現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 1970年式ボルボ「アマゾン」に試乗 半世紀前のクルマに乗り続けられる理由とは

ここから本文です

1970年式ボルボ「アマゾン」に試乗 半世紀前のクルマに乗り続けられる理由とは

掲載 更新
1970年式ボルボ「アマゾン」に試乗 半世紀前のクルマに乗り続けられる理由とは

■ボルボは過去のモデルでも基本的な補修部品はいまでも手に入る

 クルマ好きならば愛車は少しでも長く乗りたいもの。ただし少しでも長く、少しでも良いコンディションで乗ろうと思うと、なかなか難しい現状が待っている。

ヤン・イヴァーソン氏に訊く、ボルボが示す自動安全運転の未来とは?

 クラシックカー、絶版車、NEOクラシック。古いクルマの呼び方はいろいろとあるが、生産中止になって時間が経つクルマのオーナーがまず苦労していることは、交換用のパーツが少ないということだろう。とくに国産車の場合、マツダ初代「ロードスター」や日産「スカイラインGT-R」など数少ない例外を除けば、どのディーラーにも純正の部品がなく、結局最後は仲間のツテや個人間オークションなどに頼らざるをえないという。

「ボルボ車に関していえば、走る/曲がる/止まるに関する部品は、過去のさまざまなモデルに対応するものをほとんど供給することができます」と、ボルボ・カー・ジャパンの阿部昭男氏はコメントする。「リプロダクションのパーツも豊富に用意されていて、その消耗部品はそれほど価格も高くありません」

 クラシックボルボのオーナーのために、2016年8月から展開しているのが、古いボルボの整備から販売までをおこなう「KLASSISK GARAGE(クラシックガレージ)」だ。阿部氏はこのクラシックガレージの責任者になる。

 ボルボ・カー東名横浜内にあるこのクラシックガレージは、一般の修理のほか、中古車の商品化もおこなっていて、すでに240GLワゴン(1991年製)や240クラシック・ワゴン(1993年製)、P1800ES(1973年製)など20台近くをリフレッシュして中古車として販売している。またこの4年間で修理作業は280台を超えたという。

 今回、そんなクラシックガレージが整備した、1970年製のボルボ「Amazon 122S(アマゾン122S)」に試乗することができた。

■五感を使って操作するため「ながら運転」とは無縁

 1970年製のボルボ・アマゾン。窓越しにメーターを覗いてみると、その総走行距離は5万5000kmを示している。「じつはメーターが3周回っていて、本当の走行距離は35万5000kmです」と阿部氏。「ワンオーナーで記録簿もすべてついた車両なので、そういうこともすべてわかります。このモデルだと北欧自動車がインポーターだった時代で、ヤナセの販売店で購入されています」。

 50年前のモデルとは思えないほど、内外装ともに美しいアマゾン。聞けばボディは塗り直しているそうだが、インテリアはオリジナルとのこと。「屋根ありのガレージでの保管で、内装の傷みは最小限でした。このアマゾンはブッシュやモールなど、ゴム系の消耗部品を中心にリフレッシュしています」
 
 室内に入り、クッション性の高い本革シートに座る。そして、50年前のモデルとしては珍しい3点式シートベルトを装着。そう、ボルボは1959年「PV544」というモデルに、世界で初めて3点式シートベルトを装備したメーカーとして知られている。

 そしてこの特許を無償で公開。世界中のクルマに3点式シートベルトが採用されるようになり、現在に至っている。ボルボの安全神話を物語る機能でもある。

 スクーター用のような小さい鍵を挿し回すと、ブルルルルと元気にエンジンが始動した。2リッターツインキャブの直列4気筒OHVは、不整脈をおこすことなくきれいにアイドリングをおこなう。アイドリング中、エンジンの振動は室内にまったく伝わってこない。

 右手側にあるパーキングブレーキを解除し、床から伸びるシフトノブを1速に入れる。恐る恐るおこなったクラッチミートだが、驚くほど簡単に繋がり、速度を上げていく。2速、3速とシフトアップ。これも変速時にエンジン回転を上げる必要もなくスムーズにおこなうことができる。よく整備されている証拠だ。

 パワステなどは一切ついていない、細いリムの大径ハンドル操作の感覚には最初違和感があったが、いつのまにか慣れていく。

 あらゆる感覚を使って操作する必要があるから、「ながら運転」なんてできない。でも、クルマの運転ってこういうものだったんだ、と思い出させてくれた時間。あっという間に過ぎた試乗だった。

※ ※ ※

 ボルボのリリースによると、アマゾンは1956年から1970年の間に66万7791台が生産されたという。ボルボ車としては初めてスウェーデンだけでなく国外でも組み立てられたモデルだった。

 そしてスウェーデンで販売された29万7000台のうち、まだ約8%のアマゾンが現役なのだという。 
 
 このボルボをはじめ、ポルシェやメルセデス・ベンツ、BMWなど、ヨーロッパに行くと古いモデルがいまでも現役で走っているのをよく見かけるが、これはオーナーの愛情が深いとかそういうメンタルなものではなく、現実問題として消耗部品がきちんと手に入れられるのかどうか、というところにかかっている。

 このクラシックガレージという取り組みがあれば、ボルボのオーナーは安心して、長く乗り続けることができる。他メーカーのオーナーからしてみたら、ちょっとうらやましいところだ。

VOLVO 122S Amazon
・車両価格(1970年当時):171万円
・全長:4450mm
・全幅:1630mm
・全高:1490mm
・駆動方式:FR
・車両重量:1040kg
・エンジン形式:直列4気筒OHV
・排気量:1986cc
・変速機:4速MT
・最高出力:118ps/5800rpm
・最大トルク:17.0kgm/3500rpm
・サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/コイルスプリング・リジット
・ブレーキ前/後:ディスク/ドラム
・タイヤ前後:165/SR15

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
AUTOSPORT web
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
AUTOSPORT web
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
AUTOCAR JAPAN
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
Auto Messe Web
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
motorsport.com 日本版
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
AUTOCAR JAPAN
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
AUTOSPORT web
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
motorsport.com 日本版
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
乗りものニュース
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
くるまのニュース
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
AUTOSPORT web
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
AUTOSPORT web
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
AUTOCAR JAPAN
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
Auto Messe Web
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
motorsport.com 日本版
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
AUTOSPORT web
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
AUTOSPORT web
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
VAGUE

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村