアボードが二重構造とされている点も使い勝手がいい。
上段にセットすれば開口部から後席バックレストまで段差のないスペースが現れ、嵩のある荷物を積むときは、フロアボードを落とし込めば荷室高を100mm拡大して900mmにできる。
また荷室のフロア下には車載工具とパンク修理剤、牽引フックが収められており、空間の後ろ半分はトレイ状になっているのでタイヤチェーンなどを収められる。
荷室のフロアボードを上段にセットして下段の荷物を出し入れするときは、側面にセットされているラッチで固定できるので楽。また両サイドにある小物を入れられるポケットは有用だ。
車両価格は、ガソリン1.2Lターボ車が303万5000円~342万7000円という設定。一方フルEVは433万2000円~472万4000円と、2クラス上となるプジョー5008(3列シートSUV)に迫る額となる。
プジョー2008はコンパクトなボディサイズながら上級クラスに匹敵する室内とラゲッジのスペースを備えていることが確認できた。だからこそ激戦の欧州スモールSUVマーケットで売れているのである。
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みんなのコメント
後席も広く家族4人の中距離旅行なら楽々こなせます。
長距離(3時間以上)は後席は背もたれ角度がキツく、アームレストも無いため疲れます。マイナーチェンジではその辺りとパワーゲート、パワーシートがつけられると最強なんですけどね。
今どき、よっこらせとリアゲート上げ下げする行為自体が信じられない。