フルモデルチェンジを果たし、5代目へと進化したスバル・フォレスターを発売開始となる7月19日を前に試乗することができました。といってもナンバーを取得していないのでクローズドコースでの試乗と相成りました。
場所は路面の整った日本サイクルスポーツセンターで、「クローズドコースですが、公道の感覚で乗るように」という注意を受けての試乗となりました。限界性能を見るためのクローズドコースではなく、あくまでも公道を模したコースで、リアルワールドでの走りを味わうといった狙いの試乗になります。
フォレスター初のHV採用でも新型で「ハイブリッド」と言わない理由とは
「e-BOXER」と名付けられた2.0リッター・ハイブリッド車と、スバルの国内ラインナップとしてはNAエンジンの最高峰といえる2.5リッター水平対向4気筒ガソリン直噴エンジンという2つのパワートレインを用意する新型フォレスターですが、今回紹介するのは後者。
レギュラーガソリン仕様の直噴エンジンは、最高出力136kW/5900rpm、最大トルク239Nm/4400rpm。そこに変速比幅7.0を超えるリニアトロニック(CVT)を組み合わせて常時4輪を駆動するというパワートレイン。排気量からすると最高出力・最大トルクとも控えめな数値と思えるかもしれませんが、いざ動かしてみるとまったく不満は感じません。
先代モデルのNAエンジンが2.0リッターだったこともありますが、フォレスターとして見ると圧倒的な走りの余裕を生み出していますし、このクラスのSUVとしても十分以上のパフォーマンスだと思えます。そう感じた理由は、エンジン出力とCVTの変速比がうまく作りこまれている上に、CVTというだけで先入観的に「ダイレクト感がない」というネガが想像できるかもしれません。しかし、新型フォレスターに限らず、昨今のCVTにおいて加速時に限っていえばネガが顔を出すことは減っています。
速度を維持しようとアクセルペダルを戻し気味にしたときに変速比が高めとなり、そこから踏み込んだときに若干のラグを感じるかもしれませんが、それはステップATにおけるキックダウンと同じ程度のタイムラグであり、けっしてCVTだけの悪癖というわけではありません。パドルシフトを利用すればマニュアルモードとして使えるので、コーナー手前でシフトダウンしておくといったドライバーの意思を入れた運転をすることも可能です。
しかし、実際にはほとんどパドルシフトを使うことはありませんでした。というのも、新型フォレスターに搭載された2.5リッターエンジンを中心としたパワートレインは、どの領域でもトルクを十分に感じるもので、Dレンジに入れたままのお任せドライブでも不満がなかったからです。
レギュラーガソリン仕様のNAエンジンだけに、ターボエンジンで見かけることの多い絵に描いたようなフラットなトルクカーブというわけにはいきませんが、メーター読みの感覚でいうと2500~5500rpmの範囲でアクセル操作に応じたトルクフィーリングを実現しています。
つまり、アクセルコントロールにダイレクトに駆動力が変化してくれるという感覚があるのです。ピークパワーでいえばターボエンジンにかなわないのは当然ですが、この実用域での扱いやすさは新型フォレスターの魅力のひとつといえます。
そして、操作にダイレクトな感覚はパワートレインだけではありません。ブレーキについてもペダルを踏んでから制動力が立ち上がるまでのラグが非常に短くなっています。これは遊びの部分がかなり詰めることによって実現したといいます。
ステアリング操作においても同様。センター付近には適度な遊びがあって緊張感のないハンドリングですが、いざ切り込み始めると、SUVとは思えないほどリニアにノーズが向きを変えていくのが実感できます。
こうしたコーナリングにおけるレスポンスの良さは、前述したブレーキやアクセル操作にダイレクト感とあいまって、ワインディングをリズミカルに走り抜けることができ、しかもそれが楽しいと感じるものに仕上がっています。最低地上高220mmを確保したSUVとは思えないほどロールが抑えられているのも、安心感と実際のパフォーマンスにつながっています。
とはいえ、全高が1700mmを超えるSUVらしいディメンションですし、タイヤもSUV寄りの銘柄ですからスポーツカーのような限界性能を持っているわけではありません。クローズドコースだから許される速度域や、急ハンドルといった操作をしたときには無茶を許さないといった雰囲気。だからといって急に振る舞いを変えるようなことなく、マイルドにたしなめてくれるといった挙動を示すので、危うさを感じることはまったくありません。緊急回避能力も十分に高いであろう、と実感できるのもフォレスターの安心感につながっているのでしょう。
(文:山本晋也)
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