ホンダ英国工場最後のタイプR
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
【画像】いつの間にやら上級市民に?【シビック・タイプRどんなクルマ?】 全83枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
シビック・タイプRリミテッド・エディションとは、2017年発売の現行シビック・タイプRがマイナーチェンジを受けるタイミングで設定された限定車のこと。
ベースとなるタイプRとの違いは、初代シビック・タイプRを想起させるサンライトイエローIIを専用色に設定(ボディカラーは1色のみ。タイプRは5色)、リミテッド・エディション専用のBBS製20インチ鍛造アルミホイールを採用し、バネ下重量を軽量化したこと。
このほかにサーキットパフォーマンスに優れたハイグリップ20インチ専用タイヤ(ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2)が適用されたことや、アダプティブ・ダンパー・システムとEPSの専用セッティングなど。
なお、車名にはタイプRシリーズ初となる「リミテッド・エディション」の名称を冠しており、台数限定の限定車であることを示すが、これにはもう1つの意味もありそうだ。
2001年発売の2代目から長年にわたってシビック・タイプRを製造してきた英国工場が閉鎖となることで、「リミテッド・エディション」=英国工場で生産される最後のモデル……という意味も込められているのでは、という見方もある。
当初タイプRの発売は2020年6月25日に予定されていたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生産活動への影響により同年10月9日に延期されており、リミテッド・エディションは11月30日の発売となった。
最初の10台(シリアル番号JPN-001-010)に関しては発売1週間前となる11月23日(月・祝)に、ホンダ公式ユーチューブのライブ配信にて「商談権に当選した10名」として発表がおこなわれた。
4月に東京でリミテッド・エディション初出品
世界では合計1020台が発売されたタイプRリミテッド・エディションだが、各国の割り当て台数は以下となっている。
・日本:200台
・アメリカ:600台
・カナダ:100台
・欧州:100台(うち、ドイツ:20台、フランス:2台など)
アメリカに日本の3倍ともなる600台もの割り当てがあることに驚くが、理由はシンプル。
アメリカにおけるシビックの人気は非常に高く、2020年は26万1225台のシビックが販売された。これは日本の約20倍に相当する。
アメリカは世界でもっとも多くのシビックが売れている国なのである。
ピックアップトラック含めた四輪全体の販売台数では全米で8位。セダンとしては、カムリに次ぐ販売台数となる。
なお、アメリカ仕様はエンジン出力が310psから300psにダウンしている。排ガス規制をクリアするための措置ということだ。
そしてこのタイプR限定車。日本では2021年2月からデリバリーが始まっているが、早くも4月最初のとある業者向けオークションに出品された。
近年はオークションに参加する海外業者も急増し、とくに高額で落札されることが多い「名車コーナー」では、明らかに海外向けと思われる落札も少なくない。
4月始めに開催されたオークションにおいて初出品されたタイプRリミテッド・エディションの仕様は、新車の状態であった。
新車価格の3倍強 落札価格1500万円超
そして、なんと1500万円超で応札となったのである。
ちなみに、新車時の価格は以下となっている。
・シビック・タイプR(FF/6MT):475万2000円(税込)
・シビック・タイプRリミテッド・エディション(FF/6MT):550万円(税込)
550万円が新車価格であるから、このたび落札された価格は新車価格の3倍強だ。
実際に海外に輸出されてユーザーに販売される価格は各種税金など含めると3000万円近くになるのではないか。もはやスーパーカーの価格だ。
一体誰がこのような高額のタイプR限定車を買うのだろうか?
と、ここで思い出したことがある。筆者が昨年書いた記事(2020年8月5日AUTOCAR掲載)のことだ。
同じシビックタイプRの限定車「シビックMUGEN RR」がとんでもない価格で落札された件だ。
MUGEN RRとは最高出力240psの「K20A」エンジンを搭載する無限初のコンプリートカーで平成19年に300台の限定で発売され、開始からわずか10分で完売した伝説のクルマである。
平成19年式(約2万キロ)が、398万円の新車価格のところ1100万円超え(税抜き応札額)、平成20年式(約3万キロ)が398万円のところ1300万円超え(同)、平成20年式(約6万キロ)が318万円のところ800万円超え(同)という高額取引を記事で紹介した。
25年を経過していない右ハンドルであることやホンダ製スポーツカーが異常なまでに高人気であること、クルマ好きの富裕層が多いお国柄であることなどから、この時のMUGEN RRは香港人の購入である可能性が高いと考えられた。
1500万円超の個体 向かうはやはり香港?
また、香港の中国化が進行する状況において、香港もやがては中国のように「中古輸入車が全面禁止になるのではないか?」という懸念もあり、「金に糸目をつけず」日本製中古スポーツカーを買い急ぎ向きもあるのはたしかなようだ。
となると、今回のタイプRリミテッド・エディションについても、やはり向かう先は海外。日本と同様、左側通行の国で、同モデルの正規販売がおこなわれていない香港であることが予想される。
海外の日本製中古車事情に詳しい中古車業者A氏いわく、「今回1500万円超で落札されたタイプR限定車は間違いなく海外の買いだと思われます。香港の可能性が高いでしょうね。過剰流動性相場が中古車市場までを恐ろしい形にしています」
「これまで発売間もない時期の高額落札としては2015年発売の4代目シビックタイプR(FK2)がありますが、こちらは750台限定で販売されて間もなくオークションに出品され、新車450万円に対して、最高600万円近くで落札されました。それでもすごいと思ったものですが、今回はケタ違いですね」
1500万円超のシビックタイプR限定車。発売されたばかりでこの価格となれば、数年後、10数年後にはどうなっていくのだろうか?
アメリカ仕様が600台販売されていることから、スカイラインR34 GT-Rのように、3000万円超となる可能性は低いだろう。
しかし、熱狂的な日本車ファンはたとえ左ハンドル車がアメリカで販売されていても、日本独自の「右ハンドル」であることに大きな価値を感じるという。
日本以外の国ではまだデリバリーが始まっていないようだが、海外ではどうなっていくだろうか?
情報が入り次第お伝えしていこうと思う。
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みんなのコメント
サーキット行っても全然走ってるの見ないし。
ニュル最速FFなんて言ってた割にはニュル以外では大して速くないし。
ユーザーがサーキット走ればセッティングとかパーツも出てきてタイムも更新されるんだろうけど、そういうユーザーもほとんどいないし。
昔のインテRとかシビックRはノーマルこそパッとしない性能だったが、そういうユーザーが多かったからサーキットのタイムも速かったし一目置かれてたんだけどね…。
いい車なのに残念なことだね。