シトロエンのSUV日本市場投入第二弾が、C3エアクロス SUV(以下C3エアクロス)だ。兄貴分のC5エアクロス SUV(以下C5エアクロス)とも似たスタイルだが、やはり軽快さはこちらのほうが上のようだ。
C3ともC5エアクロスとも似ているが、違う
シトロエンのSUV攻勢は止まらない。日本市場には2019年5月に前回紹介したC5エアクロスを投入したと思ったら、7月にはコンパクトSUVのC3エアクロスも日本デビューを果たした。車名からも分かるように、C3と同じBセグメントのSUVとなる。既に本国ではデビュー以来18万5000台以上を販売しているという。
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最初にC3エアクロスを見たときは、最近日本でもよくあるようなベース車(C3)の車高を上げてSUV風のパーツを取り付けたモデルか…と思ったのだが、よく見ると違う。プラットフォームこそC3と共通だが、ホイールベースは70mm延長し、C3より全長は165mm長く、全高は135mm高い。ひとまわり以上ボディは大きくなっている。ところが、ロードクリアランスは変わっていなかったというのが興味深いところだ。
スタイル的には、C3ともC5エアクロスとも似ているが、どちらとも微妙に違う。良く言えばイイトコ取りか。C3のかわいらしさにC5エアクロスのSUV的力強さを加えたスタイルは、C5エアクロスほどアクは強くないし、コンパクトSUVとして都会でもラフロードでも似合いそうだ。ただし、C3で注目されたサイドのエアバンプは装着されていない。個人的には付けて欲しかったところだ。
少し高めのコクピットに座る。インパネのメーター類はフルデジタルのC5エアクロスとは異なり、コンベンショナルなアナログメーターだ。まあ、むこうはフラッグシップSUVだから…と思いながらインテリア全体を見ると、エアコン吹き出し口やステアリングには赤いアクセントがあしらわれ、ダッシュボードにはシートと同じファブリックが貼られ、7インチのタッチスクリーンも備わって、けっしてチープシックなどではない。
BセグメントのSUVとしては、室内の広さも十分だ。上級グレードはリアシートを150mm前方にスライドさせることができるし、フロアの高さを2段調整できるフロアボードを倒したリアシートバックの高さに合わせ、助手席のシートバックを倒せばフラットでスクエアなラゲッジスペースが出現し、最長2.4mの長尺物も積める。ミニワゴンとしての使い勝手は高い。
パワートレーンはPSAグループの小型車に搭載されている、1.2Lのピュアテック直3ターボエンジンに、6速トルコンATを組み合わせる。1310kgの車重に110psと205Nmのパワースペックだから、特別パワフルという感じではない。今回、同時にC5エアクロスと試乗したため、C5エアクロスのトルクフルなディーゼルと比べてしまってはいけないのだが、それでも意外やこれがよく走る。いわゆるダウンサイジングターボだから低回転域からターボが効果的に作用し、6速ATがエンジンのおいしいところをうまく引き出しているようだ。
普通のコンパクトカーよりアイポイントは高いが、コーナリングでのロールも抑えられており、ワインディングを走るのも楽しそうだ。何よりも4.2mを切る全長と1.75mちょっとの全幅というサイズは、都会のジャングルをキビキビ走るSUV、というイメージがぴったりかもしれない。
駆動方式はC5エアクロス同様にFWDだが、グリップコントロールというトラクションコントロールやヒルディセントコントロールも装備。今回はオンロードのみの試乗だったが、スタッドレスタイヤを履いていればウインタースポーツの足にも使えるだろう。多くの安全運転支援機能やドライバーサポートも充実している。
BセグメントのコンパクトSUVは、日本車でも輸入車でもユニークなスタイルのモデルが多い。まさに百花繚乱のマーケットだが、兄貴分のC5エアクロス同様、このC3エアクロスもスタイルが気に入ればオススメできる1台だ。輸入車ビギナーのエントリーカーとしても悪くない。(文:篠原政明/写真:井上雅行)
シトロエン C3エアクロス SUV SHINEパッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4160×1765×1630mm
●ホイールベース:2605mm
●重量:1310kg
●エンジン種類:直3 DOHCターボ
●排気量:1199cc
●最高出力:81kW<110ps>/5500rpm
●最大トルク:205Nm<20.9kgm>/1750rpm
●トランスミッション:6速AT
●タイヤサイズ:215/50R17
●8%税込み価格:297万円
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