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ボルボのステーションワゴンを選ぶ意味──新型V60試乗記

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ボルボのステーションワゴンを選ぶ意味──新型V60試乗記

一部改良を受けたボルボのミドルクラス・ステーションワゴン「V60」に、山本シンヤが乗った。 目に見えない部分の進化に注目!

変更部分をおさらい

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現在、日本市場におけるボルボの主力モデルはクロスオーバーSUシリーズであるが、やっぱりボルボと言ったら“ステーションワゴン”を忘れてはいけない。「240」、「740」、「850」、「V70」……と、過去のモデルを振り返ると、我々の記憶のなかにはステーションワゴンの姿が大きく残っている。

とくに1992年に登場した850は“ボルボ=安全”にくわえて“ボルボ=スポーティ”のイメージを与え、スバル「レガシィ」と共に1990年代のステーションワゴンブームの火付け役となった。

そんな850の再来ともいうべきモデルが2018年に登場した2代目「V60」だ。本モデルは単なる世代交代ではなく、スポーティな走りが魅力だったスポーツツアラーの初代V60と“四角いボルボ”の本質を継承していたV70を融合したのが特徴だ。

V60は2022年秋に大幅改良を受け、2023年モデルに進化。今回、48Vマイルドハイブリッド仕様の「B4」に試乗した。

エクステリアはリヤバンパーとアルミホイールのデザインを変更。従来モデルと比べ、スポーティさは若干薄れたかもしれないものの、より端正な佇まいになって、個人的にはプレミアムブランドらしい風格が増したように思う。

インテリアではGoogle搭載のインフォテインメントシステムと新デザインのメーターに変更された。とくにメーターは、ボルボのシンプルで上質なデザインの良さを損うことなく先進性を引き上げている。細かい部分では、PM2.5センサー付きのエアピュリファイヤーを追加する一方、各種機能設定はユーザーの使用頻度に合わせて集約化。ちなみに従来モデルに設定があったドライブモードは廃止された。

くわえて今回の改良でグレードが一新された。従来のモメンタム(=ベーシック仕様)相当が「プラス」、従来のインスクリプション(=豪華仕様)相当の「アルティメイト」と、シンプルな構成に。スポーティ仕様の「Rデザイン」がなくなったのは残念だ。

パワートレインは4気筒2.0Lターボ+48Vマイルドハイブリッド(MHEV)システムの組み合わせだ。ボルボが「ISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)」と、呼ぶモーター機能付き発電機とリチウムイオンバッテリーで構成。ISGMが減速時の回生エネルギーをリチウムイオンバッテリーに充電。その電力をアイドルストップ後の再始動やエンジン駆動のアシストをおこなう。ISGMの出力は13.7ps/40Nmとそれほど高くないので、モーターのみでの走行(=EV走行)はできない。

MHEVシステムこそ従来モデルから変更ないものの、2.0Lターボエンジンは大幅改良を施した進化版を搭載。2021年12月に「V60 B4モメンタム(2022モデル)」に先行投入済みだったものだ。197ps/300Nmのスペックはおなじであるが、ミラーサイクル化やエンジン構成部品の変更(ピストン、インテーク側VVT、インテークマニホールド)、VNT(バリアブルノイズタービン)ターボチャージャーの採用、電動オイルポンプの採用と、更なる効率化を実施。トランスミッションは従来の8速ATから湿式クラッチ式7速DCTへと変更された。

乗ればわかるその違い実用域での滑らかなフィーリングやアイドルストップから再始動のスムーズさは従来モデルから不変であるが、アクセルを踏んだときの応答性や過渡領域の力強さは体感レベルで増している。さらにターボラグが抑えられたスムーズな回転フィールなど内燃機関としての魅力もより増したように感じた。

おそらくDCT採用によって駆動が今までよりもダイレクトに伝わるようになった効果が大きいはずであるが、それだけではなく、間違いなくMHEVのアシストが力強くなっているように思う。恐らく制御系のアップデートが施されたのかもしれないが、くわええBEV開発の知見・ノウハウが48Vマイルドハイブリッドにも活きているのではないか? と、筆者は推測。燃費は高速道路が中心の走行で17~18km/Lを記録、MHEV効果はシッカリあった。

フットワークに関するアップデートの公式アナウンスはないが、走らせると明らかに違あった。

ATからDCTの変更でフロントまわりが従来モデルよりも若干軽くなっているのが効いているのか、コーナー進入時の回頭性が高まり、かつ前後グリップバランスの適正化によって4輪をより効果的に使ったコーナリングを実現。一体感および安心感の向上で、スポーツワゴンの旨味がより増した。

快適性では、ショックを比較的ゆっくりと吸収させる乗り心地の特性は従来モデルから不変であうが、新型ではより大きな入力があったとき、車体が“ブルっ”と共振する現象が減っていた。結果、ドライバーにも振動が伝わりにくくなって、よりフラット、かつ質の高い乗り心地を実現した。これまであった電子制御ダンパーは新型に用意されていないが、走りと快適性のバランスが高次元で成立しているので必要はないだろう。

あらためてV60の魅力はなにか? と、考えると、素性の良さを活かした走りの良さ、全高の低さを活かしたスタイリッシュなルックス、優れた実用性の高さ、のバランスだろう。最新のクロスオーバーSUVはロールを上手にコントロールし、乗用車に近いドライブフィールを演出しているものの、それでも背の低いステーションワゴンには敵わないと思った。

安全面では、運転支援用のレーダーがウインドウ上部からフロントグリル内に移設。今回、高速道路で「パイロットアシスト」を使ったが、ステアリング支援はより精緻、より滑らかな制御になっており、レベル2ながらも「クルマに委ねてもいいのでは?」と、思ったほど。現在、運転支援装備は当たり前の装備になりつつあるが、性能差はやっぱりあって、なかでもボルボのシステムは間違いなく世界トップレベルであると思う。

V60のスポーティで実用的なキャラクターは、今回の改良でよりクオリティが向上した。魅力はより一層高まっていたのだ。日本でも扱いやすいボディサイズ、輸入車唯一の5年保証、ニーズにあわせたさまざまなファイナンスプログラムなど、輸入車のなかでも購入のハードルは低いように思う。

「日本車に良いステーションワゴンがないなぁ……」と、嘆く人にぜひ勧めたい1台である。

文・山本シンヤ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

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みんなのコメント

15件
  • お世辞抜きにステーションワゴンで一番カッコいいのはボルボだと思う。
    V60のRデザイン買ったけど、満足感は国産輸入車含め歴代ダントツ一位です。
  • 70ボルボのカクカクが好き
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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